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第9話
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「わぁ……」
馬車の窓から見える光景に、言葉にならない感動が思わず漏れた。あまりの美しさに、つい声が漏れてしまった。白亜の美しい建物が整然と立ち並び、活気あふれる人々が行き交う大通り。空気までもが、私の知っている田舎町とはまるで違う。きらきらと輝いて見える。これが、ローラが想い続けた憧れの王都……。
馬車は、その中でも一際大きく、どこか神聖な雰囲気を放つ建物の前で、馬車は静かに止まった。白く輝くその建物は、一瞬、城かと錯覚するほどだった。王国直属の医療魔法師団の本部施設なのだという。
「さあ、先生。着きましたよ」
レオナールに手を引かれて馬車を降りると、そこにはすでに何人もの医療魔法師たちが整列して、私たちを迎えていた。皆、レオナールと同じ純白の制服を身にまとっている。エリートだけが持つ、独特の緊張感とプライドが、ひしひしと伝わってきた。
案内されたのは、講堂のようなだだっ広い部屋だった。そこには、ざっと見ただけでも何百人という数の医療魔法師たちが集まっている。壮観、という言葉しか出てこない。この人たち全員が、狭き門を突破した選ばれし者たち。
そんな人たちの視線が、一斉に私に突き刺さる。居心地の悪さに、思わず身が縮こまった。
壇上に立ったレオナールが、静けさを破るような、よく響く声で口を開いた。
「皆、静粛に! 今日は、ここにいる全員に紹介したい方がいる」
しん、と静まり返る講堂。レオナールは、私に優しい視線を向けると、にこりと微笑んだ。やめて、そんな風に見ないで。注目度がさらに上がってしまうじゃない。
「――以上のような経緯から、本日より、セシリア・モントヴェール氏に、我々医療魔法師団の特別指南役としてご協力いただくことになった」
貴族として公の場に出る以上、家の名前を名乗るのが礼儀だとレオナールに言われ、今は男爵家の姓であるモントヴェールを名乗っている。なんだか、借り物の名前みたいでむず痒い。
レオナールは、一呼吸置くと、とんでもない爆弾を投下した。
「セシリア先生、モントヴェール氏は、この私など足元どころか、その影にも及びません。先生が太陽なら、私はそのへんに転がってる小石だ。とにかく、私など比べ物にならないほどの知識と技術をお持ちの、偉大な医療魔法師だ。皆、今後ご指導いただく際には、くれぐれも失礼のないようにな」
……は?
今、なんて?
レオなど比べ物にならない? 偉大な医療魔法師?
会場が、ざわ……ざわ……と大きくどよめいた。無理もない。だって、彼らのトップであり、神のごとき存在である《大神癒師》レオナール・アシュフィールドが、自ら自分以上だと紹介したのだから。
やめてレオ! お願いだからやめて! ハードルが、もう限界を超えて、次元が違うところに行ってる感じ。
案の定、私に向けられる視線は、先ほどの好奇心から、あからさまな疑念と、そして嫉妬の色へと変わっていた。特に、団員の九割を占めるという女性たちからの視線が、痛い。物理的に、肌に突き刺さるみたいに痛い。
後で聞いた話によると、レオナールには公式のファンクラブが存在し、彼はこの魔法師団において、絶対的なアイドルとして君臨しているらしい。
それも、彼だけじゃない。彼を補佐する副典医のアレリオにも、上級医療師のオルフェウスとロデリックにも、それぞれ熱狂的なファンがいるという。私の可愛い教え子たち、いつの間にそんなすごいことになっていたの。
そんな彼らの頂点に立つレオナールの隣に、ぽっと出の、しかも田舎から来た地味な女が、彼以上の実力者として紹介されたのだ。
馬車の窓から見える光景に、言葉にならない感動が思わず漏れた。あまりの美しさに、つい声が漏れてしまった。白亜の美しい建物が整然と立ち並び、活気あふれる人々が行き交う大通り。空気までもが、私の知っている田舎町とはまるで違う。きらきらと輝いて見える。これが、ローラが想い続けた憧れの王都……。
馬車は、その中でも一際大きく、どこか神聖な雰囲気を放つ建物の前で、馬車は静かに止まった。白く輝くその建物は、一瞬、城かと錯覚するほどだった。王国直属の医療魔法師団の本部施設なのだという。
「さあ、先生。着きましたよ」
レオナールに手を引かれて馬車を降りると、そこにはすでに何人もの医療魔法師たちが整列して、私たちを迎えていた。皆、レオナールと同じ純白の制服を身にまとっている。エリートだけが持つ、独特の緊張感とプライドが、ひしひしと伝わってきた。
案内されたのは、講堂のようなだだっ広い部屋だった。そこには、ざっと見ただけでも何百人という数の医療魔法師たちが集まっている。壮観、という言葉しか出てこない。この人たち全員が、狭き門を突破した選ばれし者たち。
そんな人たちの視線が、一斉に私に突き刺さる。居心地の悪さに、思わず身が縮こまった。
壇上に立ったレオナールが、静けさを破るような、よく響く声で口を開いた。
「皆、静粛に! 今日は、ここにいる全員に紹介したい方がいる」
しん、と静まり返る講堂。レオナールは、私に優しい視線を向けると、にこりと微笑んだ。やめて、そんな風に見ないで。注目度がさらに上がってしまうじゃない。
「――以上のような経緯から、本日より、セシリア・モントヴェール氏に、我々医療魔法師団の特別指南役としてご協力いただくことになった」
貴族として公の場に出る以上、家の名前を名乗るのが礼儀だとレオナールに言われ、今は男爵家の姓であるモントヴェールを名乗っている。なんだか、借り物の名前みたいでむず痒い。
レオナールは、一呼吸置くと、とんでもない爆弾を投下した。
「セシリア先生、モントヴェール氏は、この私など足元どころか、その影にも及びません。先生が太陽なら、私はそのへんに転がってる小石だ。とにかく、私など比べ物にならないほどの知識と技術をお持ちの、偉大な医療魔法師だ。皆、今後ご指導いただく際には、くれぐれも失礼のないようにな」
……は?
今、なんて?
レオなど比べ物にならない? 偉大な医療魔法師?
会場が、ざわ……ざわ……と大きくどよめいた。無理もない。だって、彼らのトップであり、神のごとき存在である《大神癒師》レオナール・アシュフィールドが、自ら自分以上だと紹介したのだから。
やめてレオ! お願いだからやめて! ハードルが、もう限界を超えて、次元が違うところに行ってる感じ。
案の定、私に向けられる視線は、先ほどの好奇心から、あからさまな疑念と、そして嫉妬の色へと変わっていた。特に、団員の九割を占めるという女性たちからの視線が、痛い。物理的に、肌に突き刺さるみたいに痛い。
後で聞いた話によると、レオナールには公式のファンクラブが存在し、彼はこの魔法師団において、絶対的なアイドルとして君臨しているらしい。
それも、彼だけじゃない。彼を補佐する副典医のアレリオにも、上級医療師のオルフェウスとロデリックにも、それぞれ熱狂的なファンがいるという。私の可愛い教え子たち、いつの間にそんなすごいことになっていたの。
そんな彼らの頂点に立つレオナールの隣に、ぽっと出の、しかも田舎から来た地味な女が、彼以上の実力者として紹介されたのだ。
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