リュウのケイトウ

きでひら弓

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リュウのケイトウ レガシィ 37 トワ エル エソサレルジー

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ギリシャ神話に出て来るような
ローブを纏(まと)い
ブロンドのロングの髪
大理石を思わせる
白く滑らかな肌。
その出で立ちはそう…。

『エル…。』

慧人は思わずその人物を前に
呟きを漏らしてしまう。

『立ち話もなんですので
此方へどうぞ。
呆気に取られているところ
申し訳ございませんが
神とかそう言う存在では
ありませんので
ご安心下さい。フフフ。』

その人物は慧人の呟きを無視して
一行を奥の間へと案内するように
歩き出した。

辿り着いた広大な空間は
真っ白な無機質な質感で
壁面の一部には幾何学的に見える
装置のような物やシリンダー状の何か
しかし、不気味さは一切感じられなかった。
思考の一部にカケラとして存在する
なんだろう表現には難しいが
懐かしさのような物を滲ませる
断片的な物を配置させているような…。
深層の一塊に
反応するヒントが散りばめられて
いたのだった。

案内された先は
ガーデンカフェテラスになっていて
木漏れ日の差す大樹の元に
白いテーブルとイス
バラの調度が施されていて
ベルサイユ宮殿の一角へと
誘われた錯覚を起こしてしまいそうだった。

既にお茶の用意は万端に整っている。
一行が各々椅子へ着くと
指示される事なく
ネイが全くの無言で
用意されたお茶を
優雅なメイドの所作で
一人一人へと
淹れて回るのだった。
配膳が終わると
迎えてくれた人物へ一礼して
ネイも席に着いた。
その人物も無言で会釈し
一つ空いた席へと
静かに腰を下ろした。

『先ずは自慢のお茶でも如何です。
私が独自にブレンドした紅茶です。
香りに拘った茶葉を厳選致しました。
どうぞご堪能下さい。』

一行は声を漏らさない。
言葉と言うコミニュケーション手段を
失ってしまったかのように
お互いへの関心を切り離れて
しまっていた。
辺りには小鳥の囀(さえず)りと
木の葉を揺らす優しい風がそよぎ
絵に描いた平静が設えられているにも
関わらずある種の緊張感を払拭する事が
出来無いでいたからである。
その雰囲気を作り物だとか
空々しい等と感じていた訳ではなく
その人物の浮世離れした風貌と
ある種の威圧感にも似た
威厳がそれを許さなかったのだ。

しかし、その人物の言葉と共に
紅茶へと一口付けた途端
あれ程 感じていた縛り付けるような
何かを一瞬にして解放され
辺りから滲み出る情報は全て
全身へ染み込むように
流れ込んで来たのだった。
一行は夢から目覚めるように
正気を取り戻していた。

紅茶の素晴らしい香り。
風の優しいそよぎ。
小鳥の囀り。
芳しい花々の芳香。

そして目の前の人物の
意志を伝えようとする眼差し。

慧人は誰よりも早く
緊縛された状態より解き放たれると
人物へ向け言葉を紡いだ。

『貴方は私の良く知る人物と
瓜二つですね 驚きました。

申し遅れました
真流 慧人と申します。』

慧人の含みある言葉を抑え
自己紹介を始める
白き超越せし心身(しんみ)。

『私はトワ エル エソサレルジー。
エル ウォスクリィにてございます。

この世に初めて生成された
上位存在より遣わされし
この星で生命と定義される固有物。

この先は砕けてエルニと
お呼び下さい。』

エルニは名乗り終えると
柔らかい笑みと共に
優雅な所作で会釈したのだった。
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