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第12話
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きらびやかな王都の大通りを、私は二人の自慢の教え子に挟まれて歩いていた。
右には《大神癒師》レオナール・アシュフィールド。左には《副大神癒師》アレリオ・グラッセンブルク。二人はこの国で最も輝かしい医療魔法師のワンツーフィニッシュだ。
そんな彼らの隣を歩く私、セシリア・モントヴェールは、ただの田舎の医療魔法師。いや、今は一応《特別指南役》なんていう、身の丈に合わない大層な肩書きを背負っている。レオナールの計らいで、私は役を任された。そして、国王命令という名の強制力によって。
これは、もう、詐欺みたいなものじゃないだろうか。
私には実力なんてない。いつか、きっと化けの皮がはがれる。
そうなったら、私を推してくれたレオナールに、恥をかかせることになって彼の立場まで悪くなる。彼の輝かしい経歴に、傷をつけてしまう。それだけは、絶対に嫌だ。なんとかしないと。でも、どうやって……?
「先生? どうかしましたか、顔色が優れませんが」
私の心中を見透かすように、レオナールが心配そうに尋ねてくる。彼のそういうところ、昔から鋭かった。
「ううん、何でもないの。少し、歩き疲れただけかな」
「なら、そこのカフェで少し休憩しましょう! 俺、腹減りました!」
私の言葉を真に受けたアレリオが、元気いっぱいに近くのカフェを指さす。うん、君はいつもお腹を空かせているイメージよ。
三人で入ったカフェは、いかにも王都らしいお洒落な内装だった。私たちはテラス席に腰を下ろし、それぞれケーキと紅茶を注文する。もちろん、支払いはいつの間にかレオナールが済ませていた。
「それで先生、今後のことなんですが」
レオナールが、優雅に紅茶を一口飲んでから切り出した。
「宿はもうお決まりですか? もし決まっていないなら、しばらくの間…いえ、ずっとでも構いませんが、僕の家に住んでください」
「……え?」
「ダメだ!」
私が紅茶を吹き出しそうになるのと、アレリオがテーブルを叩いて叫ぶのは、ほぼ同時だった。
「セシリア先生は、俺の家に泊まってください! 俺の家、レオナールのとこより日当たりいいし、庭も広いんで! 絶対快適ですよ!」
「貴様の家は本部から遠いだろう。先生を疲れさせる気か?」
「なんだと! お前の家こそ、客間が北向きでジメジメしてるって有名じゃないか!」
「なっ……! いつそんな情報を!」
また始まった。大神癒師と副大神癒師による、低レベルな言い争い。私は、目の前のショートケーキにフォークを突き刺しながら、溜め息を一つ。この子たちの相手、思ったよりずっと体力が必要かもしれない。
「あのね、二人とも。ありがとう。でも、そんなに迷惑はかけられないわ。ひとまず、どこか手頃な宿を探さなくては、と思っていて。こんなことで頼ってしまってごめんなさい」
私が恐縮しながらそう言うと、二人はピタリと言い争いをやめた。
「いえ、かまいませんよ。そうですね、いろいろと手続きもありますし、先生が一人で宿を探すのは大変でしょう」
レオナールは、さっきまでの子供っぽさが嘘のように、優しく微笑んで言う。そして、アレリオと一瞬だけ目配せをした。
結局、その日のうちに、二人は驚くべき速さで私の宿を手配してくれた。医療魔法師団の本部から歩いてすぐの、高級宿屋の一室。眺めも日当たりも最高で、家具も全部新品みたいに綺麗だ。そして、宿泊費は『魔法師団の経費で落ちますから』という理由で、ただ同然になった。
右には《大神癒師》レオナール・アシュフィールド。左には《副大神癒師》アレリオ・グラッセンブルク。二人はこの国で最も輝かしい医療魔法師のワンツーフィニッシュだ。
そんな彼らの隣を歩く私、セシリア・モントヴェールは、ただの田舎の医療魔法師。いや、今は一応《特別指南役》なんていう、身の丈に合わない大層な肩書きを背負っている。レオナールの計らいで、私は役を任された。そして、国王命令という名の強制力によって。
これは、もう、詐欺みたいなものじゃないだろうか。
私には実力なんてない。いつか、きっと化けの皮がはがれる。
そうなったら、私を推してくれたレオナールに、恥をかかせることになって彼の立場まで悪くなる。彼の輝かしい経歴に、傷をつけてしまう。それだけは、絶対に嫌だ。なんとかしないと。でも、どうやって……?
「先生? どうかしましたか、顔色が優れませんが」
私の心中を見透かすように、レオナールが心配そうに尋ねてくる。彼のそういうところ、昔から鋭かった。
「ううん、何でもないの。少し、歩き疲れただけかな」
「なら、そこのカフェで少し休憩しましょう! 俺、腹減りました!」
私の言葉を真に受けたアレリオが、元気いっぱいに近くのカフェを指さす。うん、君はいつもお腹を空かせているイメージよ。
三人で入ったカフェは、いかにも王都らしいお洒落な内装だった。私たちはテラス席に腰を下ろし、それぞれケーキと紅茶を注文する。もちろん、支払いはいつの間にかレオナールが済ませていた。
「それで先生、今後のことなんですが」
レオナールが、優雅に紅茶を一口飲んでから切り出した。
「宿はもうお決まりですか? もし決まっていないなら、しばらくの間…いえ、ずっとでも構いませんが、僕の家に住んでください」
「……え?」
「ダメだ!」
私が紅茶を吹き出しそうになるのと、アレリオがテーブルを叩いて叫ぶのは、ほぼ同時だった。
「セシリア先生は、俺の家に泊まってください! 俺の家、レオナールのとこより日当たりいいし、庭も広いんで! 絶対快適ですよ!」
「貴様の家は本部から遠いだろう。先生を疲れさせる気か?」
「なんだと! お前の家こそ、客間が北向きでジメジメしてるって有名じゃないか!」
「なっ……! いつそんな情報を!」
また始まった。大神癒師と副大神癒師による、低レベルな言い争い。私は、目の前のショートケーキにフォークを突き刺しながら、溜め息を一つ。この子たちの相手、思ったよりずっと体力が必要かもしれない。
「あのね、二人とも。ありがとう。でも、そんなに迷惑はかけられないわ。ひとまず、どこか手頃な宿を探さなくては、と思っていて。こんなことで頼ってしまってごめんなさい」
私が恐縮しながらそう言うと、二人はピタリと言い争いをやめた。
「いえ、かまいませんよ。そうですね、いろいろと手続きもありますし、先生が一人で宿を探すのは大変でしょう」
レオナールは、さっきまでの子供っぽさが嘘のように、優しく微笑んで言う。そして、アレリオと一瞬だけ目配せをした。
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