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第6話
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「ロベルト説明してくれる!」
呆れるのを通り越して頭の中の温度が瞬時に上昇したアリス令嬢はやるせない悲しみを訴える。
「違うんだアリス。何でもないんだよ」
「じゃあなんでそんな姿をしてるの?」
アリス令嬢はもう理解している。何故ならつい先ほど二人の後味の悪い口論が耳の底に残っているのです。
そんな訳でロベルト殿下が救いようのないくらいの愚かで哀れみを越えたお話にならないポンコツな男性だと知ってしまいました。
それでもアリス令嬢は答えが返ってくる見込みのない問いを投げかける。
紳士の風上にもおけない情けない人間だと言うことは既に分かっています。
ですが、かつて愛した恋人が素直に自らの罪を認めて心の内を包み隠さず明かしてくれることを信じて尋ねました。
「アリス今まで言ってなかったけど僕は感動に心が湧くと嬉しくなって裸で走り回る癖があるんだ」
「え……?」
最後まで苦しげな弁解をして目の前にいるかわいい顔をひどく沈ませて放心状態にするほどの返答でした。
この人いきなり何を言い出すの? と頭が混乱しアリス令嬢は深い失望を感じる。
ロベルト殿下は我ながらうまい言い訳が口をついて出たとでも思っているのでしょうか? ドヤ顔で誇らしげな雰囲気を漂わせます。
「お前はそんな状態でまだ言い訳するつもりか!」
「ひ、ひぃっ!」
「殴られないと分からないのか!」
「ご、ごめんなさい……許して……」
ノア令息が怒りと苛立ちを含んだ声で威嚇するように言い放つ。
その瞬間ロベルト殿下は怯えた声を出して謝りその場にへたり込む。しょんぼりと頭をうなだれて子犬のように震えました。
荒っぽい言葉遣いで感情をむき出しにしていますが、妹のエマ令嬢の恋人で婚約者のノア令息は普段は温厚でアリス令嬢も何度か話したことがある。
いつも笑顔でゆったりとした優しい性格という印象でその微笑みが記憶に定着しているほどです。
それが今は鬼のような形相で血走った燃えるような瞳でロベルト殿下を睨みつけていました。
憔悴した美少年は愛する恋人にすがりつくような哀れの滲み出た視線を送り続けて助けを求めています。
しかしアリス令嬢は突き放したような表情で本気で見捨てるつもりの冷たく厳しい目をロベルト殿下に向けているのでした。
呆れるのを通り越して頭の中の温度が瞬時に上昇したアリス令嬢はやるせない悲しみを訴える。
「違うんだアリス。何でもないんだよ」
「じゃあなんでそんな姿をしてるの?」
アリス令嬢はもう理解している。何故ならつい先ほど二人の後味の悪い口論が耳の底に残っているのです。
そんな訳でロベルト殿下が救いようのないくらいの愚かで哀れみを越えたお話にならないポンコツな男性だと知ってしまいました。
それでもアリス令嬢は答えが返ってくる見込みのない問いを投げかける。
紳士の風上にもおけない情けない人間だと言うことは既に分かっています。
ですが、かつて愛した恋人が素直に自らの罪を認めて心の内を包み隠さず明かしてくれることを信じて尋ねました。
「アリス今まで言ってなかったけど僕は感動に心が湧くと嬉しくなって裸で走り回る癖があるんだ」
「え……?」
最後まで苦しげな弁解をして目の前にいるかわいい顔をひどく沈ませて放心状態にするほどの返答でした。
この人いきなり何を言い出すの? と頭が混乱しアリス令嬢は深い失望を感じる。
ロベルト殿下は我ながらうまい言い訳が口をついて出たとでも思っているのでしょうか? ドヤ顔で誇らしげな雰囲気を漂わせます。
「お前はそんな状態でまだ言い訳するつもりか!」
「ひ、ひぃっ!」
「殴られないと分からないのか!」
「ご、ごめんなさい……許して……」
ノア令息が怒りと苛立ちを含んだ声で威嚇するように言い放つ。
その瞬間ロベルト殿下は怯えた声を出して謝りその場にへたり込む。しょんぼりと頭をうなだれて子犬のように震えました。
荒っぽい言葉遣いで感情をむき出しにしていますが、妹のエマ令嬢の恋人で婚約者のノア令息は普段は温厚でアリス令嬢も何度か話したことがある。
いつも笑顔でゆったりとした優しい性格という印象でその微笑みが記憶に定着しているほどです。
それが今は鬼のような形相で血走った燃えるような瞳でロベルト殿下を睨みつけていました。
憔悴した美少年は愛する恋人にすがりつくような哀れの滲み出た視線を送り続けて助けを求めています。
しかしアリス令嬢は突き放したような表情で本気で見捨てるつもりの冷たく厳しい目をロベルト殿下に向けているのでした。
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