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11話
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「――お目覚めですか」
ナタリアの耳元に女性の柔らかな声が響いてくる。ナタリアはゆっくりと目を開けた。
「……ここは私の部屋?」
ぼんやりと天井を眺めながらため息混じりにつぶやいた。ナタリアは不安や迷いで気持ちが錯綜すると、婚約者のラウル王子と親友のアイリスに命を奪われたことが走馬灯のようによみがえり涙が止まらなかった。ついさっきまで起きていたことが嘘のような気がする。ナタリアは自分の部屋のベッドで横になっていた。
「お嬢様、今日は大事な約束があるのではないですか?」
「え?」
「お忘れですか?あんなに楽しみにしていたご様子でしたが?」
「何のこと?」
メイドが声をかけてきた。その表情にはどこか笑みが浮かんでいる。ナタリアが病気の時に善意の限りを尽くしてくれたメイド。なぜかわからないが、いくぶん若く見える。いつも話し相手になってくれたので気づいた。
ナタリアは自分が生きていることが信じられなくて混乱していた。まだ寝ぼけた感覚で動揺した声を出すとメイドは首をかしげ戸惑いの表情を見せて言う。
メイドにそう言われてもナタリアは思考が追いつかない状態。大事な約束とか言われも答えに辿り着けず頭の中は迷路をさまよっていた。ナタリアは不思議そうに聞き返した。
「お嬢様は寝起きで頭がもうろうとしているのですね。昨日はラウル様とのデートのことを考えて頭がいっぱいだと話していたじゃありませんか?」
「あっ、そうだ」
「思い出されたようですね」
メイドは困った顔のままやれやれという気持ちだった。やがて諦めたような口調で話しはじめた。今日はラウル王子とデート当日なのだという。昨日はデートの前日でナタリアはラウルとのデートが嬉しすぎて喜びを隠せない様子で、デートが待ち遠しいとメイドと会話を交わしていた。
メイドはナタリアの幸福感にひたる顔を眺めて相槌を打ち、心の中ではナタリアのことをよく喋るものだと感心した。デートが楽しみなのはわかるけど呆れたように微笑みながら聞いていた。
ナタリアはメイドの話を聞いて頭の中に過去の記憶が連鎖的によみがえってくる。メイドはナタリアを見てうんうんと顎を引いて納得している。お嬢様の寝ぼけた頭がやっと目覚めたらしいと和んだ視線を向けていた。
「お嬢様?」
「なに?」
「ですからお支度をなさいませんと……」
ナタリアはメイドに急かされ仕方なくデートの準備を進めた。
「お支度はすべてわたくし達がお手伝いいたしますからお嬢様はなにもご心配なさることはございません」
丁寧に美麗な化粧を施して髪をセットし、良いドレスで着飾って香水をつけてくれる。短い時間の間に、ひときわ目立つ存在の美人が完成した。
(ん?なんか若いような……)
最中にナタリアは首をかしげ鏡の中の自分を見つめた。自分の顔で間違いないがどこか違和感を覚えるがすぐにわかった。
病気で青白い顔にげっそりと痩せて肌はガサガサに荒れていた。それが急に若返ったような気さえする。若返ったように感じる通りナタリアは三年前に戻っていた。
ナタリアの耳元に女性の柔らかな声が響いてくる。ナタリアはゆっくりと目を開けた。
「……ここは私の部屋?」
ぼんやりと天井を眺めながらため息混じりにつぶやいた。ナタリアは不安や迷いで気持ちが錯綜すると、婚約者のラウル王子と親友のアイリスに命を奪われたことが走馬灯のようによみがえり涙が止まらなかった。ついさっきまで起きていたことが嘘のような気がする。ナタリアは自分の部屋のベッドで横になっていた。
「お嬢様、今日は大事な約束があるのではないですか?」
「え?」
「お忘れですか?あんなに楽しみにしていたご様子でしたが?」
「何のこと?」
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メイドにそう言われてもナタリアは思考が追いつかない状態。大事な約束とか言われも答えに辿り着けず頭の中は迷路をさまよっていた。ナタリアは不思議そうに聞き返した。
「お嬢様は寝起きで頭がもうろうとしているのですね。昨日はラウル様とのデートのことを考えて頭がいっぱいだと話していたじゃありませんか?」
「あっ、そうだ」
「思い出されたようですね」
メイドは困った顔のままやれやれという気持ちだった。やがて諦めたような口調で話しはじめた。今日はラウル王子とデート当日なのだという。昨日はデートの前日でナタリアはラウルとのデートが嬉しすぎて喜びを隠せない様子で、デートが待ち遠しいとメイドと会話を交わしていた。
メイドはナタリアの幸福感にひたる顔を眺めて相槌を打ち、心の中ではナタリアのことをよく喋るものだと感心した。デートが楽しみなのはわかるけど呆れたように微笑みながら聞いていた。
ナタリアはメイドの話を聞いて頭の中に過去の記憶が連鎖的によみがえってくる。メイドはナタリアを見てうんうんと顎を引いて納得している。お嬢様の寝ぼけた頭がやっと目覚めたらしいと和んだ視線を向けていた。
「お嬢様?」
「なに?」
「ですからお支度をなさいませんと……」
ナタリアはメイドに急かされ仕方なくデートの準備を進めた。
「お支度はすべてわたくし達がお手伝いいたしますからお嬢様はなにもご心配なさることはございません」
丁寧に美麗な化粧を施して髪をセットし、良いドレスで着飾って香水をつけてくれる。短い時間の間に、ひときわ目立つ存在の美人が完成した。
(ん?なんか若いような……)
最中にナタリアは首をかしげ鏡の中の自分を見つめた。自分の顔で間違いないがどこか違和感を覚えるがすぐにわかった。
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