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73大会15ウラギリ
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慧人との会話で
取り敢えず、
雑念を払拭(ふっしょく)出来た
千陽は試合開始グリッドへ
カムイを飛ばした。
カムイは重力制御、慣性制御を
パイロットの思考制御、又は
マニュアル入力により
極めて簡単に行える為
搭乗パイロットは
歩行での移動を
殆ど行う事が無い。
第三ハンガーから
試合会場までは大した距離では無いが
その間であっても
歩行にて会場入りしよう等とは
思わないのである。
新機軸起動兵器のパイロット候補生達は
この入場時の"飛行してグリッドへ"は
腕の見せ所の初歩的な物。
特にカムイを除く二機種
アマツカゼ、トキツヅル乗りに
してみれば外せ無いアピール ポイントに
なっているのだ。
その行為を簡単にこなしてしまう
カムイ乗りに対し
少しの嫉妬と対抗意識を
燃やしても
致し方無い事なのかもしれない。
ただ、
カムイの場合は
パイロット候補生になる事自体が
"選ばし者"と言って良い程
希少な体質、又は才覚が
必要な為
その初歩の部分の方に
重要性が高いと言えるのだった。
A組三番手
深町 姫美採
C組三番手
向井田 千陽
グリッドへ二機が到着。
試合開始のシグナルが
赤 赤 赤 黄 青 試合開始!
二機が一斉に仕掛ける。
両機、70㎜機銃を掃射する。
お互い右旋回しながら
回避、そして
少しだけ距離を詰める。
千陽が
カムイの右脇の
90㎜アサルト ライフルを
ウェポン マウントより
引きずり出す。
姫美採は長刀を抜く動作に
移るところを
カムイの動きを見て
左肘にマウントされている
シールドに構え直す。
千陽が正確にアマツカゼを捉え
胸よりやや下を砲撃。
姫美採の操るアマツカゼは
この砲撃をシールドにて
防御、斜め上方へ弾いた。
(向井田さん
私と同じ戦闘スタイル。
動きは予測し易い。
同時に私の動きも
読まれていると言う事か。
だとすれば…。)
アマツカゼが
長刀を構え直し
70㎜機銃を掃射しながら
廻り込むように
二機の間の距離を詰める。
カムイも敵銃撃を躱しつつ
70㎜機銃を掃射、
長刀を抜き距離を詰めた。
(深町さん
近接戦がお望みなのね。
望む所だわ。)
二機の長刀がぶつかり合い、
刃(やいば)を凌ぎ合う
鍔迫り合い(つばぜりあい)が
始まった。
(C組に
まだ、こんなに出来る人が
いたなんて…。
クラス人数こそ少ないものの
一人一人の技量が半端無いわね。
少数精鋭か……。
羨ましくなんて思わないから。)
深町 姫美採は紅 繽九と共に
風祭の御曹司たる翔に
仕える為に
幼い頃より武道、武芸一般
射撃術、隠形術等の
守護従者としての
教育を叩き込まれていたのだ。
その自分と恐らく
同じ程の実力を持つと思われる
千陽と対峙し
皮肉的感想を持つも
強敵と渡り合える喜びから
右口角を釣り上げた
タチの悪い笑みを
浮かばせるのであった。
(深町さん、流石ね。
だけど私も其れなりに
武道に勤しんで来たのよ。
この場では隠形こそ
使え無いものの
シャッテン タンゼンなんて
通り名は伊達じゃ無いのよ。
貴方のボスの配下に
今は身を窶して(やつして)
いるけど、
時が時だったら
風祭 翔とだって
対等に渡り合っていたかも
しれないのよ。
私の実力
とくとご覧に入れて差し上げるわよ。)
鍔迫り合いの最中(さなか)
期せずして
同じような思考に至る千陽。
バーチャルモニター越しに
策を興ずる鋭い眼差しには
不敵な笑顔をたたえる
千陽の面差しが有った。
鍔迫り合いの拮抗から
カムイが右前蹴りを繰り出す。
其れをアマツカゼは
右膝でブロック、
お互い技の反動で
少し置いた距離から
カムイがシューティング ダガーを投擲、
アマツカゼはクナイを投擲
両機の中間付近で刃物同士ぶつかり合い
撃ち落とす。
その瞬間
お互い距離を詰め
長刀を薙ぐ
アマツカゼ右上段より袈裟に
カムイ右中段より帯に
またも刃が凌ぎ合う。
鍔迫り合いの状態から
長刀で押し込み
カムイ左脚 サイドキック
アマツカゼ左半身で躱し
そのまま右脚、後ろ回し蹴り
カムイ左肘と左膝でブロック
またも、反動で少し距離が空く。
70㎜機銃を両機同時掃射
お互い右旋回で
距離を少し取るように
其れを躱す。
その位置から二機は
90㎜アサルトライフルを
同時に構えた。
『『貰った!。』』
二人は同じセリフを
同時に吐く。
しかし、
千陽の操るカムイに
ほんの僅かな違和感が走る。
『なにっ?。
動かなっ………っ
えっ どうした……の?。』
カムイがものの1秒程
フリーズしたのだ。
姫美採の操るアマツカゼより
放たれた砲弾が
千陽の搭乗するカムイの
左脇腹を直撃する。
ダァーーーーーーーンッッッ……………
会場が水を打ったような
静寂に包まれる。
刹那、試合終了のブザーが
会場に響き渡った。
『試合終了、
勝者 A組 深町 姫美採。』
会場に喧騒が戻り
歓声がこだまする。
カムイのコクピット内では
眼を見開き
何が起こったのか判らぬ
表情を面に貼り付け
今この時間から取り残されたように
氷漬けになった千陽が
一人呆然と佇んでいたのだった。
取り敢えず、
雑念を払拭(ふっしょく)出来た
千陽は試合開始グリッドへ
カムイを飛ばした。
カムイは重力制御、慣性制御を
パイロットの思考制御、又は
マニュアル入力により
極めて簡単に行える為
搭乗パイロットは
歩行での移動を
殆ど行う事が無い。
第三ハンガーから
試合会場までは大した距離では無いが
その間であっても
歩行にて会場入りしよう等とは
思わないのである。
新機軸起動兵器のパイロット候補生達は
この入場時の"飛行してグリッドへ"は
腕の見せ所の初歩的な物。
特にカムイを除く二機種
アマツカゼ、トキツヅル乗りに
してみれば外せ無いアピール ポイントに
なっているのだ。
その行為を簡単にこなしてしまう
カムイ乗りに対し
少しの嫉妬と対抗意識を
燃やしても
致し方無い事なのかもしれない。
ただ、
カムイの場合は
パイロット候補生になる事自体が
"選ばし者"と言って良い程
希少な体質、又は才覚が
必要な為
その初歩の部分の方に
重要性が高いと言えるのだった。
A組三番手
深町 姫美採
C組三番手
向井田 千陽
グリッドへ二機が到着。
試合開始のシグナルが
赤 赤 赤 黄 青 試合開始!
二機が一斉に仕掛ける。
両機、70㎜機銃を掃射する。
お互い右旋回しながら
回避、そして
少しだけ距離を詰める。
千陽が
カムイの右脇の
90㎜アサルト ライフルを
ウェポン マウントより
引きずり出す。
姫美採は長刀を抜く動作に
移るところを
カムイの動きを見て
左肘にマウントされている
シールドに構え直す。
千陽が正確にアマツカゼを捉え
胸よりやや下を砲撃。
姫美採の操るアマツカゼは
この砲撃をシールドにて
防御、斜め上方へ弾いた。
(向井田さん
私と同じ戦闘スタイル。
動きは予測し易い。
同時に私の動きも
読まれていると言う事か。
だとすれば…。)
アマツカゼが
長刀を構え直し
70㎜機銃を掃射しながら
廻り込むように
二機の間の距離を詰める。
カムイも敵銃撃を躱しつつ
70㎜機銃を掃射、
長刀を抜き距離を詰めた。
(深町さん
近接戦がお望みなのね。
望む所だわ。)
二機の長刀がぶつかり合い、
刃(やいば)を凌ぎ合う
鍔迫り合い(つばぜりあい)が
始まった。
(C組に
まだ、こんなに出来る人が
いたなんて…。
クラス人数こそ少ないものの
一人一人の技量が半端無いわね。
少数精鋭か……。
羨ましくなんて思わないから。)
深町 姫美採は紅 繽九と共に
風祭の御曹司たる翔に
仕える為に
幼い頃より武道、武芸一般
射撃術、隠形術等の
守護従者としての
教育を叩き込まれていたのだ。
その自分と恐らく
同じ程の実力を持つと思われる
千陽と対峙し
皮肉的感想を持つも
強敵と渡り合える喜びから
右口角を釣り上げた
タチの悪い笑みを
浮かばせるのであった。
(深町さん、流石ね。
だけど私も其れなりに
武道に勤しんで来たのよ。
この場では隠形こそ
使え無いものの
シャッテン タンゼンなんて
通り名は伊達じゃ無いのよ。
貴方のボスの配下に
今は身を窶して(やつして)
いるけど、
時が時だったら
風祭 翔とだって
対等に渡り合っていたかも
しれないのよ。
私の実力
とくとご覧に入れて差し上げるわよ。)
鍔迫り合いの最中(さなか)
期せずして
同じような思考に至る千陽。
バーチャルモニター越しに
策を興ずる鋭い眼差しには
不敵な笑顔をたたえる
千陽の面差しが有った。
鍔迫り合いの拮抗から
カムイが右前蹴りを繰り出す。
其れをアマツカゼは
右膝でブロック、
お互い技の反動で
少し置いた距離から
カムイがシューティング ダガーを投擲、
アマツカゼはクナイを投擲
両機の中間付近で刃物同士ぶつかり合い
撃ち落とす。
その瞬間
お互い距離を詰め
長刀を薙ぐ
アマツカゼ右上段より袈裟に
カムイ右中段より帯に
またも刃が凌ぎ合う。
鍔迫り合いの状態から
長刀で押し込み
カムイ左脚 サイドキック
アマツカゼ左半身で躱し
そのまま右脚、後ろ回し蹴り
カムイ左肘と左膝でブロック
またも、反動で少し距離が空く。
70㎜機銃を両機同時掃射
お互い右旋回で
距離を少し取るように
其れを躱す。
その位置から二機は
90㎜アサルトライフルを
同時に構えた。
『『貰った!。』』
二人は同じセリフを
同時に吐く。
しかし、
千陽の操るカムイに
ほんの僅かな違和感が走る。
『なにっ?。
動かなっ………っ
えっ どうした……の?。』
カムイがものの1秒程
フリーズしたのだ。
姫美採の操るアマツカゼより
放たれた砲弾が
千陽の搭乗するカムイの
左脇腹を直撃する。
ダァーーーーーーーンッッッ……………
会場が水を打ったような
静寂に包まれる。
刹那、試合終了のブザーが
会場に響き渡った。
『試合終了、
勝者 A組 深町 姫美採。』
会場に喧騒が戻り
歓声がこだまする。
カムイのコクピット内では
眼を見開き
何が起こったのか判らぬ
表情を面に貼り付け
今この時間から取り残されたように
氷漬けになった千陽が
一人呆然と佇んでいたのだった。
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