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第4話 浮気者同士でかばい合う

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「メイソン様……」
「君が兄さんと元恋人で無理やり別れさせられたから、婚約者のオリビアに激しい嫉妬と憎しみを覚えているのは分かるけど筋違いというものじゃないか?」

いきなりメイソン第二王子から注意されて咎めるような視線で睨まれてしまった。だがその叱責はスカーレットには納得できないものであった。なぜならメイソンとオリビアが人目を忍んで会っている事を彼女は知っている。

愛しいオリビアを守るためにメイソンは声を出したが、スカーレットにはとっくにお見通しというわけだ。苦々しい顔をしているが何も言わなかった。

恋多き美女のオリビアは婚約してるジェームズを裏切って、様々な男性と関係を持ち特に弟のメイソンは浮気相手の中でという存在で、愛欲の限りをつくし夢中になりジェームズと結婚しても今後も関係は続けようと二人は約束して、そしていずれジェームズが死んだら正式に夫婦になろうと誓っていた。

「メイソン様ありがとうございます」

オリビアはほっとする思いで助太刀に飛んできてスカーレットを注意してくれたメイソンに、頭を下げてお礼を申し上げる。内心では自分と一緒になるために、実の兄を殺害した狂気じみた欲望にとらわれた男だと恐れていた。

逆にメイソンのほうは、兄を毒殺したのはオリビアと思って精神的に追い詰められたことにより、このような犯行に及んでしまったのだろうとショックを受けていた。しかしやってしまった事は仕方ないとオリビアを支えて行かなければならないと決心した。

「兄さんはいつも僕や妹のことを大事にしてくれていた尊敬できる素晴らしい人だった。何でこんなことに……」

メイソンは床に倒れて死んでいるジェームズに近づいてその場に泣き崩れた。本当に慕っていて理想的な人格者だと言いますが、嘘をついてまで事実を隠している。

「メイソンお兄様ったらわざとらしい事をよく言えますね」
「平気で出まかせの言える人間の恥ずかしいお兄様ですわ」

不意に背後から声をかけたのは、第一王女のアメリアと第二王女にイザベラだった。二人はメイソンに向かって軽蔑けいべつした顔をして泣き真似をしても無駄だと嫌味を言う。正直なところジェームズも遊び人のような性格で、オリビアと婚約しても様々な女性と交際をしていた。

ジェームズもあまり褒められたものではなかった。だけどジェームズはそれなりに優しい面を持ち合わせていた。小さい頃は弟のメイソンと妹のアメリアとイザベラと遊んでくれて気さくで面倒見がいいところもあった。遠い過去のことを思い出した姉妹は、何も殺す必要はないだろうという思いでした。

「アメリアとイザベラ、急に何を言い出すんだよ!」

冷ややかな眼差しで毒づいた妹たちに、顔をしかめながら後ろを振り返って反論するように言った。
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