婚約者の王太子殿下が泣いて土下座するので浮気を許して再構築する〜次に浮気したら僕は女になってやるの言葉が実現した

佐藤 美奈

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第四話

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王妃はつい先ほどまでとは違い穏やかな表情になる。

「安心しなさいウィリアム」
「お母様!」

優しい声で息子に安心しなさいという言葉をかけた。

自分は救われたと希望に満ちた顔になったウィリアム殿下だったが速やかに失意に陥る。

「私はあなたが女性になっても、今まで通りちゃんと愛してあげますからね」
「嫌だよ!」
「早く手術をしてしまえ!」
「かしこまりました陛下」
「痛いのやだよーーー!」
「ウィリアム殿下、ご安心ください。麻酔をしますので痛みは全くございません」
「ほらウィリアム、医者も大丈夫だと言っているぞ」
「お父様ーーー! 許してーーーーー!」
「悪あがきするな!」
「一生女性を抱けないなんて僕は耐えられないよ!」

ウィリアム殿下の悲鳴が止まることなく病室内に響く。

「いい加減にしなさいウィリアム! もう薬で黙らせなさい!」
「わかりました」
「お母様そんな恐ろしいこと言わないで!」
「ウィリアム殿下、危ないですので暴れないでください」
「やめてーーーーー!」
「もっと人を呼んで全員でウィリアムの体を押さえればいいだろう」
「許してお父様ーーーーー!」
「もうお前は喋るな!」
「やめろーーー! 誰も僕に触るな!触るなって言ってるだろーーーーー! 僕の体に触るんじゃない!」
「ウィリアム見苦しいぞ!」
「やだよーーーーー!」
「おい、誰かウィリアムの口に何か突っ込んどけ、うるさくてかなわん!」
「オリヴィア!」

ワラにもすがる思いでウィリアム殿下がかつての婚約者の名前を呼びました。

「君からもお父様に何とか言ってくれ!」
「私にはどうすることもできません」
「そんなことない! 君がお願いしたらお父様も考え直すはずだ!」
「ウィリアム殿下、申し訳ありません」
「諦めないでくれ! 僕を見捨てないで…」
「ごめんなさい」
「僕が悪かった。オリヴィア愛してる! 好きだ! 君の言うことなら今後どんなお願いでも聞くから!」
「……」
「オリヴィアーーーーーーーーーーー!」

ウィリアム殿下の最後の頼みの綱のオリヴィアは顔を伏せてしまった。

その数秒後、口に布を入れられて声を出せなくなり、麻酔をされて10分後には眠ったウィリアム殿下。

やっと病室内が静寂に包まれる。

浮気相手のセリアにはそれ以上に重く厳しい処罰が与えられました。

体の足か腕を切断するか死ぬまで幽閉されるかというもの。

セリアは幽閉を選択し、一生暗くて狭い不衛生な場所に閉じこめられる。

彼女は悲惨な運命を辿ってあの世に逝く――

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この物語を、皆さまと共有できたことが何よりの幸せです。
またどこかの物語でお会いできますように。
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