婚約したのに好きな人ができたと告白された「君の妹で僕の子を妊娠してる」彼に衝撃の罰が下される。

第4話

「フローラ……僕は何てことをしてしまったんだ。一生アリスとこんな生活を続けなければならないのか……」

今考えるとフローラはいつも自分に対して、細やかな気配りをさりげなくしてくれる素晴らしい女性であったと、叶うなら時間を巻き戻したいとしみじみ思う。

テリーはアリスとのデートを終えて家に帰ってからは、フローラとの幸せだった頃の記憶を思い出して、弱々しい声でしくしく泣いていました。

「テリー、重いから持って」
「うん」

アリスと買い物に行き彼女が望むままの物を買って、テリーが荷物を持ち歩く役目で全て持たされる。すでに常識になってる事なのでテリーは返事をして荷物を持つ。

「テリーのケチ！」

アリスの誕生日にブランド物の高級な腕時計をプレゼントしたら、どういう理由なのか？ケチ臭い男と暴言を浴びせられる。

テリーは悲しみの痛みに耐えかねて心の中で泣いた。そして当然ながら、プレゼントを受け取っても一言もお礼はなかった。

「ありがとう。今日のお食事はとても美味しかったわ」

二人で食事に行った時である。まだフローラと付き合っている時は、感謝の言葉を口にしていた。今思うと、ほんの幻に過ぎなかった言葉で、アリスは猫かぶりして大人しく振る舞っていたのだ。それを見抜けなかった自分が情けない。

「テリーは手際が悪い！そのくらいちゃんとして！」

現在は食事に行っても感謝の言葉がなくなり、仕舞いには帰りにテリーがお金を支払っているのを見たアリスにとろくさい男と言われる始末。

「私をあんな貧乏人が食べるところに連れていくの！」

平民が通う安めな価格で美味しいと評判の食堂に行こうと提案したら、悪魔のような恐ろしい形相で怒鳴られて鳥の鳴くような叫び声を上げられ、長い説教を聞かされるのです。

アリスは思わず笑みがこぼれる猫みたいに可愛らしい顔立ちですが、普通の人より道徳心が大きく欠落していることをテリーが理解するのに時間はかかりませんでした。最初は普通の子よりも少しだけ自己中な子だと思っていた。

「あそこはもっと素敵な場所だと思っていた。私が思ってたホテルと違うし、もっとランクの高いホテルを選ばないテリーが悪い！」

アリスは旅行も好きでよくテリーが連れて行きました。言うまでもなく旅行費用はテリーが全額負担です。それで帰ってきたらいつも腹立たしくてならないと言う顔で、テリーにきつい言葉を投げかけられる。

ホテルの苦情にリゾート地への不平不満を繰り返し聞かせられました。でもそんなことはどこ吹く風とばかり平気な顔で、アリスは数日後には旅行に行きたがるのです。