幼馴染の勇者パーティーから「無能で役立たず」と言われて追放された女性は特別な能力を持っている世界最強。

佐藤 美奈

文字の大きさ
15 / 30

第15話

しおりを挟む
「あの、ところでジョージさんは身体能力の強化は何倍にできるんですか?」

ついでながら教えてくださいとレベッカは、ジョージは身体能力の強化はどの程度なのか?と尋ねてみました。

「……5倍だ……」
「50倍ですか?」

レオンは言いにくそうにくちびるすぼめてぼそぼそと言う。だが、声が小さくてほとんど聞き取れないのです。レベッカは50倍かと聞き返しました。

「5倍……」
「え?聞こえないですけど?」
「……5倍」
「はっきり言ってください」
「だからジョージは全力で頑張って5なんだよ!ジョージがで悪かったな!!」

そしたらまた静かすぎるほどの声でレオンは、どこか悲しげに首を小さく左右に振りながら言った。なに?レベッカは彼が消えそうな声で言うので、分からないと問いただすように声を出した。するとレオンはひときわ大声を響き渡らせる。

どうやらジョージは持てる力のすべて尽くしても5倍が精一杯らしい。世界一の付与術師がたった5倍って低すぎじゃないの?そりゃ恥ずかしくて言いづらいわ……とレベッカは納得した顔になった。

「たったの5倍って本当?低すぎないですか?」

でもいくらなんでもSランクパーティーで世界一の付与術師で5倍はないよね?そう思いながら自分をに違いないとレベッカは思いはじめて聞いてみた。

「レベッカ5倍でも凄いことなのよ?」
「そうなんですか?」
「一般的な付与術師は能力を2倍に上げるのがやっとなんだぞ?」

5倍って凄いんだよ?アメリアが呆れ果てたように話しだすと、レベッカは短く返事をする。同じく呆れ顔で目を丸くして見つめていたリアムも、言わずにはいられなくて熱を込めて言う。

「レベッカさっきは声を荒げてすまない。でもジョージでも全力で5倍なのに能力を100倍に強化できる付与術師がこの世界に存在するなんて信じられなくてつい……」

先ほど思わず怒っているような大声をあげてしまったことをレオンは詫びた。普段の彼は美しい容姿に温厚な性格で親しまれている。だがさっきは紳士的な振る舞いとは、ほど遠いものと言わざるを得ない。

レベッカは全く気にしていなくて、何か問題でも?みたいな顔をしていた。なぜなら幼馴染の勇者パーティーにいた時は、どうでもいい事で再三にわたり怒鳴られていたからです。

「それに5倍の能力を付与するとジョージは、反動を受けて数日間は気を失ってしまうのよ」
「えぇーっ、嘘でしょ?たった5倍でそんな風になるの?」

マリンは眉をひそめ、穏かならぬ感情を告白した。ジョージはたかだか5倍の能力の付与を仲間に行うだけで、精神的にも体力的にも疲労して耐えられなくなり、身体が消耗しょうもうし切っているのは明らかな状態になって、数日間も気絶してベッドの上にいるみたいだ。

レベッカはマリンの想像が及びもつかない言葉に、ど肝を抜かれてきょとんとした顔になって大いに驚いていたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。

鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。 さらに、偽聖女と決めつけられる始末。 しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!? 他サイトにも重複掲載中です。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

クゥクーの娘

章槻雅希
ファンタジー
コシュマール侯爵家3男のブリュイアンは夜会にて高らかに宣言した。 愛しいメプリを愛人の子と蔑み醜い嫉妬で苛め抜く、傲慢なフィエリテへの婚約破棄を。 しかし、彼も彼の腕にしがみつくメプリも気づいていない。周りの冷たい視線に。 フィエリテのクゥクー公爵家がどんな家なのか、彼は何も知らなかった。貴族の常識であるのに。 そして、この夜会が一体何の夜会なのかを。 何も知らない愚かな恋人とその母は、その報いを受けることになる。知らないことは罪なのだ。 本編全24話、予約投稿済み。 『小説家になろう』『pixiv』にも投稿。

怖いからと婚約破棄されました。後悔してももう遅い!

秋鷺 照
ファンタジー
ローゼは第3王子フレッドの幼馴染で婚約者。しかし、「怖いから」という理由で婚約破棄されてしまう。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?

カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。 フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。

(完結)初恋の勇者が選んだのは聖女の……でした

青空一夏
ファンタジー
私はアイラ、ジャスミン子爵家の長女だ。私には可愛らしい妹リリーがおり、リリーは両親やお兄様から溺愛されていた。私はこの国の基準では不器量で女性らしくなく恥ずべき存在だと思われていた。 この国の女性美の基準は小柄で華奢で編み物と刺繍が得意であること。風が吹けば飛ぶような儚げな風情の容姿が好まれ家庭的であることが大事だった。 私は読書と剣術、魔法が大好き。刺繍やレース編みなんて大嫌いだった。 そんな私は恋なんてしないと思っていたけれど一目惚れ。その男の子も私に気があると思っていた私は大人になってから自分の手柄を彼に譲る……そして彼は勇者になるのだが…… 勇者と聖女と魔物が出てくるファンタジー。ざまぁ要素あり。姉妹格差。ゆるふわ設定ご都合主義。中世ヨーロッパ風異世界。 ラブファンタジーのつもり……です。最後はヒロインが幸せになり、ヒロインを裏切った者は不幸になるという安心設定。因果応報の世界。

金喰い虫ですって!? 婚約破棄&追放された用済み聖女は、実は妖精の愛し子でした ~田舎に帰って妖精さんたちと幸せに暮らします~

アトハ
ファンタジー
「貴様はもう用済みだ。『聖女』などという迷信に踊らされて大損だった。どこへでも行くが良い」  突然の宣告で、国外追放。国のため、必死で毎日祈りを捧げたのに、その仕打ちはあんまりでではありませんか!  魔法技術が進んだ今、妖精への祈りという不確かな力を行使する聖女は国にとっての『金喰い虫』とのことですが。 「これから大災厄が来るのにね~」 「ばかな国だね~。自ら聖女様を手放そうなんて~」  妖精の声が聞こえる私は、知っています。  この国には、間もなく前代未聞の災厄が訪れるということを。  もう国のことなんて知りません。  追放したのはそっちです!  故郷に戻ってゆっくりさせてもらいますからね! ※ 他の小説サイト様にも投稿しています

処理中です...