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第14話

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「ほとんどの付与術師は1分以上かかるのが普通だよ」
「そ、そうなの?」

アメリアがレベッカの質問に答えてくれる。大抵の場合は1分がだと言うのだ。その言葉にレベッカは大いに動揺した。

「だからジョージの30秒は凄いことなんだぞ?」
「ジョージほどの付与術師には今までに会った事がなかった。彼は間違いなく世界一の付与術師だと思っていたのに……」

迷いこんだ顔のリアムが言う。ひどく困惑した気配がその声にはあった。マリンも現実が受け入れられないという風に気持ちがぐらついている。

確かに彼らの言う通りなら、一般的な付与術師が1分程度ならジョージが30秒なら相当早いのだろう。だがレベッカは遅いと感じる。何しろ幼馴染の勇者パーティーにいた時は、数秒遅かっただけで不遜ふそんな態度で不満を漏らされるのです。

「正直に言うとレベッカの腕前を確認すると言ったが、ジョージの代わりが務まるとは思えなかった」
「私もそう思ってたわ。レベッカごめんなさい」

すると申し訳なさそうな顔をしてレオンが自らの心の扉を開き始める。彼の本音はジョージと比べるとレベッカは劣ると思っていた。それでも付与術師の大切さを理解しているのでレベッカには感謝はしていました。

アメリアも沈んだ顔つきで話す。彼女もレオンと同じ気持ちだったようだ。その理由は付与術師の世界大会で、何度も優勝をしているジョージ以上の付与術師がこの世にいるとは思えなかった。

「俺もだ。ていうか全員そう思ってたんじゃないか?」
「……実は私も……」

リアムがそう言うとマリンがうつむきながら恥ずかしそうに、ぽつりとつぶやいた。やはり全員が同じ思いだったらしい。

「ちなみに、この身体能力の強化は何倍くらいだ?」
「100倍です」

ふと気がついて何気なくレオンが聞いた。どのくらいの身体能力の強化をしたのか?レベッカは平気な顔で答える。それが彼女の今できる最大限の能力アップであった。

「はぁ?聞き間違いかもしれないからレベッカもう一度言ってくれないか?どうやら耳がおかしくなったらしい」

レオンは素っ頓狂な声を上げてしまった。レベッカの発言がとんでもなくて、気絶してしまいそうだったのを何とか耐えた。

「100倍ですけど?」
「嘘、信じられない……」
「ひゃ、100倍……!?じょ、冗談だろう?」
「夢じゃなかろうか?」
「にわかには信じがたいけど……」

レベッカが改めて答えると、それに続いて他のメンバーたちも心臓が止まる思いだった。そして衝撃を受けて全身が小刻みに震え出しながら、誰もが驚愕きょうがくの響きを帯びた声を発した。
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