リュウのケイトウ

きでひら弓

文字の大きさ
162 / 188

リュウのケイトウ レガシィ 30 原生の森へ 道中

しおりを挟む
前日の夜
キャンプの支度を終えていた
慧人、サレヒュトファミリーは
まだ日も登らぬ早朝より
シュェリ村を出発、
原生の森を歩いていた。

結局荷物はリヤカーなどで運ぶ事はせず
慧人のθユニットのルームへ格納する。
各々はバックパックを一つづつ背負うに
止まっていた。

そしてやはりと言うか何時も通りと言うべきか
慧人の周りは女子がひしめき合う
団子状態での行軍となっていたのだ。

『なあ慧人、
この森は竜の出没等の心配は無いのか?。
こんな無防備な格好では いざと言う時
戦えないぞ。
やはり甲冑の一機も必要だったのでは
無いか?。』

レイラが辺りを警戒しながら
訝し(いぶかし)そうに
慧人へ尋ねる。
そして右腕をしっかり
慧人の左腕に絡ませている。

『あら、怖いんですの?。
でしたらお家でお留守番してれば
よろしいですのに。』

自身の左腕を慧人の右腕へ絡ませ
ネイがレイラを牽制する。
そして慧人の体を自分の方へ
グイッと引き寄せた。

『ば、バカな事を言うな。
連隊長も務める私が一頭や二頭の
竜なんぞに怯える訳は無いだろう。
もしもの事を言ってるんだ。』

レイラが反論して
慧人を自分側へ引き戻す。

『でしたら、慧人様の腕
放して下さいませんこと?。
怖く無いとおっしゃるなら
先頭に立って見張ってて下さいな。』

ネイが更に感情剥き出しに反論
慧人の体をまた引き戻す。

『なんだと貴殿こそ慧人の腕を放せ。
いざと言う時身動きが取れんだろ。』

レイラが反論またしてもグイッ!。

『いざという時は私が
慧人様をお守り致しますので大丈夫。
ですから貴方がお放しなさい。
警護の邪魔です。』

ネイがまたグイッ!。

『嫌だっ!。
慧人も私とこうして居たいのだっ!。』

そんな言い争いをする二人に
申し訳無さそうに慧人のシャツの
裾を摘んで歩く夏が割って入る。

『あのぅ~
この森に竜は出ませんよ。
神域であるこの森は
竜を寄せ付け無いそーです
ティエナから伺いました。

だから二人共お兄ちゃんから
手を放してよ。』

割って入ったものの
自己主張が苦手な夏は
最後の一節が小声過ぎて
荒ぶる二人の耳には届かなかった。

『出ないのか。
だったら安心して腕を組んで歩けるな。』

『そうなんですのね。
慧人様、このまま参りましょう。』

二人は夏の小声を無視して
慧人の隣の死守に入った。

『もう。二人共…。』

夏の言葉は遂に通じる事は無かった。

『ん?竜は出ないのか?。
俺は鈴を持たされているのだが。
レヴィア、これ竜除けの鈴じゃ
無かったのか?。』

慧人が三人の火花に動じる事も無く
何事も無かったようにレヴィアに
尋ねた。

『違うがぅ。
その鈴、慧人の居場所が直ぐ分かるように
あげたがぅ。
迷子にならないように
レヴィアが慧人にあげたがぅ。
みんなも慧人が迷子にならないように
掴まえてるがぅ。』

レヴィアが慧人の腰に巻きつきながら
ニコニコと答えた。

『そうか。』

(俺が迷子…か
ある意味当たっているかもな。)

下から覗くレヴィアの笑顔に
柔らかく微笑み返すと
顔を上げ
何かに想いを馳せるように
空を仰ぎ見る慧人だった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...