聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日

佐藤 美奈

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第10話

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悲しくて胸がつぶれるような思いをした風呂での出来事から数日後のことだった。アメリアが部屋でくつろいでいると突然ドアが開いて妹のエリザベスと幼馴染のハリーが入ってきた。

「アメリアお姉様はいけませんよ」
「え?」
「あははは、アメリアに風呂をのぞかれたってフローラが怒ってたぞ?クロフォードも冷笑してた」

アメリアは思わぬ事態にきょとんとしているとエリザベスは皮肉な笑いを浮かべて言う。アメリアは驚いて慌てた声を出した。ハリーもさげすんだ笑いをもらしてアメリアをからかうような口調で言った。

風呂をのぞいた。二人はふざけた感じでアメリアをいじめて楽しんでいる様子だ。数日前、帰ってきてアメリアは汗をかいたので浴室に向かった。汗をかいた体をお風呂に入ってすっきりしたかっただけなのに、ドアを開けると脱衣所に半裸の姿のクロフォードがいた。

驚いていると先に入っていた浴室から姉のフローラが現れた。クロフォードと一緒にお風呂に入るからアメリアは邪魔だから出ていくように言われた。今思うとあまりにも理不尽すぎて腹が立ってくるが、気の弱いアメリアはフローラが怖くて逆らえなくて言いつけに従って出ていく。

その時にフローラの機嫌を取るような言葉を口にした。お風呂に入るとその事がフラッシュバックされて頭の中に浮かび、自己嫌悪に似たいやな気分を味わっていた。アメリアは大のお風呂好きで精神的にリラックスできる幸せな場所だったのに、これが原因となり億劫おっくうそうな顔でため息をついて重い足取りでお風呂へと向かうようになってしまった。

「二人に謝っておけよ?謝れば許してくれると言っていたぞ」
「あの、ちゃんと謝ったと思うけど……」

ハリーはクロフォードとフローラに対して謝罪をするように言う。アメリアが謝罪をすれば許してくれるそうだと説教みたいな感じで注意された。客観的に見てアメリアは絶対に悪くないし婚約者を取られた被害者。どうしてアメリアが頭を下げる必要があるのか?

まともじゃないのはフローラとクロフォードの方なのは誰が見ても明らかだ。間違っている方を手助けするエリザベスとハリーも頭がおかしい。アメリアは眉を寄せて不思議そうな顔をする。聖女の能力でクロフォードとハリーは人形のように操られているような気がした。

「そんなことではクロフォードを本当に取られるぞ?」
「アメリアお姉様、フローラお姉様にがつんと言わないと!」
「えっ……そんなの無理だよ」

もう取られてますけど?あなた達はどっちの味方なの?二人の質問の意味を図りかねてアメリアの頭の中は混乱し顔には苦悩と心痛の色が現れていた。
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