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第2話
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あれは、よく晴れた春の日だった。庭で薬草の手入れをしていた私の元に、エリオットが気まずそうな顔でやってきた。彼の隣には、勝ち誇ったような、それでいて少しだけ不安そうな顔をしたローラが寄り添っていた。
「セシリア、すまない。君との婚約を、なかったことにしてほしい」
エリオットの言葉は、あまりにも直接的で、私の思考を真っ白に染め上げた。
「……え?」
「僕とローラは、愛し合っているんだ。彼女なしでは生きていけない」
彼の視線は、ローラに注がれていた。その瞳には、私が今まで見たこともないような熱がこもっている。ローラは、そんな彼の腕に、これみよがしに絡みつき、潤んだ瞳で私を見上げた。
「ごめんなさい、お姉様。でも、エリオット様は私の運命の人なの。お姉様は、エリオット様がいなくても一人で生きていける強い人だもの。……それに、医療魔法師としても、もうお姉様より私の方が上達しているって、エリオット様も認めてくださったわ」
ローラの口から紡がれる言葉は、甘い毒のように私の心をむしばんでいく。私がエリオットに、どれだけ彼の知らないところで尽くしてきたか……彼女は知らない。
『お姉様は地味だわ』
『いつ会っても薬草臭いじゃない』
『王都の令嬢たちは、もっと華やかで素敵なのよ』
『お姉様の魔法なんて、もう古いんだって』
きっと、エリオットはローラからそんな言葉を毎日吹き込まれていたのだろう。そして、若くて、積極的で、キラキラと輝いて見えるローラに、心を奪われてしまった。
昔、彼が騎士団の訓練で大怪我を負ったことがあった。王宮の医療師たちも見放したほどの深手を、私は三日三晩付きっきりで治療した。
あの時、意識を取り戻した彼が、弱々しい声で私の手を握り、『ありがとう、セシリア。君は僕の命の恩人だ。一生、そばにいてほしい』と言ってくれた。あの言葉が、私たちの関係をより親密なものにしたはずだったのに。
人の心は、こんなにも簡単に変わってしまうものなのだろうか。
「セシリア、すまない。君との婚約を、なかったことにしてほしい」
エリオットの言葉は、あまりにも直接的で、私の思考を真っ白に染め上げた。
「……え?」
「僕とローラは、愛し合っているんだ。彼女なしでは生きていけない」
彼の視線は、ローラに注がれていた。その瞳には、私が今まで見たこともないような熱がこもっている。ローラは、そんな彼の腕に、これみよがしに絡みつき、潤んだ瞳で私を見上げた。
「ごめんなさい、お姉様。でも、エリオット様は私の運命の人なの。お姉様は、エリオット様がいなくても一人で生きていける強い人だもの。……それに、医療魔法師としても、もうお姉様より私の方が上達しているって、エリオット様も認めてくださったわ」
ローラの口から紡がれる言葉は、甘い毒のように私の心をむしばんでいく。私がエリオットに、どれだけ彼の知らないところで尽くしてきたか……彼女は知らない。
『お姉様は地味だわ』
『いつ会っても薬草臭いじゃない』
『王都の令嬢たちは、もっと華やかで素敵なのよ』
『お姉様の魔法なんて、もう古いんだって』
きっと、エリオットはローラからそんな言葉を毎日吹き込まれていたのだろう。そして、若くて、積極的で、キラキラと輝いて見えるローラに、心を奪われてしまった。
昔、彼が騎士団の訓練で大怪我を負ったことがあった。王宮の医療師たちも見放したほどの深手を、私は三日三晩付きっきりで治療した。
あの時、意識を取り戻した彼が、弱々しい声で私の手を握り、『ありがとう、セシリア。君は僕の命の恩人だ。一生、そばにいてほしい』と言ってくれた。あの言葉が、私たちの関係をより親密なものにしたはずだったのに。
人の心は、こんなにも簡単に変わってしまうものなのだろうか。
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