婚約したのに好きな人ができたと告白された「君の妹で僕の子を妊娠してる」彼に衝撃の罰が下される。

佐藤 美奈

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第56話

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「――子供たちには残酷なことを言うけど顔の作りが心の作りなの。格好良い人だと何でも許せちゃうけど、正直言ってブサイクは同じことしても腹立つし許せないよね?」

しばらく無言の時間が流れたあとアリスは真剣な顔をして言った。人の価値は顔で決まって他で決まる事は断じてないと主張する。ブサイクな子供たちはまだ幼いのでアリスの言葉の意味が理解できないから、長女のマリー以外は訳がわからない顔をしていた。

「そうだね。本当にそう思う!かわいいと格好良いは正義って真理だ」

アリスの言葉にテリーは納得して爽やかな笑顔を返した。ブサイクな男が美人と恋愛するのは極めて難しいけどブサイクでも結婚はできる。だけどブサイクは同じブサイク同士でくっついて楽しくやればいいじゃないか?テリーはそんな思いで笑顔を浮かべていた。

「顔が悪い子って小さい頃から周りが白い目で見てあざ笑うでしょ?」
「うん」
「だから失敗を極端に恐れるネガティブな思考に自然になってしまうの」
「なるほどね……アリスはすごい!」
「逆に顔の良い子が失敗すると周りがみんな応援して励ましてくれるから失敗することを怖がらないポジティブ思考の人間に成長するのよ」
「さすがアリス、確かにそうだ!」

アリスは澄んだ瞳で真実味のこもった声でブサイクと美形のことを話した。堂に入った演説のようであった。テリーは頭が悪いのでアリスの言ってることを全て理解できなかったが、アリスの事を愛しているので自分もそう感じているという相槌を打った。それだけじゃなくアリスの意見をべた褒めして見え透いたお世辞を言う感じで力強くうなずいていた。

「ブサイクのほうが風当たりが強いから性格が歪むのは当然といえば当然ね」
「結局のところ品性や風格に欠ける顔は世間から厳しいからな」
「そうね。だから結果的にブサイクは擁護できないということになるの」

顔が悪いのは仕方ないことだが、それでも顔が悪い人間は性格から言葉遣いから何から何まで悪いから救うことはできないとアリスは言う。テリーはずっと解けなかった難しい問題が解けたような気分で同意する。

「イケメンじゃないブサイク男に好かれるって女性にとっては最大の屈辱なの」
「え……? ブサイクな男でも好きになられたら女の人は嬉しいものじゃないの?」

アリスは男女の恋愛のことについて話す。女性は顔のパーツが悪い男に好意を示されるのはプライドを傷つけられて恥ずかしい思いをするという。一体どういうことなのだろうか? アリスの真意を確かめるためにテリーが無意識に尋ねた。

立場が違えば、見えるものも違う。それぞれに理由がある。
みんな誰もが、自分なりの正しさを持っているのだ。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この物語を、皆さまと共有できたことが何よりの幸せです。
またどこかの物語でお会いできますように。
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