3 / 11
第3話
しおりを挟む
予定よりもカフェに着くのに時間がかかる。
その理由はカフェに到着するまでにジョージは何度か女性に声をかけられ、逆ナンをされてしまったからだ。これも日常的な光景。
「どこに住んでるの?」なんて初対面で聞かれてたよ。
さすがにジョージも少し困惑していたけどね。
カフェの椅子に座り正面から向き合う。鏡の前のように無意識にキメ顔をするジョージ。
「あの、ご注文は?」
このカフェの看板娘で実は、オリバー殿下が前から可愛いと思って気になっている子で名前はグレース。
なぜかいつもよりも愛想がいい気がする。彼女がポッと頬を染めて言う。
「あの、ジョージさんですよね?」
「そうだけど?」
「あの…前から好きでした!」
「前から好きって? 僕はこのカフェには数回しか来たことないんだけど?」
「でも、初めて見た時から好きになって…次にいらしたら告白しようと心に決めていたんです」
「困ったな…」
「迷惑でしょうか?」
「そんなことはないけどさ。今親友と大事な話をしてるから悪いけど…」
「そうですか…」
「それに今は君は仕事中だろ?」
「はい……」
「客に対してそんなことを言うのは店員としてどうかと思うよ」
「申し訳ありません」
カフェの看板娘の子は悲しそうな顔をして伏し目がちになる。
想い人にお叱りを受けて切ない雰囲気の彼女にオリバー殿下は声をかける。
「あの、話が終わったら後でジョージと話せるようにしてあげるよ」
彼女に同情してオリバー殿下は無意識のまま言ってしまった。
「ありがとうございます。優しいんですね。どなたかわかりませんが……」
彼女は伏せていた顔を上げて、にこやかな顔になりオリバー殿下に感謝してくれたが最後の言葉にオリバー殿下は心が痛む。
それを察してジョージが口を開く。
「あの、このカフェにいつも通っているのは、そこに座っている僕の親友のオリバーで僕はいつも彼に連れて来てもらってるだけなのに君は彼の名前も知らないのかい?」
「はい、すみません……」
オリバー殿下は強い精神的打撃を受ける。
その理由はカフェに到着するまでにジョージは何度か女性に声をかけられ、逆ナンをされてしまったからだ。これも日常的な光景。
「どこに住んでるの?」なんて初対面で聞かれてたよ。
さすがにジョージも少し困惑していたけどね。
カフェの椅子に座り正面から向き合う。鏡の前のように無意識にキメ顔をするジョージ。
「あの、ご注文は?」
このカフェの看板娘で実は、オリバー殿下が前から可愛いと思って気になっている子で名前はグレース。
なぜかいつもよりも愛想がいい気がする。彼女がポッと頬を染めて言う。
「あの、ジョージさんですよね?」
「そうだけど?」
「あの…前から好きでした!」
「前から好きって? 僕はこのカフェには数回しか来たことないんだけど?」
「でも、初めて見た時から好きになって…次にいらしたら告白しようと心に決めていたんです」
「困ったな…」
「迷惑でしょうか?」
「そんなことはないけどさ。今親友と大事な話をしてるから悪いけど…」
「そうですか…」
「それに今は君は仕事中だろ?」
「はい……」
「客に対してそんなことを言うのは店員としてどうかと思うよ」
「申し訳ありません」
カフェの看板娘の子は悲しそうな顔をして伏し目がちになる。
想い人にお叱りを受けて切ない雰囲気の彼女にオリバー殿下は声をかける。
「あの、話が終わったら後でジョージと話せるようにしてあげるよ」
彼女に同情してオリバー殿下は無意識のまま言ってしまった。
「ありがとうございます。優しいんですね。どなたかわかりませんが……」
彼女は伏せていた顔を上げて、にこやかな顔になりオリバー殿下に感謝してくれたが最後の言葉にオリバー殿下は心が痛む。
それを察してジョージが口を開く。
「あの、このカフェにいつも通っているのは、そこに座っている僕の親友のオリバーで僕はいつも彼に連れて来てもらってるだけなのに君は彼の名前も知らないのかい?」
「はい、すみません……」
オリバー殿下は強い精神的打撃を受ける。
45
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者と養い親に不要といわれたので、幼馴染の側近と国を出ます
衿乃 光希
恋愛
卒業パーティーの最中、婚約者から突然婚約破棄を告げられたシェリーヌ。
婚約者の心を留めておけないような娘はいらないと、養父からも不要と言われる。
シェリーヌは16年過ごした国を出る。
生まれた時からの側近アランと一緒に・・・。
第18回恋愛小説大賞エントリーしましたので、第2部を執筆中です。
第2部祖国から手紙が届き、養父の体調がすぐれないことを知らされる。迷いながらも一時戻ってきたシェリーヌ。見舞った翌日、養父は天に召された。葬儀後、貴族の死去が相次いでいるという不穏な噂を耳にする。恋愛小説大賞は51位で終了しました。皆さま、投票ありがとうございました。
幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。
喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。
学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。
しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。
挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。
パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。
そうしてついに恐れていた事態が起きた。
レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。
山葵
恋愛
私の愛する旦那様。私は貴方と結婚して幸せでした。
姉は「協力するよ!」と言いながら友達や私の好きな人に近づき「彼、私の事を好きだって!私も話しているうちに好きになっちゃったかも♡」と言うのです。
そんな姉が離縁され実家に戻ってきました。
婚約解消したはずなのに、元婚約者が嫉妬心剥き出しで怖いのですが……
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のフローラと侯爵令息のカルロス。二人は恋愛感情から婚約をしたのだったが……。
カルロスは隣国の侯爵令嬢と婚約をするとのことで、フローラに別れて欲しいと告げる。
国益を考えれば確かに頷ける行為だ。フローラはカルロスとの婚約解消を受け入れることにした。
さて、悲しみのフローラは幼馴染のグラン伯爵令息と婚約を考える仲になっていくのだが……。
なぜかカルロスの妨害が入るのだった……えっ、どういうこと?
フローラとグランは全く意味が分からず対処する羽目になってしまう。
「お願いだから、邪魔しないでもらえませんか?」
【完結】あなただけがスペアではなくなったから~ある王太子の婚約破棄騒動の顛末~
春風由実
恋愛
「兄上がやらかした──」
その第二王子殿下のお言葉を聞いて、私はもう彼とは過ごせないことを悟りました。
これまで私たちは共にスペアとして学び、そして共にあり続ける未来を描いてきましたけれど。
それは今日で終わり。
彼だけがスペアではなくなってしまったから。
※短編です。完結まで作成済み。
※実験的に一話を短くまとめサクサクと気楽に読めるようにしてみました。逆に読みにくかったら申し訳ない。
※おまけの別視点話は普通の長さです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる