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第7話
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「ナルセス王子は種無しなんでしょう?」
「それは……」
「本当のようですね。ふん、まぁいいわ。それと私が許可するまでアイシャとは身体を重ね合わせるようなことはしないでくださいね」
「分かった……」
ルージュはナルセスに対して、無礼でいかがわしい質問をして男性の尊厳や誇りを遠慮なく踏みにじる事を言っていたらしい。
最初から道徳を持ち合わせてないか既に手放したルージュの下品な発言に、アイシャは尋常でない怒りの感情を抱きながら調査書をひととおり見る。
でもおかしい?ナルセスが怒りと屈辱で堪忍袋の緒が切れて、ルージュを強く非難しても仕方がないことなのに、信じられないほど腰が引けている対応。
「ナルセスが種無し?それよりもルージュは何でそのことを知ってるの?なにか弱みにつけ込まれているの?」
ルージュは妻のアイシャでさえ知る由もないことを語り、弱みを握り思うがままにナルセスを動かそうとしている。アイシャは無意識にそうつぶやく。推測にすぎないがそう思うのが普通だった。
もはや起こることのあり得ない出来事に、アイシャは混乱すばかりで冷静に受け止めるにはまだ心が処理をできずに、とても悔しいという嫉妬心からなのか涙を流しながら唇を噛んでいた。
「ただいまアイシャ」
「お帰りなさいナルセス今日も早いのね」
「しばらくはこんな感じかな。アイシャと一緒にいられる時間が増えるから僕は嬉しいよ」
次の日も職務を片付けたナルセスが早めに帰宅した。曇りのない爽やかな笑顔を浮かべて挨拶をすると、アイシャも満面の笑顔で出迎える。ナルセスはこれからは早く帰れるようになったと言う。
「突然どうしたの?」
歩いているといきなり背後から抱きしめられる。アイシャは動揺していたが、ナルセスは何も言わずに強く抱きしめ続けると、アイシャの体に力が入っていたのが徐々に力が抜けていく。
鼓動が落ちついてアイシャはようやく安心したような顔になる。だが、ナルセスはアイシャの体を正面に向けてお構い無しにキスをする。久しぶりの唇はとても柔らかくて少しの間吸いついて深いキスに変わっていく。
一体いつ以来のキスだろうか?唇から身体全体に高揚した気分が広がる。時間にして数分間夫婦の結束を深めるように口付けを交わした。
「何かあったの?」
「アイシャすまない」
「情熱的で驚いたけど……ナルセス大丈夫?」
「アイシャに元気をもらったから心配ないよ」
ナルセスは虚ろな表情のまま、目に涙を浮かべていた。心配そうな面持ちでアイシャは思わず問いただしますが、ナルセスの哀れを感じる顔を見るとそれ以上は追及できませんでした。
「それは……」
「本当のようですね。ふん、まぁいいわ。それと私が許可するまでアイシャとは身体を重ね合わせるようなことはしないでくださいね」
「分かった……」
ルージュはナルセスに対して、無礼でいかがわしい質問をして男性の尊厳や誇りを遠慮なく踏みにじる事を言っていたらしい。
最初から道徳を持ち合わせてないか既に手放したルージュの下品な発言に、アイシャは尋常でない怒りの感情を抱きながら調査書をひととおり見る。
でもおかしい?ナルセスが怒りと屈辱で堪忍袋の緒が切れて、ルージュを強く非難しても仕方がないことなのに、信じられないほど腰が引けている対応。
「ナルセスが種無し?それよりもルージュは何でそのことを知ってるの?なにか弱みにつけ込まれているの?」
ルージュは妻のアイシャでさえ知る由もないことを語り、弱みを握り思うがままにナルセスを動かそうとしている。アイシャは無意識にそうつぶやく。推測にすぎないがそう思うのが普通だった。
もはや起こることのあり得ない出来事に、アイシャは混乱すばかりで冷静に受け止めるにはまだ心が処理をできずに、とても悔しいという嫉妬心からなのか涙を流しながら唇を噛んでいた。
「ただいまアイシャ」
「お帰りなさいナルセス今日も早いのね」
「しばらくはこんな感じかな。アイシャと一緒にいられる時間が増えるから僕は嬉しいよ」
次の日も職務を片付けたナルセスが早めに帰宅した。曇りのない爽やかな笑顔を浮かべて挨拶をすると、アイシャも満面の笑顔で出迎える。ナルセスはこれからは早く帰れるようになったと言う。
「突然どうしたの?」
歩いているといきなり背後から抱きしめられる。アイシャは動揺していたが、ナルセスは何も言わずに強く抱きしめ続けると、アイシャの体に力が入っていたのが徐々に力が抜けていく。
鼓動が落ちついてアイシャはようやく安心したような顔になる。だが、ナルセスはアイシャの体を正面に向けてお構い無しにキスをする。久しぶりの唇はとても柔らかくて少しの間吸いついて深いキスに変わっていく。
一体いつ以来のキスだろうか?唇から身体全体に高揚した気分が広がる。時間にして数分間夫婦の結束を深めるように口付けを交わした。
「何かあったの?」
「アイシャすまない」
「情熱的で驚いたけど……ナルセス大丈夫?」
「アイシャに元気をもらったから心配ないよ」
ナルセスは虚ろな表情のまま、目に涙を浮かべていた。心配そうな面持ちでアイシャは思わず問いただしますが、ナルセスの哀れを感じる顔を見るとそれ以上は追及できませんでした。
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