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第27話
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「これからは皆でレベッカの事を支えていけばいい!」
レベッカから勇者パーティーの闇の部分を聞かされたSランクパーティーの彼らは、重く沈んだ顔色をしていた。無言のまましばらく俯いているとレオンが沈黙を破った。
レオンは少し無理をして微笑んで、レベッカの事は自分たちが支えて守っていこうと力強い声をあげる。
「そ、そうよ。レベッカは私たちのパーティーに入ったんだからね」
「その通りだ。もうレベッカは俺たちの大切な仲間だ」
「みんな表情が固いよ?今はレベッカの歓迎会なんだから明るくしないと!」
レオンにつられて戸惑うような曖昧な笑みを浮かべてアメリアが話し出すと、リアムもすでにレベッカは仲間であると皆と同様の言葉を口にした。
マリンは緊張で皆の顔がこわばった様子なのを指摘する。今はレベッカが仲間に加わった楽しいお祝いパーティーなのだ。笑顔を忘れていると声をかけると、全員が明るさがこぼれるように笑顔を振りまきはじめる。
「これからよろしくお願いします」
最低な幼馴染たちの勇者パーティーの事は記憶の底に置いて、彼らと頑張って生きていこうとレベッカは決意したように唇を開く。
「レべッカその言葉は少し固いかな?」
「もっとフランクにいこうぜ!」
「遠慮することはないのよ?」
「私たちが貴族なのも気にしないでね」
「……ありがとう。みんなよろしく」
一人残らず顔には明るさを取り戻していた。レオンが思った事を口にすると、リアムが開放的で軽快なスタイルでいこうと元気よく言った。アメリアとマリンも仲間なんだから気を遣う必要はないと話す。レベッカは彼らの優しさに触れて、笑顔をむけて綺麗な響きを持った声を発した。
「――さて、そろそろ真面目な話をするか……」
気の晴れた顔つきで明るい雰囲気に包まれていたら、カップをテーブルに置くとレオンが真剣な目つきに変わって改まった声で言う。
「これからの作戦会議ね!」
「レベッカは基本的にはジョージと同じ立ち回りでいいんじゃないの?」
「そうだな」
陽気なおしゃべりをしていたアメリアも不意に口元を引き締める。Sランクパーティーの彼らは、本来の仲間のジョージという付与術師が家の事情で休んでしまって、戦力的にダウンして困っていた。
藁をつかむような望みで、冒険者ギルドで付与術師を募集していたのだ。リアムとマリンも鋭い眼差しで意見を口にする。
「レベッカは付与術師の他には攻撃魔法とかは使えるのか?」
考え込んで額に深いしわを寄せていたレオンが、レベッカにそう問いかけた。彼の声の調子は穏やかだと感じた。
レベッカから勇者パーティーの闇の部分を聞かされたSランクパーティーの彼らは、重く沈んだ顔色をしていた。無言のまましばらく俯いているとレオンが沈黙を破った。
レオンは少し無理をして微笑んで、レベッカの事は自分たちが支えて守っていこうと力強い声をあげる。
「そ、そうよ。レベッカは私たちのパーティーに入ったんだからね」
「その通りだ。もうレベッカは俺たちの大切な仲間だ」
「みんな表情が固いよ?今はレベッカの歓迎会なんだから明るくしないと!」
レオンにつられて戸惑うような曖昧な笑みを浮かべてアメリアが話し出すと、リアムもすでにレベッカは仲間であると皆と同様の言葉を口にした。
マリンは緊張で皆の顔がこわばった様子なのを指摘する。今はレベッカが仲間に加わった楽しいお祝いパーティーなのだ。笑顔を忘れていると声をかけると、全員が明るさがこぼれるように笑顔を振りまきはじめる。
「これからよろしくお願いします」
最低な幼馴染たちの勇者パーティーの事は記憶の底に置いて、彼らと頑張って生きていこうとレベッカは決意したように唇を開く。
「レべッカその言葉は少し固いかな?」
「もっとフランクにいこうぜ!」
「遠慮することはないのよ?」
「私たちが貴族なのも気にしないでね」
「……ありがとう。みんなよろしく」
一人残らず顔には明るさを取り戻していた。レオンが思った事を口にすると、リアムが開放的で軽快なスタイルでいこうと元気よく言った。アメリアとマリンも仲間なんだから気を遣う必要はないと話す。レベッカは彼らの優しさに触れて、笑顔をむけて綺麗な響きを持った声を発した。
「――さて、そろそろ真面目な話をするか……」
気の晴れた顔つきで明るい雰囲気に包まれていたら、カップをテーブルに置くとレオンが真剣な目つきに変わって改まった声で言う。
「これからの作戦会議ね!」
「レベッカは基本的にはジョージと同じ立ち回りでいいんじゃないの?」
「そうだな」
陽気なおしゃべりをしていたアメリアも不意に口元を引き締める。Sランクパーティーの彼らは、本来の仲間のジョージという付与術師が家の事情で休んでしまって、戦力的にダウンして困っていた。
藁をつかむような望みで、冒険者ギルドで付与術師を募集していたのだ。リアムとマリンも鋭い眼差しで意見を口にする。
「レベッカは付与術師の他には攻撃魔法とかは使えるのか?」
考え込んで額に深いしわを寄せていたレオンが、レベッカにそう問いかけた。彼の声の調子は穏やかだと感じた。
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