5 / 56
第5話
しおりを挟む
ある日、テリーとアリスはデートの約束をして待ち合わせをしていた。テリーは約束の時間に到着したが、アリスはいつまで待っても姿を見せない。
「私のことを好きな彼氏達と喋ってたから遅れたの」
「遅れるのはいつものことだから分かるけど、僕とのデートになんで他の男を連れて来るんだ?」
「みんなでご飯を食べたほうが美味しいでしょ?」
待ち合わせから一時間過ぎにアリスが来ました。周りには美男子を引き連れている。アリスは悪びれた様子もなくいつもの台詞を言い放つ。
テリーはまるで死刑宣告されたような気分で、頭を抱えて紙細工のように崩れその場に膝をついた。
「遅れてごめんなさい」
ちなみにアリスがそのような言葉をテリーに言ったり謝ったことも一度もありません。
「これからアリスと食事に行くんだが?君達分かるよな?」
テリーはアリスの取り巻きの男達の顔をひととおり眺めまわして、熱心に説得しましたが彼らは不機嫌そうに仏頂面で何も反応はない。
しかしアリスに優しく説得されると、心が動いて取り巻きの連中は涙を浮かべて悲しそうな顔をする。
「仕方ないわね」
その時にアリスから一人ずつ別れのキスをされていて、男達は顔に満足げな笑みを浮かべるとスキップするような軽い足取りで風のように立ち去っていく。
「アリス……僕の目の前でキスするってどういうことだ」
「別れの挨拶をしただけでしょ?」
「でも、唇と唇が重なってたぞ」
「そうだけど?」
取り巻きの男達を並ばせて口付けを交わすアリスに、目が緩やかに大きく見開き驚愕へと変貌するテリーは、呆然として口をポカンと開けて眺めていた。
キスが終わってもしばらく固まって突っ立っていると、覚醒したようにアリスに詰め寄った。厳しい目で見つめて問いただしてもアリスは、なんでもないことみたいにさらりと受け流す。
テリーは青ざめた顔になり、自分とアリスは理解しがたい感情や考え方があると不安な胸騒ぎを感じた。
「それなら僕にもキスを……」
「嫌よ」
「遊びの男とさっきあんなにキスしてたじゃないか!おかしいだろう?」
「そういう気分じゃないの」
「何でもない男とはキスして結婚する本命の僕とはできないのか」
テリーは心臓が妙にドキドキして、頭の中もひどく混乱している。その気持ちを少しでも落ち着かせようとアリスに口付けをお願いした。
ところがアリスからは冷たい態度でとてもむげに断られる。これはずいぶん、無慈悲なことのようにテリーは思えました。結局何度頼み込んでも冗談のような軽い口付けさえお預けとなった。
「私のことを好きな彼氏達と喋ってたから遅れたの」
「遅れるのはいつものことだから分かるけど、僕とのデートになんで他の男を連れて来るんだ?」
「みんなでご飯を食べたほうが美味しいでしょ?」
待ち合わせから一時間過ぎにアリスが来ました。周りには美男子を引き連れている。アリスは悪びれた様子もなくいつもの台詞を言い放つ。
テリーはまるで死刑宣告されたような気分で、頭を抱えて紙細工のように崩れその場に膝をついた。
「遅れてごめんなさい」
ちなみにアリスがそのような言葉をテリーに言ったり謝ったことも一度もありません。
「これからアリスと食事に行くんだが?君達分かるよな?」
テリーはアリスの取り巻きの男達の顔をひととおり眺めまわして、熱心に説得しましたが彼らは不機嫌そうに仏頂面で何も反応はない。
しかしアリスに優しく説得されると、心が動いて取り巻きの連中は涙を浮かべて悲しそうな顔をする。
「仕方ないわね」
その時にアリスから一人ずつ別れのキスをされていて、男達は顔に満足げな笑みを浮かべるとスキップするような軽い足取りで風のように立ち去っていく。
「アリス……僕の目の前でキスするってどういうことだ」
「別れの挨拶をしただけでしょ?」
「でも、唇と唇が重なってたぞ」
「そうだけど?」
取り巻きの男達を並ばせて口付けを交わすアリスに、目が緩やかに大きく見開き驚愕へと変貌するテリーは、呆然として口をポカンと開けて眺めていた。
キスが終わってもしばらく固まって突っ立っていると、覚醒したようにアリスに詰め寄った。厳しい目で見つめて問いただしてもアリスは、なんでもないことみたいにさらりと受け流す。
テリーは青ざめた顔になり、自分とアリスは理解しがたい感情や考え方があると不安な胸騒ぎを感じた。
「それなら僕にもキスを……」
「嫌よ」
「遊びの男とさっきあんなにキスしてたじゃないか!おかしいだろう?」
「そういう気分じゃないの」
「何でもない男とはキスして結婚する本命の僕とはできないのか」
テリーは心臓が妙にドキドキして、頭の中もひどく混乱している。その気持ちを少しでも落ち着かせようとアリスに口付けをお願いした。
ところがアリスからは冷たい態度でとてもむげに断られる。これはずいぶん、無慈悲なことのようにテリーは思えました。結局何度頼み込んでも冗談のような軽い口付けさえお預けとなった。
58
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者と養い親に不要といわれたので、幼馴染の側近と国を出ます
衿乃 光希
恋愛
卒業パーティーの最中、婚約者から突然婚約破棄を告げられたシェリーヌ。
婚約者の心を留めておけないような娘はいらないと、養父からも不要と言われる。
シェリーヌは16年過ごした国を出る。
生まれた時からの側近アランと一緒に・・・。
第18回恋愛小説大賞エントリーしましたので、第2部を執筆中です。
第2部祖国から手紙が届き、養父の体調がすぐれないことを知らされる。迷いながらも一時戻ってきたシェリーヌ。見舞った翌日、養父は天に召された。葬儀後、貴族の死去が相次いでいるという不穏な噂を耳にする。恋愛小説大賞は51位で終了しました。皆さま、投票ありがとうございました。
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。
我慢しないことにした結果
宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
婚約破棄、ありがとうございます
奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。
幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。
クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。
そんなある日クラスに転校生が入って来た。
幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新不定期です。
よろしくお願いします。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる