婚約破棄したら王子が行方不明になった。幼馴染と妹に捨てられて人生に絶望したらしい。

佐藤 美奈

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「シャール王子が行方不明になりました!」

メイドから初めて聞かされた時は驚いた。

「そう……彼はお星さまになってしまったのかもしれません。最後まで奇想天外な男でしたね」

マライアは自分でも驚いている。元婚約者のシャール殿下に対して何の恋愛感情も持っていなかったにも関わらず、足取りが分からなくなったと聞けば、今はやり場のない気持ちが胸の中に広がる。

その感情は高揚した気分などではなく、間違いなく怒りや憎しみだ。

なぜ自分がこのような気持ちになるの?彼の幼馴染のアニーに取られた悔しさからか?それとも彼の妹ミュエルに対しての嫉妬か?いや違う、マライアはシャールの事を自分でも定かではないほど、心の片隅でまだ愛していたのだ。


さかのぼること半年前――


先日、婚約が決まったマライアとシャールは、王宮で煌びやかな婚約披露パーティが開かれた数日後に、二人だけでもお祝いをしようと決めた。昨日はその日だったのですが、予定していた時間になっても彼が現れなかった。

「マライア昨日は申しわけない」

翌朝、シャールが会いに来て詫びてきました。深く反省しているように見えて、彼の謝罪を穏やかに受け止めて許した。

「理由を聞かせてくれる?」
「昨夜はゼノンと飲んでいて、悪ノリして飲み過ぎた」

ゼノンは学園に通っていた頃からの友人で、三人で遊んだこともある共通の友人です。

「何時から?」

マライアが尋ねたら昨夜の19時過ぎから飲んでいたらしい。マライアとの待ち合わせは18時なので、最初から記憶から抜け落ちていたようです。

「完全に忘れていたよ。マライアとの約束をすっぽかすなんて僕はどうかしてた」

その瞬間マライアは可笑しいことに気がつく。何故ならその時間にゼノンとばったり会って挨拶を交わしたのです。シャールはそのことを知らないので平気な顔で嘘をつく。


「マライア!」
「ゼノン?」
「こんな所でどうしたんだい?わかった!素敵なドレスを着てるからこれからシャールと二人でデートかな?」
「そうなのよ。楽しみだわ」

馬車を降りて優雅な身ぶりでディナー場所に向かう途中にゼノンから呼び止められた。マライアは嬉しそうな笑顔で答えました。

彼は二人の婚約披露パーティにも参加している伯爵家の嫡男。長身の美青年で会釈して愛想よく微笑む。

「ゼノンは何してるの?」
「今は買い物に行った帰りさ」
「そうなのね」

その会話を思い出してシャールの言い訳に心が乱れました。でも偶然にゼノンと出会えたことは、マライアに勝利の女神が微笑んだのでしょう。
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