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第5話 箱入り娘の公爵令嬢オリビアの変化

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「メイソン!俺の婚約者のオリビアと腕を首にまわして舌をからめ合うキスをしていたな!」
「兄さんが浮気ばかりしてるのが原因だろ?オリビアは寂しがっているんだ」
「黙れ、お前には関係ないだろう!」

――今から半年ほど前。偶然見かけたジェームズは、頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けて動けなかった。情けないことに体が震えて泣いてしまっていた。ジェームズは幼馴染のスカーレットと付き合っていて幸せな人生を送っていたが、家柄、地位などを理由に別れさせられオリビアと婚約するよう命じられた。

それが原因でジェームズは荒れてどこか投げやりな雰囲気に変わっていく。彼の乱れた異性関係はオリビアの知るところとなる。オリビアはジェームズの事でメイソンに相談をしているうちに恋に落ちた。二人は学生時代からの同級生同士なので話しやすかった。当初はメイソンのほうも突然別れさせられた兄に同情的な気持ちもあり、オリビアには申し訳ないと思ってるが兄も苦しんでいると話した。

メイソンはジェームズに対して、王族という国を牽引けんいんする立場なので、国王である父のいう男爵家の令嬢より公爵家の令嬢のほうが結婚相手として相応しい、という意見を受け入れるしかないだろうとも説得し、さらにこれ以上オリビアを悲しませるなと、浮気相手と噂される貴族令嬢やメイドとは別れるように説得していた。

「ジェームズは私の事なんてどうでもいいんだわ。メイソン私辛い……」
「オリビア……もう自分の気持ちに嘘はつけない。兄さんの事は忘れて今は僕だけを見てくれ」

オリビアは何でもよくメイソンに相談していた。メイソンのほうも自分でも知らないうちにオリビアを好きになっていた事に気がつく。二人の胸の高鳴りはもう抑えられなかった。一度ちぎりを交わすと吹っ切れたみたいな気持ちになり、それからは何もかも忘れて互いに何度も抱き合い求め合うようになる。

「早く抱かせてくれ。兄さんにオリビアを渡したくない」
「メイソン……」

公爵令嬢として身持ちの堅い教養豊かな女性で純情で内気な性格のオリビアは、メイソンと一夜の夢を結んでいるうちに、体が溶けちゃいそうな強烈な快感を味わってしまいブレーキが利かなくなり、メイソン以外の男性とも体を重ね合わせたい衝動に駆られる。

公爵家という最大の権力を握り、誰もが心ときめく目も覚めるような美人のオリビアがになれば実に簡単なことであった。最初に公爵家に仕える執事に狙いを定めた。すらりとした長身で甘いマスクからメイドたちにファンも多い美青年を部屋に呼んで、甘い言葉をかけて誘惑し関係をもつことに見事に成功した。
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