婚約者を親友に寝取られた王太子殿下〜洗脳された婚約者は浮気相手の子供を妊娠したので一緒に育てようと言ってきたので捨てました

佐藤 美奈

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第3話

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予定よりもカフェに着くのに時間がかかる。

その理由はカフェに到着するまでにジョージは何度か女性に声をかけられ、逆ナンをされてしまったからだ。これも日常的な光景。

「どこに住んでるの?」なんて初対面で聞かれてたよ。

さすがにジョージも少し困惑していたけどね。

カフェの椅子に座り正面から向き合う。鏡の前のように無意識にキメ顔をするジョージ。

「あの、ご注文は?」

このカフェの看板娘で実は、オリバー殿下が前から可愛いと思って気になっている子で名前はグレース。

なぜかいつもよりも愛想がいい気がする。彼女がポッと頬を染めて言う。

「あの、ジョージさんですよね?」
「そうだけど?」
「あの…前から好きでした!」
「前から好きって? 僕はこのカフェには数回しか来たことないんだけど?」
「でも、初めて見た時から好きになって…次にいらしたら告白しようと心に決めていたんです」
「困ったな…」
「迷惑でしょうか?」
「そんなことはないけどさ。今親友と大事な話をしてるから悪いけど…」
「そうですか…」
「それに今は君は仕事中だろ?」
「はい……」
「客に対してそんなことを言うのは店員としてどうかと思うよ」
「申し訳ありません」

カフェの看板娘の子は悲しそうな顔をして伏し目がちになる。

想い人にお叱りを受けて切ない雰囲気の彼女にオリバー殿下は声をかける。

「あの、話が終わったら後でジョージと話せるようにしてあげるよ」

彼女に同情してオリバー殿下は無意識のまま言ってしまった。

「ありがとうございます。優しいんですね。どなたかわかりませんが……」

彼女は伏せていた顔を上げて、にこやかな顔になりオリバー殿下に感謝してくれたが最後の言葉にオリバー殿下は心が痛む。

それを察してジョージが口を開く。

「あの、このカフェにいつも通っているのは、そこに座っている僕の親友のオリバーで僕はいつも彼に連れて来てもらってるだけなのに君は彼の名前も知らないのかい?」

「はい、すみません……」

オリバー殿下は強い精神的打撃を受ける。
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