リュウのケイトウ

きでひら弓

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リュウのケイトウ レガシィ 41 とある確率枝の世界2

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『電車、混んでるね。』

この時間にしては
車内はかなり混み合っていた。
二人はドアの側へ寄り添い
他人の圧迫から庇うように
エルニを腕の中へ。
慧人は通路へ背を向け
壁ドンの体勢になっていた。

『ああ。
窮屈じゃないか?。』

『大丈夫だよ…。』
少し頬を染め上目遣いに
慧人の目を見つめる。
嬉しさと恥ずかしさで
綯交(ないま)ぜになり
結局、慧人の胸へ顔を埋めて
照れ隠しと至福の一石二鳥に
少し浮かれるエルニ。
(もう、優しいとは思ってたけど…。
王龍真瑰の戒めが無いと
こんななの!?。
反則だよもう。バカ~~っ!。
カッコ良い奴めっ!。)

(随分擦り寄ってくるんだな。
ハハ 小動物みたいで可愛いもんだ。)

慧人は壁を支えていない
左腕でエルニの肩を抱いた。
更に慧人の胸へすがり着く
エルニ。

(ドキドキが止まらないよ。
これが少女の恋心なの?。
今の私は管理者エルニじゃない。
一人の女生徒なんだ。
モニターになってくれた
サンプル達に感謝しなくっちゃ。)

『降りるぞ。』

『うん。』
二人の身長差は12㎝
慧人はエルニの足元を
気遣うように引く手で
体重を支える。

遊園地へ着くと
噂に反してあまり混雑して
いなかった。
二人はワンデイフリーパスを購入し
ゲートを潜った。

『どれから乗ろうか?。』

『あの大きな外輪船に乗ろうよ。』

『あれか
ミシシッピー川を遊覧してる気分になれるヤツ
良いな。』

二人は全景が見渡せる甲板デッキの
船の先端に陣取る。
やはりカップルの数が目に付く。
この船は歴史上の遊覧船でも
最大級の物を再現されており
細部まで完璧に作り込まれていた。
ウッドデッキと時代を感じさせる
手摺は二人を物語の主人公に
させてくれた。

『丁度、間に合ったね。』

『優雅なもんだ
川風が心地良いな。』

『私、絶叫マシンより
こう言うのんびりした方が好きだな。』

『俺もだココを選んで良かったと思うよ。』

『うん。』
慧人の左腕にしがみついたまま
川風を味わう。
ジェットコースターでは
このシチュエーションは
味わえないだろう。

二人は暫しクルージングを楽しむ。
アトラクションとは思えない
リアルなミシシッピー川を再現しており
なんと所要時間は120分と言う
なんとも贅沢な演出になっていた。

『わっ!。エール二ィ~~っ。』

エルニが肩叩かれ振り向くと
そこにはクラスメイトのティエナが
満面の笑みで立っていた。
傍らにはガタイの良いサレフの姿。

『ね、二人共デート?ウフフフ。』

ティエナがエルニと慧人両方へ
視線を向けて質問してくる。

『えっ!。え~~~とぅ…。』

『デートだ。
お前達こそデートなんだろ?。』

恥ずかしそうに真っ赤に俯向き
言い澱むエルニを傍らへ庇うと
ハッキリ言い放つ慧人。
ティエナとサレフもデートの
ようだが…。

『あったりぃー!。
私達もデートなんだ。フフ偶然だね。』

ティエナがサレフの腕を引っ張る。
サレフはされるがままに
ぶっきら棒に寡黙だった。

『こんな所で会うなんてな。』

慧人が偶然に驚くが
リアクションは薄目。

『二人、やっぱり付き合ってたんだね。』

エルニは慧人の腕をしっかり
抱き直すとティエナに見せ付けるように
噂の真相を追求する。

『ウフフ。
そーだよ、とっくにバレてると思ってた。
あんた達もお似合いなのに
学校じゃあんまりいちゃつかないのね。
でも、良かったわね エルニ。
おめでと。』

なかなか慧人に告白出来なかったエルニを
やきもきしながら応援していたティエナ
だったのだ。

『ありがと。』
真っ赤に俯向くが
上目遣いでティエナへお礼を言う
エルニ。

『ねぇ、それより
あっちでランチのイベントだよ
クルーズデッキDEランチだって。
一緒にお昼にしない?。』

ティエナがランチイベントへ
二人も誘う。
このイベントを知らせる為に
二人へ声を掛けたのだ。

『良いな、俺は構わないよ。
エルニもそれで良いか?。』

『うん。私もランチイベント
参加したいな。』

四人は外輪船の
ランチイベントへ参加する為
デッキの会場へ向かった。
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