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第14話 地震を止める伝説の精霊魔法使い
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どうしたら妻と子供の信頼関係を取り戻せるだろうか? 目を閉じて神経を集中してジャックは頭を回転させていた。そしたらこの話し合いがスタートした時に、言い合いをしていたソフィアの兄ダニエルが何の前触れもなく口を開いて、その言葉にジャックは気が動転した。
「ジャック君は今、月に数回特定の場所に訪れて会っている人がいるね?」
途中から亡霊のように無言でいたのに、こいつは何を言い出すつもりだ? ジャックがそう思っているとダニエルはジャックと目を合わせて、満足げにニヤリと笑って言った。真っ青な顔に変わったジャックは息が切れて発作を起こしてしまった。
「僕は何も知らない。シスコンのくせにいい加減なことを言うな!!」
ジャックはハァハァと息を荒くしながら、激しく首を横に振って断固否認する。
「私は真実を君に聞いて確認しているだけだ」
重度のシスコンだから妹を取られて悔しかったから、という理由も当然持っている。だがダニエルはこの場を乱すために狂言を言ってるわけではない。
――ダニエルは妹が結婚する前のデートには必ず同伴したし、ソフィアが友人と買い物に出かけた時も付き添い、荷物を持ったりして役に立つところを全力でアピールしていた。
「こんにちはダニエル様。いつも私たちの買い物のエスコート役を引き受けてくださりありがとうございます」
「警護は私に任せて、ソフィアと一緒に安心してショッピングを楽しんでほしい」
洗練された身だしなみと魅力的な笑顔に思わず反応して、ソフィアの友人からは素敵なお兄さんですね、とお褒めの言葉をいただくことは毎度おなじみの光景である。
「ダニエル様に守っていただけることに深く感謝いたしますわ」
「七賢者のリーダーで神話や伝説といわれた『五大精霊と契約』されたダニエル様がいてくだされば、安らかな気持ちでゆっくり買い物ができますね」
「ダニエル様のおかげで街で、ナンパ目的の悪ノリをするチャラついた男に声をかけられたり、身体を触られることもなく安心できます」
ソフィアの友人たちは昔からダニエルに憧れているし、心の内で慕うダニエルを召し使いにするなんて、恐れ多くも喜ばしい驚きもありソフィアが羨ましいと話していた。けれど妹からはいつも後ろをついてこないで! と煙たがられていたのは皆さんもご存知のとおり。
国の最高指導者の皇帝陛下と同等以上の権力に加えて、戦闘能力を持つ精霊魔法使いのダニエルが近くで守ってくれているから、スリや置き引きなど泥棒に怖がることなく、開放的な気分でお散歩できますと嬉しそうに言う。
ダニエルは発生する地震を精霊魔法で予知し、大規模な地震を魔法で停止させるなど、耳を疑うようなさまざまな噂が飛び交い現実離れした男でもある。
「かわいい君たちに、そう言ってもらえて嬉しいよ」
人形のような顔できらびやかに着飾った令嬢たちに喜ばれて、ダニエルも爽やかな笑みを口元に浮かべて言葉を返すと、彼女たちからピュアな声援を受けた。
「お兄ちゃんはあっちにいって!」
ソフィアの友人たちと明るい調子で世間話をしていたら、ソフィアは不満げに口をとがらせ、ダニエルに向かって買い物の邪魔だからと注意した。
この時ソフィアは小さい頃の恥ずかしい黒歴史として封印した記憶を脳内で再生していた。ソフィアは大人になったら、お兄ちゃんのお嫁さんになるのだと決めてニッコリ笑ってダニエルに言った。
子供の頃のダニエルは、『その約束は絶対だからね!』と凄まじい顔で確認すると、ソフィアは真剣な顔になる兄を少し怖いと思いながらも、その頃は本当に兄が好きだったので、目を輝かせて返事して弾んだ気持ちになった。
「ジャック君は今、月に数回特定の場所に訪れて会っている人がいるね?」
途中から亡霊のように無言でいたのに、こいつは何を言い出すつもりだ? ジャックがそう思っているとダニエルはジャックと目を合わせて、満足げにニヤリと笑って言った。真っ青な顔に変わったジャックは息が切れて発作を起こしてしまった。
「僕は何も知らない。シスコンのくせにいい加減なことを言うな!!」
ジャックはハァハァと息を荒くしながら、激しく首を横に振って断固否認する。
「私は真実を君に聞いて確認しているだけだ」
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――ダニエルは妹が結婚する前のデートには必ず同伴したし、ソフィアが友人と買い物に出かけた時も付き添い、荷物を持ったりして役に立つところを全力でアピールしていた。
「こんにちはダニエル様。いつも私たちの買い物のエスコート役を引き受けてくださりありがとうございます」
「警護は私に任せて、ソフィアと一緒に安心してショッピングを楽しんでほしい」
洗練された身だしなみと魅力的な笑顔に思わず反応して、ソフィアの友人からは素敵なお兄さんですね、とお褒めの言葉をいただくことは毎度おなじみの光景である。
「ダニエル様に守っていただけることに深く感謝いたしますわ」
「七賢者のリーダーで神話や伝説といわれた『五大精霊と契約』されたダニエル様がいてくだされば、安らかな気持ちでゆっくり買い物ができますね」
「ダニエル様のおかげで街で、ナンパ目的の悪ノリをするチャラついた男に声をかけられたり、身体を触られることもなく安心できます」
ソフィアの友人たちは昔からダニエルに憧れているし、心の内で慕うダニエルを召し使いにするなんて、恐れ多くも喜ばしい驚きもありソフィアが羨ましいと話していた。けれど妹からはいつも後ろをついてこないで! と煙たがられていたのは皆さんもご存知のとおり。
国の最高指導者の皇帝陛下と同等以上の権力に加えて、戦闘能力を持つ精霊魔法使いのダニエルが近くで守ってくれているから、スリや置き引きなど泥棒に怖がることなく、開放的な気分でお散歩できますと嬉しそうに言う。
ダニエルは発生する地震を精霊魔法で予知し、大規模な地震を魔法で停止させるなど、耳を疑うようなさまざまな噂が飛び交い現実離れした男でもある。
「かわいい君たちに、そう言ってもらえて嬉しいよ」
人形のような顔できらびやかに着飾った令嬢たちに喜ばれて、ダニエルも爽やかな笑みを口元に浮かべて言葉を返すと、彼女たちからピュアな声援を受けた。
「お兄ちゃんはあっちにいって!」
ソフィアの友人たちと明るい調子で世間話をしていたら、ソフィアは不満げに口をとがらせ、ダニエルに向かって買い物の邪魔だからと注意した。
この時ソフィアは小さい頃の恥ずかしい黒歴史として封印した記憶を脳内で再生していた。ソフィアは大人になったら、お兄ちゃんのお嫁さんになるのだと決めてニッコリ笑ってダニエルに言った。
子供の頃のダニエルは、『その約束は絶対だからね!』と凄まじい顔で確認すると、ソフィアは真剣な顔になる兄を少し怖いと思いながらも、その頃は本当に兄が好きだったので、目を輝かせて返事して弾んだ気持ちになった。
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