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第三話
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5日後、そこは王都でも噂に名高い病院内。
病室にいるのはオリヴィア令嬢と国王陛下に妻の王妃にその息子のウィリアム殿下。その他には医者や看護婦が数人。
「オリヴィア! 君はいいのか?」
「何がですか?」
「僕は将来の君の夫だ。その夫に生涯抱いてもらえないんだぞ?」
「構いませんよ」
「え!?」
「私は婚約も解消しますので」
「そんな、待ってくれ!」
「いい加減に黙れ!不肖の息子が!」
「お父様、今聞かれましたか? オリヴィアが僕との婚約を解消すると言いましたが…」
「そんなの当たり前のことだ!」
「どうして?」
「こんなろくでもない息子には聡明で美しいオリヴィア令嬢は勿体ないわ!」
「お父様ひどい…僕の出来が悪いのは自分でも理解していますがあんまりです」
「ウィリアム、早く女性になる手術をしてもらえ!」
「お父様お許しください!」
父親の国王陛下に手術を促されたウィリアム殿下は、膝をついてなり振り構わず謝ってきた。
「ウィリアムお前があの場で言ったのだぞ?」
「お父様、あれは冗談だったのです!」
「そんな言葉が通じると思ってるのか!」
「お父様、僕は王太子で未来の国王陛下なのですよ! その僕がこんな手術を受けるのですか?」
「そのことなら何も問題ない」
「どういうことですか?」
「お前は王族から除籍だ!」
「ええ!?」
「お前なんかよりも優秀な者はいくらでもいる。その者に私の後を継いでもらえばいい」
「そ、そんな……」
「今ではお前が息子だということで甘やかして育てたのも私は反省しているくらいだ」
絶望のどん底に落とされるウィリアム殿下。だけどこの場には彼に優しい言葉をかける者は誰一人としていない。
「ウィリアム」
「お母様!」
「もう諦めなさい」
「助けてくださいお母様!」
「いいえ、助けません。これはけじめです!」
「嫌だよーーー! あそこを切るなんて怖いよお母様ーーーー-!」
とうとう泣き出してしまったウィリアム殿下。
「ウィリアム黙りなさい!」
「お、お母様……」
「みっともないですよ!」
「お母様どうかお許しください!」
「ウィリアム往生際が悪いですよ!」
「お父様にこんなことはやめるようにお母様も頼んでください!」
「潔く諦めて手術を受けなさい!」
「お母様! 今後一切悪いことはしませんから今回だけは見逃してください!」
「自分の言った事に責任を取らないなんて男として恥ずかしいと思わないのですか!」
「僕を助けて……」
王妃は我が子を険しい目つきで叱責します。
病室にいるのはオリヴィア令嬢と国王陛下に妻の王妃にその息子のウィリアム殿下。その他には医者や看護婦が数人。
「オリヴィア! 君はいいのか?」
「何がですか?」
「僕は将来の君の夫だ。その夫に生涯抱いてもらえないんだぞ?」
「構いませんよ」
「え!?」
「私は婚約も解消しますので」
「そんな、待ってくれ!」
「いい加減に黙れ!不肖の息子が!」
「お父様、今聞かれましたか? オリヴィアが僕との婚約を解消すると言いましたが…」
「そんなの当たり前のことだ!」
「どうして?」
「こんなろくでもない息子には聡明で美しいオリヴィア令嬢は勿体ないわ!」
「お父様ひどい…僕の出来が悪いのは自分でも理解していますがあんまりです」
「ウィリアム、早く女性になる手術をしてもらえ!」
「お父様お許しください!」
父親の国王陛下に手術を促されたウィリアム殿下は、膝をついてなり振り構わず謝ってきた。
「ウィリアムお前があの場で言ったのだぞ?」
「お父様、あれは冗談だったのです!」
「そんな言葉が通じると思ってるのか!」
「お父様、僕は王太子で未来の国王陛下なのですよ! その僕がこんな手術を受けるのですか?」
「そのことなら何も問題ない」
「どういうことですか?」
「お前は王族から除籍だ!」
「ええ!?」
「お前なんかよりも優秀な者はいくらでもいる。その者に私の後を継いでもらえばいい」
「そ、そんな……」
「今ではお前が息子だということで甘やかして育てたのも私は反省しているくらいだ」
絶望のどん底に落とされるウィリアム殿下。だけどこの場には彼に優しい言葉をかける者は誰一人としていない。
「ウィリアム」
「お母様!」
「もう諦めなさい」
「助けてくださいお母様!」
「いいえ、助けません。これはけじめです!」
「嫌だよーーー! あそこを切るなんて怖いよお母様ーーーー-!」
とうとう泣き出してしまったウィリアム殿下。
「ウィリアム黙りなさい!」
「お、お母様……」
「みっともないですよ!」
「お母様どうかお許しください!」
「ウィリアム往生際が悪いですよ!」
「お父様にこんなことはやめるようにお母様も頼んでください!」
「潔く諦めて手術を受けなさい!」
「お母様! 今後一切悪いことはしませんから今回だけは見逃してください!」
「自分の言った事に責任を取らないなんて男として恥ずかしいと思わないのですか!」
「僕を助けて……」
王妃は我が子を険しい目つきで叱責します。
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