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22色付く日常15試薬
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ティタの料理に
舌鼓(したつつみ)を
うち宴も酣(えんもたけなわ)、
千陽が慧人に尋ねて来た。
『ねぇ、慧人君の家ってどの辺?
学園から近いの?。』
『ああ、自転車で10分程度だ
結構近いな。』
『ティタと迩椰と一緒に
通って来てるんでしょ?
3人共仲良いよね?
ね、どんな関係?。』
お約束とも思える
有りがちな質問。
女子が好奇心の中心に
持って来そうな
内容だが、慧人は特にブレたりは
しない。
『ああ、遠い親戚みたいなもんだ
昔から連んでいたからな、
幼馴染と言うヤツか。』
『ふ~ん幼馴染ね~。
こんなに凄いお弁当を用意して
くれる幼馴染って ねぇ?。』
『千陽。そんな根掘り葉掘り
止めようよ。』
『あら、夏は気にならないの?
だったら、ティタと迩椰に
聞いてみる? とか?。』
『ええ~っ 私達は
普通に親戚で
幼馴染なだけだよぅ~
千陽が気にしてる様な関係とか
じゃ、無いんだからぁ。』
ティタは頬を押さえ
満更でも無いと
言わんばかりにモジモジくねる。
千陽は少し舌打ちしそうに、
(チッ!ティタに振ったのは
失敗だったか)
しかし、
そんな場の空気を読む事も無く
話しに割り込む
無邪気さ一人、
『慧人は迩椰と一緒の家に
暮らしてる。』
ちゅっどーーーーーん!
擬音が聞こえて来そうな
迩椰が突然 爆撃する。
(え"ーーーっ!)
(なんだ と!)
(今、 何て?)
(きャーーーーっ!)
瞬時に会場は爆破炎上を起こす。
『ほ、ホントに?
ティタも一緒って事だよね?
その 大丈夫 なの?。』
自分が知りたがっていた事実を
簡単に示され藪蛇にも似た
引き気味の千陽。
『だだ大丈夫とかって、おい
そそそっちの意味なのか?。』
智が少し壊れ気味に突っ込み
を入れて来る。
『トモっ!おっお落ち着いて。』
康太も康太で頭から湯気が。
しかしティタには
ご褒美にか聞こえない。
『そんな~大丈夫なのか
なんて、もぅ いったい
何を想像しているのかしら~
慧人さぁん どぉしましょう。』
またしてもティタは絶好調。
しかしそんな異空間のティタを
空気の流れは許してくれない。
『慧人はヘタレだから
何にも しない。』
ちゅっどどーーーーん!
迩椰が顰めっ面(しかめっつら)
で二発目の爆撃を落とす。
『なっ!。』
慧人を奈落に突き落とし
氷点下の氷漬けにして
フリーズさせた。
智と康太は生暖かい目で
『生きるって 大変だよな…。』
慧人に同情の意を送るのだった。
戯れ(たわむれ)の一時(ひととき)
が段落したところで、
ミゥが思い付いたように
切り出した。
『そうだ、皆は試験検出薬を
今、持っているか?。
昼休憩が終わる前に飲んで
置いてもらいたいのだが。』
『私、持ってます。
今のうちに飲んでおけば
良いんですね。』
夏がミゥに応える。
『ああ、なるべく早い方が
好ましいな。』
『午後の授業で、適正を測るん
ですね。』
千陽がミゥの真意を測る。
『ああ、察しが良いじゃないか
その通りだ。だからなるべく
早い方が良いんだ。』
すると智が
『アレ、別に飲まなくても
計測出来るんじゃないですか?。』
『ああ、計測は出来る。
でも皆は良い結果を出したいとは
思わないのか?。』
『あれ、飲んでから計測した方が
良い結果が出るんですよね。』
『朝霧、君は知っていたんだな。
そうか君は適正値3まではもう少し
だったな。一番最初に計測する
時には必ず飲んでもらう物だが
二回目以降は特に推奨していない。
何故かと言えば適正値が一以内の
者が飲んでもあまり意味が無い
からなんだ。しかしココに居る
皆は違う。適正値2以上しかも
3にかなり近い。
そう言った者ならば試薬により
適正値の改善が見込めるからなんだ。』
ミゥが試薬の本当の意味を
皆に伝える。
『へーそう言う物だったんですね~。
全然、気にしていませんでした。』
康太が意を得たりとばかりに
反応する。
『そうだ、
しかもチュアブルで
簡単に服用出来る上に
何の副作用もない
その上 その、
何と言うか
美味しいじゃないか……。』
『先生は飲む意味は
ないんじゃ……。』
康太が恐る恐る尋ねる。
『それはそうなんだが、
生徒に服用させる物を
私が確認もせずに、
渡せないだろ?
だから、止む終えずだ
そうだ止む終えずなんだ。』
ミゥは自分が服用する口実を
強引に擦り合わせに来た。
『先生は何味が好きなんですか?。』
千陽が尋ねて来る。
『ヨーグルト味だ。
あの甘酸っぱいさは
ヨーグルトの味を見事に
再現している。
素晴らしい仕事だと感心
するよ。』
すると、夏もそれに合わせて
『私はストロベリー
クリームチーズケーキ味が
最近お気に入りなんです。』
ミゥが間髪入れずそれに応える。
『そんな旨そ…
いや、複雑な味まであるのか
次に試してみるか。』
それに千陽が突っ込む。
『先生、お菓子じゃないんですよ
そんなに食べちゃったら……。』
皆が試薬の味の話で
盛り上がってる所に
慧人のθu(シータユニット)に
フェイズシフト通信が届く。
『すいません、電話です。
少し席を外します。』
慧人は中庭の一番外れの
人気(ひとけ)の無いベンチまで
移動すると
着信を繋いだ。
『お久しぶりです。
エル(タンエルント)さん
何か急ぎの用件でしょうか。』
エルと別れて
1日2日ぶり程度しか
経っていないのだが、
どうも、現世(うつしよ)に赴くと
時間感覚が狂ってしまうのか、
久しぶり等と頭に付けてしまう
慧人。しかしエルは特段
そこに興味を持つ事も無く
自分が伝えたい内容を
綴る(つづる)。
『いや、C組の諸君の様子は
どうかな?と、
OSはもうインストール
したんだろ?
そうしたら今度は適正値の問題
が出てくるんじゃないかなと
思ってな。』
まるで予期していた様な話の
内容に
『流石、鋭いですね。
今、正にその話しの
真っ最中ですよ
何処かで聞いてたりしませんよね?。』
どうにも怪しくてエルに
ハッキリ疑いを持つ旨(むね)を
伝える。
『私も其処まで暇人じゃないぞ。
それより、
だったら試薬が足りなく
なったりしてないか。
丁度、新しい味が完成したから、
送る手はずで用意が出来たと
伝えたくてな。
それとな、今迄の味の感想も
欲しい所なんだが?。』
新しい味まで作っているのか
と訝しむ(いぶかしむ)慧人だが
味に対しての感想は素直に
伝える方向で
『それなんですが、
物凄く好評の様ですよ。
試薬なのに美味しい等と(などと)
言ってお菓子の様に服用して
しまってるみたいです。
本当に副作用とか大丈夫なんです
かね?。
ん?。
聞こえてますか?。』
少し言葉を詰まらせ気味に語る
エル。
『それなんだがな、
えーと、副作用って程の事でも
無いんだが少し別の事象と
言うかだな…。』
エルの歯切れの悪い物言いに、
『何です。何かマズイ事でも
有るんですか?。健康面とか?。』
『いや、健康にはむしろ良さそう
なのだが、そのな、此処だけの
話しにして欲しいんだが。』
『随分もったい付けますね。』
『実はな、適正値が2以上
現れている者に対してな、
その、媚薬と言うか その
惚れ薬的な作用がな、見られる事例が
観測されてだな、いる訳なんだが…。』
『どういう事です。
何故そんな事が分かったんです。』
急に刺す様な視線をとった慧人は
エルを問い詰める。
嫌な予感を振り払う様に。
『ミゥの様子になんか心当たりは
有ったりしないか?。』
言われて見れば思い当たる
節を想像し
『カムイ用のパイロットスーツに
着替えて貰った時に自分に対して
物凄く恥らっていたのを思い出し
ました。』
『やはりな。』
『やはりなって。
理由をお聞かせ願いたい。』
慧人の表情が次第に険しくなって
行く。
『ならば話そうか。
心して聞くようにな。
あの試薬を副作用が無い事を
確認済で、
先ずミゥに試して貰った。
何回かに分けてだ。
最初試して貰った時、さして
感心も無い感じで味に関しても
何も感想を漏らしても居なかったんだが
二回目以降、
やたら味を褒める様に
なったかと思うと
何か思い詰めた様子で、
君の話しを始めたんだ
自分が君の側で力になっていたい
とな。もしやと思ってティタにも
飲んで貰ったんだが、まあティタ
だからあんな感じか。』
『あんな感じかって…
他に決定的な何かがあるのでは
ないですか?。』
『ああ、あの試薬の大元に
なっているのが、君の体液だから
なんだが。』
『あ"っっ。』
一瞬世界が凍る。戦慄が走る。
『と言っても培養した物を
レプリカした物なんだが、
それを服用すると
体内に擬龍石ASCと同じ組成の
結晶体が宿る事が分かってな。
そのおかげで、適正値、
所謂(いわゆる)
γs(ガンマシステム)カムイとの
親和性が高まるのが発見された
んだ。体質により適正が現れない
場合も有る訳なんだが。
高適正値者に女性が多いのも
そこに起因する物なんだろう。
試薬の味に拘っ(こだわっ)て
居る者程、顕著になっている
ようだぞ。
それとな、もし君に好意を向ける
娘が現れても無下(むげ)には
するなよ。
君への好意が絆になり力になる。
君を守りたいと言う気持ちが
更にカムイとの親和性を
強固な物にして行くんだ。』
其処まで聞いてはたと気付く
『待って下さい。
"服用者が男性の場合は"
どうなるんです?。』
恐ろしい思考に行き着いてしまう慧人
しかし、エルはさして重要性も
見せる事無く
『100%媚薬効果が現れる
訳では無いぞ、
ティタは大丈夫だっただろ。
心配は取り越し苦労
だと思うがな。』
一刻を争う事態に
慌てて話しを切り
上げようと、
(ティタは元々分かりにくいだろ、
常にあの状態なんだから。
完全に他人事気分だなあれは。)
『すみません、急ぎの懸案です
切ります。』
『あー、新しい味の
"パイン キウイ味"な 間違いなく
送るとミゥに伝えてくれたまえ。』
あまりの温度差の会話に
頭痛すら覚える事態の慧人は
エルに対し粗雑に答える。
『伝えます、
好きなだけ送って下さい。
それでは。』
ブッツリ切って慌てて集まりへ
向かい猛ダッシュで滑り込む。
『あー、トモ と康太
あまり甘い物(試薬)の取り過ぎは
良く無いんじゃないか?。
その、過ぎたるは及ばざるが
如し、等(など)と言うだろ。
新しい味も届くそうだし、な?。』
形振り(なりふり)構わぬ慧人の
慌てた言い様に、
『おおっ!なんだ
もうアダ名で呼んでくれるのか
嬉しいじゃないか。』
ハグでもして来そうな
超友好的な智。
『慧人君、僕達良い
友達になれそうだね
僕嬉しいよ。』
目を潤ませて手でも
握って来そうな
康太。
『二人共、落ち着け!
いや、ハグは今はよせ。
手を握らんでも分かる。
そんな目で見つめるな。』
事態の収拾が全く見えて来ない
憂鬱な懸念炸裂の慧人だった。
アーメン。
この後直ぐエルに対し
フェイズシフト通信を繋ぎ、
試薬の精神的効果を
少しでも和らげる新試薬の開発を
進言する只今人気急上昇中の
慧人だったと付け加えておこう。
舌鼓(したつつみ)を
うち宴も酣(えんもたけなわ)、
千陽が慧人に尋ねて来た。
『ねぇ、慧人君の家ってどの辺?
学園から近いの?。』
『ああ、自転車で10分程度だ
結構近いな。』
『ティタと迩椰と一緒に
通って来てるんでしょ?
3人共仲良いよね?
ね、どんな関係?。』
お約束とも思える
有りがちな質問。
女子が好奇心の中心に
持って来そうな
内容だが、慧人は特にブレたりは
しない。
『ああ、遠い親戚みたいなもんだ
昔から連んでいたからな、
幼馴染と言うヤツか。』
『ふ~ん幼馴染ね~。
こんなに凄いお弁当を用意して
くれる幼馴染って ねぇ?。』
『千陽。そんな根掘り葉掘り
止めようよ。』
『あら、夏は気にならないの?
だったら、ティタと迩椰に
聞いてみる? とか?。』
『ええ~っ 私達は
普通に親戚で
幼馴染なだけだよぅ~
千陽が気にしてる様な関係とか
じゃ、無いんだからぁ。』
ティタは頬を押さえ
満更でも無いと
言わんばかりにモジモジくねる。
千陽は少し舌打ちしそうに、
(チッ!ティタに振ったのは
失敗だったか)
しかし、
そんな場の空気を読む事も無く
話しに割り込む
無邪気さ一人、
『慧人は迩椰と一緒の家に
暮らしてる。』
ちゅっどーーーーーん!
擬音が聞こえて来そうな
迩椰が突然 爆撃する。
(え"ーーーっ!)
(なんだ と!)
(今、 何て?)
(きャーーーーっ!)
瞬時に会場は爆破炎上を起こす。
『ほ、ホントに?
ティタも一緒って事だよね?
その 大丈夫 なの?。』
自分が知りたがっていた事実を
簡単に示され藪蛇にも似た
引き気味の千陽。
『だだ大丈夫とかって、おい
そそそっちの意味なのか?。』
智が少し壊れ気味に突っ込み
を入れて来る。
『トモっ!おっお落ち着いて。』
康太も康太で頭から湯気が。
しかしティタには
ご褒美にか聞こえない。
『そんな~大丈夫なのか
なんて、もぅ いったい
何を想像しているのかしら~
慧人さぁん どぉしましょう。』
またしてもティタは絶好調。
しかしそんな異空間のティタを
空気の流れは許してくれない。
『慧人はヘタレだから
何にも しない。』
ちゅっどどーーーーん!
迩椰が顰めっ面(しかめっつら)
で二発目の爆撃を落とす。
『なっ!。』
慧人を奈落に突き落とし
氷点下の氷漬けにして
フリーズさせた。
智と康太は生暖かい目で
『生きるって 大変だよな…。』
慧人に同情の意を送るのだった。
戯れ(たわむれ)の一時(ひととき)
が段落したところで、
ミゥが思い付いたように
切り出した。
『そうだ、皆は試験検出薬を
今、持っているか?。
昼休憩が終わる前に飲んで
置いてもらいたいのだが。』
『私、持ってます。
今のうちに飲んでおけば
良いんですね。』
夏がミゥに応える。
『ああ、なるべく早い方が
好ましいな。』
『午後の授業で、適正を測るん
ですね。』
千陽がミゥの真意を測る。
『ああ、察しが良いじゃないか
その通りだ。だからなるべく
早い方が良いんだ。』
すると智が
『アレ、別に飲まなくても
計測出来るんじゃないですか?。』
『ああ、計測は出来る。
でも皆は良い結果を出したいとは
思わないのか?。』
『あれ、飲んでから計測した方が
良い結果が出るんですよね。』
『朝霧、君は知っていたんだな。
そうか君は適正値3まではもう少し
だったな。一番最初に計測する
時には必ず飲んでもらう物だが
二回目以降は特に推奨していない。
何故かと言えば適正値が一以内の
者が飲んでもあまり意味が無い
からなんだ。しかしココに居る
皆は違う。適正値2以上しかも
3にかなり近い。
そう言った者ならば試薬により
適正値の改善が見込めるからなんだ。』
ミゥが試薬の本当の意味を
皆に伝える。
『へーそう言う物だったんですね~。
全然、気にしていませんでした。』
康太が意を得たりとばかりに
反応する。
『そうだ、
しかもチュアブルで
簡単に服用出来る上に
何の副作用もない
その上 その、
何と言うか
美味しいじゃないか……。』
『先生は飲む意味は
ないんじゃ……。』
康太が恐る恐る尋ねる。
『それはそうなんだが、
生徒に服用させる物を
私が確認もせずに、
渡せないだろ?
だから、止む終えずだ
そうだ止む終えずなんだ。』
ミゥは自分が服用する口実を
強引に擦り合わせに来た。
『先生は何味が好きなんですか?。』
千陽が尋ねて来る。
『ヨーグルト味だ。
あの甘酸っぱいさは
ヨーグルトの味を見事に
再現している。
素晴らしい仕事だと感心
するよ。』
すると、夏もそれに合わせて
『私はストロベリー
クリームチーズケーキ味が
最近お気に入りなんです。』
ミゥが間髪入れずそれに応える。
『そんな旨そ…
いや、複雑な味まであるのか
次に試してみるか。』
それに千陽が突っ込む。
『先生、お菓子じゃないんですよ
そんなに食べちゃったら……。』
皆が試薬の味の話で
盛り上がってる所に
慧人のθu(シータユニット)に
フェイズシフト通信が届く。
『すいません、電話です。
少し席を外します。』
慧人は中庭の一番外れの
人気(ひとけ)の無いベンチまで
移動すると
着信を繋いだ。
『お久しぶりです。
エル(タンエルント)さん
何か急ぎの用件でしょうか。』
エルと別れて
1日2日ぶり程度しか
経っていないのだが、
どうも、現世(うつしよ)に赴くと
時間感覚が狂ってしまうのか、
久しぶり等と頭に付けてしまう
慧人。しかしエルは特段
そこに興味を持つ事も無く
自分が伝えたい内容を
綴る(つづる)。
『いや、C組の諸君の様子は
どうかな?と、
OSはもうインストール
したんだろ?
そうしたら今度は適正値の問題
が出てくるんじゃないかなと
思ってな。』
まるで予期していた様な話の
内容に
『流石、鋭いですね。
今、正にその話しの
真っ最中ですよ
何処かで聞いてたりしませんよね?。』
どうにも怪しくてエルに
ハッキリ疑いを持つ旨(むね)を
伝える。
『私も其処まで暇人じゃないぞ。
それより、
だったら試薬が足りなく
なったりしてないか。
丁度、新しい味が完成したから、
送る手はずで用意が出来たと
伝えたくてな。
それとな、今迄の味の感想も
欲しい所なんだが?。』
新しい味まで作っているのか
と訝しむ(いぶかしむ)慧人だが
味に対しての感想は素直に
伝える方向で
『それなんですが、
物凄く好評の様ですよ。
試薬なのに美味しい等と(などと)
言ってお菓子の様に服用して
しまってるみたいです。
本当に副作用とか大丈夫なんです
かね?。
ん?。
聞こえてますか?。』
少し言葉を詰まらせ気味に語る
エル。
『それなんだがな、
えーと、副作用って程の事でも
無いんだが少し別の事象と
言うかだな…。』
エルの歯切れの悪い物言いに、
『何です。何かマズイ事でも
有るんですか?。健康面とか?。』
『いや、健康にはむしろ良さそう
なのだが、そのな、此処だけの
話しにして欲しいんだが。』
『随分もったい付けますね。』
『実はな、適正値が2以上
現れている者に対してな、
その、媚薬と言うか その
惚れ薬的な作用がな、見られる事例が
観測されてだな、いる訳なんだが…。』
『どういう事です。
何故そんな事が分かったんです。』
急に刺す様な視線をとった慧人は
エルを問い詰める。
嫌な予感を振り払う様に。
『ミゥの様子になんか心当たりは
有ったりしないか?。』
言われて見れば思い当たる
節を想像し
『カムイ用のパイロットスーツに
着替えて貰った時に自分に対して
物凄く恥らっていたのを思い出し
ました。』
『やはりな。』
『やはりなって。
理由をお聞かせ願いたい。』
慧人の表情が次第に険しくなって
行く。
『ならば話そうか。
心して聞くようにな。
あの試薬を副作用が無い事を
確認済で、
先ずミゥに試して貰った。
何回かに分けてだ。
最初試して貰った時、さして
感心も無い感じで味に関しても
何も感想を漏らしても居なかったんだが
二回目以降、
やたら味を褒める様に
なったかと思うと
何か思い詰めた様子で、
君の話しを始めたんだ
自分が君の側で力になっていたい
とな。もしやと思ってティタにも
飲んで貰ったんだが、まあティタ
だからあんな感じか。』
『あんな感じかって…
他に決定的な何かがあるのでは
ないですか?。』
『ああ、あの試薬の大元に
なっているのが、君の体液だから
なんだが。』
『あ"っっ。』
一瞬世界が凍る。戦慄が走る。
『と言っても培養した物を
レプリカした物なんだが、
それを服用すると
体内に擬龍石ASCと同じ組成の
結晶体が宿る事が分かってな。
そのおかげで、適正値、
所謂(いわゆる)
γs(ガンマシステム)カムイとの
親和性が高まるのが発見された
んだ。体質により適正が現れない
場合も有る訳なんだが。
高適正値者に女性が多いのも
そこに起因する物なんだろう。
試薬の味に拘っ(こだわっ)て
居る者程、顕著になっている
ようだぞ。
それとな、もし君に好意を向ける
娘が現れても無下(むげ)には
するなよ。
君への好意が絆になり力になる。
君を守りたいと言う気持ちが
更にカムイとの親和性を
強固な物にして行くんだ。』
其処まで聞いてはたと気付く
『待って下さい。
"服用者が男性の場合は"
どうなるんです?。』
恐ろしい思考に行き着いてしまう慧人
しかし、エルはさして重要性も
見せる事無く
『100%媚薬効果が現れる
訳では無いぞ、
ティタは大丈夫だっただろ。
心配は取り越し苦労
だと思うがな。』
一刻を争う事態に
慌てて話しを切り
上げようと、
(ティタは元々分かりにくいだろ、
常にあの状態なんだから。
完全に他人事気分だなあれは。)
『すみません、急ぎの懸案です
切ります。』
『あー、新しい味の
"パイン キウイ味"な 間違いなく
送るとミゥに伝えてくれたまえ。』
あまりの温度差の会話に
頭痛すら覚える事態の慧人は
エルに対し粗雑に答える。
『伝えます、
好きなだけ送って下さい。
それでは。』
ブッツリ切って慌てて集まりへ
向かい猛ダッシュで滑り込む。
『あー、トモ と康太
あまり甘い物(試薬)の取り過ぎは
良く無いんじゃないか?。
その、過ぎたるは及ばざるが
如し、等(など)と言うだろ。
新しい味も届くそうだし、な?。』
形振り(なりふり)構わぬ慧人の
慌てた言い様に、
『おおっ!なんだ
もうアダ名で呼んでくれるのか
嬉しいじゃないか。』
ハグでもして来そうな
超友好的な智。
『慧人君、僕達良い
友達になれそうだね
僕嬉しいよ。』
目を潤ませて手でも
握って来そうな
康太。
『二人共、落ち着け!
いや、ハグは今はよせ。
手を握らんでも分かる。
そんな目で見つめるな。』
事態の収拾が全く見えて来ない
憂鬱な懸念炸裂の慧人だった。
アーメン。
この後直ぐエルに対し
フェイズシフト通信を繋ぎ、
試薬の精神的効果を
少しでも和らげる新試薬の開発を
進言する只今人気急上昇中の
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