幼馴染の勇者パーティーから「無能で役立たず」と言われて追放された女性は特別な能力を持っている世界最強。

佐藤 美奈

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第28話

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「攻撃魔法と回復魔法は使えなくはないけど、付与術以外は苦手で……ごめんなさい」

レオンに攻撃魔法は使える?と聞かれたレベッカは気まずそうな顔で話した。勇者パーティーにいた時は、付与しかできないと言われていました。

自分でもあまり戦闘能力があるとは思ってもいないし、戦いのときには常に後ろに控えて幼馴染たちを強ばった顔で見守って応援していた。そのことに対し罪悪感を抱いていたので、食事や掃除など様々な雑用係を積極的に引き受けていた。

「そんなこと気にすることないわ!」
「え……?」

肩身の狭い思いをする必要は何もないと、アメリアが手を取り元気づけるように微笑んでみせた。レベッカは少し困惑した面持ちだった。

「レベッカも自分にも付与はかけれるんだから、問題なく戦えると思うぞ?」
「能力を100倍にするだけで凄いんだから!レオンは他に何を望んでいるの?」

リアムが最もな意見を口にすると、マリンも100倍の能力を付与することが出来るレベッカには、それだけでも充分に価値があると真面目な顔で熱心に話した。

今は家の事情で休んでいる付与術師の世界大会で、何度も優勝をしているジョージという彼らの本来の仲間である付与術師が、全力で5倍なのだからレベッカは比較にならない。しかもジョージは5倍を使用すると数日間は疲労で動けなくなる。

「いや、俺はそんなつもりで言ったわけじゃないんだ……でもレベッカがそれほど悩んでいるとは思わなくて悪かった」

マリンに責めるような口調で言われてレオンの表情がけわしいものとなる。だが彼は別に悪気があってレベッカに質問したのではない。とは言えレベッカが深い悲しみに包まれているので心苦しく感じて謝った。

「私のほうこそすみません。幼馴染たちに言われていたことを思い出して……」

レベッカが気持ちを整理しておもむろに口を開いた。レオンが悪気がないことはわかっているので、申し訳ありませんと座ったまま頭を下げる。

「レベッカは友達たちに長年こき使われて泣いて暮らしていたのよ!」
「さっきレベッカが話してくれた事をレオンはもう忘れたの?」

レベッカの心情を察してかアメリアとマリンがとがめるような厳しい視線を向けて言った。勇者パーティーはギャンブルで多額の借金返済に追われて、さらに容姿やスタイルの良いアルスというリーダーを務める男は、メンバー以外にも複数の女性と肉体関係を持っていると聞かされていたのです。

「そうだったな。すまない……」

レベッカはそんな性根の腐った奴らにしいたげられて暮らして、一人で苦しい家計をして生活を支えてきた。レオンは今一度謝罪の言葉を口にする。リアムは無言のまま考え込んで、アルスのことを少しだけ羨ましく感じていた。
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