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第13話

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「オリビア?」
「はい……すみません」
「ぼんやりしてたけど大丈夫かい?」
「問題ございません。少々驚いていただけですので」

アルフィから呼びかけられて我に返ったオリビアは、詫び事を発言して軽くお辞儀をする。心配そうに顔を覗いてくる彼に、彼女はとくに異常はないと答えました。

それもそのはず彼女は王子のとんでもない発言ばかりに、顔がこわばるほどの驚きで全身が不思議な虚脱状態に陥っていただけです。

「僕は何も気にしてないよ。それよりも驚いて固まった状態の君の綺麗な顔をじっくりと見れて嬉しかった」
「あっ、そうですか。では今日のところはこのへんで……」
「待て!」

真向かいに座っている男は無意識な発言で、またオリビアに精神的なストレスを与えました。放心している彼女の美しい顔立ちをゆっくり観察できて、喜びが胸の中で弾けたらしい。

とうに彼に愛情がない彼女はあまりにもそっけない態度で、王子の言葉を紙屑のように切り捨てる。早々にお開きにしようと席を立ったら、予告なく彼が大声で威嚇する。

「殿下まだ何かございますか?」

野犬のように吠えた王子に、思わず息の止まるような心持ちになります。驚いて座りなおしたオリビアは、心の中で舌打ちしながら迷惑げな表情で尋ねた。

「さびしい……」
「は?」
「せっかくオリビアと久しぶりに顔を合わせたのに……そうだ!この後に食事でもしないか?」
「なぜですか?」
「いや、お腹が空いたからだけど……?」

アルフィは力のこもらない声で、ちょっと甘えるように見つめてくる。オリビアの心はますます苛立ってくるばかり。

しばらくぶりに会ったのにもう帰るの?王子は足りない頭を精一杯働かせて、どうにかして彼女を引き止めるために、切なくなるくらい一生懸命にお世辞を言って媚びまくることを思いつく。

この際理由は何でもいい。本音を言えば彼は空腹だったわけではありません。数時間前には大好物の魚介類と果物をお腹が満たされるまで味わった。

「私は気に入ったドレスを着るために今はダイエット中ですので、ご遠慮いたします」
「じゃあ食事はいいや。それならどこか買い物に付き合ってくれ。何か欲しい物はないか?そう言えば、この前は時計を欲しいと言っていたよね?」

自分の好みにかなったドレスを身にまとう。王子からの誘いを断るために発言したような一時の方便に聞こえますが、彼女の言ったことは真実でした。

アルフィはオリビアの言葉が、冗談なのか本心なのか分からない。不意に閃いて話題を変える。今度はショッピングに行こうと熱意を込めた瞳で説得する。


*****
新作「婚約者の王子が結婚している幼馴染を妊娠させる。婚約破棄になって別れたけど助けてと泣きついてきた。」を投稿しました。よろしくお願いします。
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