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11話
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「ロバート正気で言っているの?頭は大丈夫?親子の縁も切るって言われたじゃないの」
「僕の頭はおかしくなってなんかいない!ニーナは心配しすぎだよ。昔から神経質なところがあるからな」
この人の知的能力は子供と変わらないの?ニーナは拍子抜けしたようで急にがっくりした。異常なまでの頭の悪さと判断力に欠けている金髪のハンサムは、自分が劣ったものと見なされて侮辱を受けていることは理解できたらしく正常な頭だと強く言い張る。
「どこまでお気楽で頭がからっぽなのよ。あなたは天性の馬鹿で救いようがないわ」
「ニーナ?」
ここまで考えが足りない人だとは計算外だった。まずニーナの本心はロバートが婚約破棄を強行したことも思わぬ方向に進んだ。続いて王家の信頼や公爵家の名誉を失墜させたとして、国外追放の刑を言い渡されるという重い罪を課せられた。
想定外の事態が次々と発生したが、ニーナはできる限りのことをやってロバートを救おうとした。しかし残念なことに、この騒ぎの当の本人は楽観視しすぎてニーナが助言を与えても拒否した。
(馬鹿につける薬はないから仕方がないよね……)
その上ロバートはずれた発言をして逆切れ気味に怒って、心配性な性格で神経質になり過ぎていると皮肉なことを口にした。低能者であるロバートに見下すような冷笑されて、神経を苛立たせたニーナは何かがプツンと切れてしまった。
「ロバートさよなら」
ニーナはついに愛想を尽かす。ほんのわずかに残っていた愛情が消えてしまって、もう諦めたといった表情をしてロバートに別れの言葉を告げて立ち去ろうとした。
「ニーナどこに行くんだ!」
「汚い手で触らないで!あなたには関係ないでしょ」
ロバートはとっさに腕を伸ばしてニーナの腕をつかむと思わず責めるような声を出していた。ニーナは怒りをこめて睨みつけて虫でも払うようにロバートの手を不潔だと振り払って憎まれ口をたたく。ロバートは頭から冷水を浴びせられたような気分になった。
「な……!?なんてこと言うんだ。それがニーナの本性か!」
「馴れ馴れしく名前を呼ばないでください。私は王妃になりたかったの!王族から追放された時点であなたはゴミ同然で価値はありませんわ」
ニーナから面と向かって初めてきつい言葉を投げかけられた。ロバートは思いがけない暴言だったのですぐに言葉が出なかったが、怒りに似た気持ちが燃え上がってきた。ニーナの隠していた裏の顔を知って蛇の皮をきせたような人間だと感じた。
ニーナは凍りつくような冷たい眼差しを向けて薄笑いを浮かべて言う。人間のくずみたいで利用価値の低い奴だと激しい非難の声をロバートにぶつけた。ロバートは毒づく声を聞きながら苦しいほどの眩暈を覚えるがどうにか耐えていた。
「待ってくれニーナ!!もう僕には君しかいないんだ……僕が悪かったから許してくれ」
「惨めな人ですね」
床に崩れおちて涙を流して情けない顔をしているロバートを見下ろすようにして見た。ニーナの眼差しにはひどく冷たいものが感じられる。
ロバートはニーナの膝に泣きすがって詫びる言葉を言いますが、ニーナの意志を変えることは不可能だった。ニーナは最後のとどめを刺す一言を口にして部屋を出ていく。ロバートは一生忘れられない衝撃を受けて、立ち直れない傷を心に負い体を震わせて泣き続けていた。
「僕の頭はおかしくなってなんかいない!ニーナは心配しすぎだよ。昔から神経質なところがあるからな」
この人の知的能力は子供と変わらないの?ニーナは拍子抜けしたようで急にがっくりした。異常なまでの頭の悪さと判断力に欠けている金髪のハンサムは、自分が劣ったものと見なされて侮辱を受けていることは理解できたらしく正常な頭だと強く言い張る。
「どこまでお気楽で頭がからっぽなのよ。あなたは天性の馬鹿で救いようがないわ」
「ニーナ?」
ここまで考えが足りない人だとは計算外だった。まずニーナの本心はロバートが婚約破棄を強行したことも思わぬ方向に進んだ。続いて王家の信頼や公爵家の名誉を失墜させたとして、国外追放の刑を言い渡されるという重い罪を課せられた。
想定外の事態が次々と発生したが、ニーナはできる限りのことをやってロバートを救おうとした。しかし残念なことに、この騒ぎの当の本人は楽観視しすぎてニーナが助言を与えても拒否した。
(馬鹿につける薬はないから仕方がないよね……)
その上ロバートはずれた発言をして逆切れ気味に怒って、心配性な性格で神経質になり過ぎていると皮肉なことを口にした。低能者であるロバートに見下すような冷笑されて、神経を苛立たせたニーナは何かがプツンと切れてしまった。
「ロバートさよなら」
ニーナはついに愛想を尽かす。ほんのわずかに残っていた愛情が消えてしまって、もう諦めたといった表情をしてロバートに別れの言葉を告げて立ち去ろうとした。
「ニーナどこに行くんだ!」
「汚い手で触らないで!あなたには関係ないでしょ」
ロバートはとっさに腕を伸ばしてニーナの腕をつかむと思わず責めるような声を出していた。ニーナは怒りをこめて睨みつけて虫でも払うようにロバートの手を不潔だと振り払って憎まれ口をたたく。ロバートは頭から冷水を浴びせられたような気分になった。
「な……!?なんてこと言うんだ。それがニーナの本性か!」
「馴れ馴れしく名前を呼ばないでください。私は王妃になりたかったの!王族から追放された時点であなたはゴミ同然で価値はありませんわ」
ニーナから面と向かって初めてきつい言葉を投げかけられた。ロバートは思いがけない暴言だったのですぐに言葉が出なかったが、怒りに似た気持ちが燃え上がってきた。ニーナの隠していた裏の顔を知って蛇の皮をきせたような人間だと感じた。
ニーナは凍りつくような冷たい眼差しを向けて薄笑いを浮かべて言う。人間のくずみたいで利用価値の低い奴だと激しい非難の声をロバートにぶつけた。ロバートは毒づく声を聞きながら苦しいほどの眩暈を覚えるがどうにか耐えていた。
「待ってくれニーナ!!もう僕には君しかいないんだ……僕が悪かったから許してくれ」
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