誕生日パーティーで婚約破棄を発表された「幼馴染が妊娠したから結婚する!」王子が体を壊して地獄の苦しみを経験する。

佐藤 美奈

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第66話

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「アリーナ様、ご気分はいかがですか?」

元王子のレオナルドは辺境伯家でアリーナお嬢様の専属執事として住み込みで働いている使用人。レオナルドはダンスで踊り疲れたアリーナの体を優しくマッサージしていた。

この日は宮殿で恒例の舞踏会が開かれた。どんな病気でも治すとして多くの人に慕われ敬愛されているアリーナは、ひっきりなしにダンスの相手を頼まれた。おそらく数十人の男性と踊った後は、くたくたに疲れ果てて脚は棒のようになって疲労と倦怠感けんたいかんが全身を包んでいた。

今はダンスホールを出て静かな休憩室のような場所にいた。ここは一般のゲストの休憩室とは別に用意しているアリーナ専用の部屋。アリーナはドレスを着たままベッドに横たわりレオナルドに身を任せていた。

レオナルドは舞踏会の時は毎回必ずダンスで疲れたアリーナの体にマッサージを行っているので、自信に満ちた顔で得意そうな様子で指先に力を入れて、アリーナの肉体と精神の両方を愛情を込めて一途に癒やしていた。

「とても気持ちいいわ。相変わらず上手ね」

アリーナは本心からそう思っていた。筋肉組織が隅々まで揉みほぐされて体に溜まった疲れが滲み出てくる。アリーナはすっかりリラックスした顔をしていて、溶けそうなほど心地良い感覚で幸福な気持ちだった。

「ありがたき幸せに存じます。お嬢様に喜んで頂けるように精一杯尽くさせていただきます」

レオナルドはアリーナにお褒めの言葉をいただき感激して、喜びを隠しきれないような顔で口元に晴れやかな微笑を漂わせる。レオナルドは胸が小躍りして嬉しくて思わず歓声を上げたい気分になった。アリーナにもっと気持ちよくなってもらうために指先に力を入れて丁寧に体をほぐしていた。

「どこか痛いところはございませんか?」
「大丈夫。そのまま続けて」
「はい、かしこまりました」

時々思いやりと親しみをこめた口調で尋ねてマッサージはきちんと出来ていますでしょうか? と確認させてもらってる。アリーナから特に問題ないと返事を聞いただけで、レオナルドは胸の奥底が熱くなり涙が目に溢れてくる。

アリーナは日頃から男性たちに好意的な視線を向けられているので、自己肯定感が高い女性で自分を信じる気持ちが強く自分を大切にしている。愛され続けているアリーナは自分自身に絶対的な自信を持っているために、男性の顔色をうかがって機嫌を取るような恋愛はしない。

恋愛の心理的な駆け引きや戦略で、冷たい態度を取るような男性は最初から眼中になく全く相手にしない。アリーナみたいにモテすぎる女性は、いわゆるツンデレの男性には苦手意識を持っている。理由は〝好き〟〝愛してる〟という態度を素直に出したがらないのでイライラして不愉快な気分になってしまう。

アリーナに親切な言葉をかけて優しい態度で接して、どんな時でも甘やかせてくれる男性は数多く存在するので、表情に乏しく無口で無愛想な男性や偉そうな態度をとる男性は自然と拒否反応を起こす。わかりやすくストレートに愛情表現してほしいと思っている。冷たい男性はすぐに嫌になって間違っても恋愛感情を抱くことはないし恋人関係へと発展する場合もない。

とはいえ、それも容姿の魅力という、土台があってこそ成り立つ悲しい現実。結局のところ、そうした不確かさこそが、恋愛を難しくしていて、そうした矛盾をはらむがゆえに、恋とはかくも厄介なものなのだ。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この物語を、皆さまと共有できたことが何よりの幸せです。
またどこかの物語でお会いできますように。
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