リュウのケイトウ

きでひら弓

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90ディソナンス10私、慧人の巫女になる

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慧人は龍真装の姿のまま
ネイ シーティス スプレマシーへ
乗り込む。
カムイの専用スーツでも、
もちろん操縦は可能だが
龍真装で操る事により
慧人体内の龍真瑰と
ネイのメインシステム、
システムAIとの
親和性がより高まるのだ。

『慧人君、気を付けて。』

『慧人、ティタと迩椰を頼む。』

『慧人様、御武運を。』

千陽、ミゥ、千輝からの
激励を受け慧人が危険区へと
飛び発つ。

『ああ、行って来る。』

三人へ一言だけ
言葉を返すと
再びネイ シーティス スプレマシーは
ステルス状態に戻り
その場へ風と余韻を残し
姿を消した。

『ねえ千輝、今 慧人君の事
様付けで呼んでいたけど?。』

『お姉ちゃん、私の病気
慧人さんが治してくれたの。

回復は徐々にだけど、
ほら、自分の足で立てるように
なったんだよ。』

千陽に抱くように肩で支えられていた
腕を放し自らのまだふらつく足のみで
その場に立ち、病気の回復を
アピールする。

『ウソっ!。
信じられないっ!。
凄いよ、千輝っ!。
こんな事が起こるなんて。
どんなお医者でも立てるようになるのは
無理だって言ってたのに…。

良かった。本当に良かった。
千輝っ!千輝っ!。』

千陽はその光景に歓喜あまって
千輝に抱きつき泣き出してしまう。
最初の千輝への質問なんてもう
何処かへ行ってしまう程に。

『千輝君、
もしや通心の魏を取り行ったのか?。』

ミゥは悟る。
これだけの回復は慧人との
通心の魏をもって他にないと。

『はい、慧人様は私の症状が
先天性である事と体質の大きな改善が
必要な事を私自身より読み取り
其れを成す為に
通心の魏を取り行う事へ踏み切られました。
もちろん、私は其れに快く同意させて
いただきました。』

『君の自身のデータを読み取ったと
言う事は…………。

彼からだったのか?。』

『いいえ、私から。

お礼のつもりと慧人様の事を
もっと良く知りたくて。』

『そうか。理解した。』

(またしても先を越されてしまった…。
この娘の能力が卓越しているとは言え、
ぐぬぬっ!。
しかし、今回の場合は仕方ないか。
千輝を治す名目が有ったんだものな。

いつしか私も慧人の巫女になる事を
認めさせてやるっ!。)

『ええと、通心の魏って何です?。』 

一人、蚊帳の外気味だった千陽が
素朴な疑問を提示する。

『其れは、慧人を主人として
それに使える巫女になる為の儀式。』

『巫女?。何か特別な役割でもあるん
ですか?。』

『役割は有る。
一番は慧人の従者になる事。
その他には慧人一人では成り立たない
儀式は全て巫女も一緒に執り行う。
それと、巫女は
一生慧人から離れる事は許されない。』

(慧人君と一生一緒………。 

しまった、あちらの世界へ
行ってしまう所だった…。)

一瞬、正気を失いかけた千陽だったが
どうにか、意識をこちらの世界へと
繋ぎ止めると、さらなる疑問を
投げ掛ける。

『特別な儀式なんですよね?。
どの様に………。』

『それはだな………。』

ミゥが答えを少し言い淀むと
千輝がはっきりと答えてしまう。

『口付けをするのですわ。
お姉ちゃん。』

『!!。
口付けっ!。
し、したの?。け、慧人君と
したの?。

慧人君とチューしたのっ?!。千輝っ!。』

『はい。………

          ポッ!。』

千輝は恥らうように頬を押さえ
分かりやすく桜色に染まる。

(なんと言う不覚………。)

『いつの間に慧人君と
そんなに仲良しになったの?。』

大体は分かっていても
問い正さずにはいられない千陽。

『お姉ちゃんが病室に慧人様を
連れてきて下さって、
花瓶のお水を替えてくれている時ですわ。』

(あの時かーーーっ!
ぬかったわーーーっ!。)

千陽は悔しそうに
自分の膝に両手を当てると 
ガックリ項垂れ(うなだれ)
力一杯、掌で膝を掴む。

『千陽、お前には智と康太が居るじゃ
ないか。
そう気を落とすな。』

ミゥが慰めを入れるが
その方向性はどうなのか。

『あいつらなんて慧人君と
釣り合いが取れる訳ないでしょう。

しかも、奴らの事は弄り甲斐のある
アホとしか思っていませんからっ!。』
 
これは流石にあんまりな
言い様だ。

『智はミゥ先生の事が
大好きなんですよ?。

智はミゥ先生が貰ってやって下さい。』

更に追い打ちを掛けるべく
千陽はミゥに反撃を開始した。

智はミゥの大ファンだ。
ファンと言うより大好物と言うべきか。

『くっっ!。そう来たかっ!。

だがな、君達二人より
私の方が慧人との付き合いは
長いんだ。

………………………。』

そう言ってみたものの
流石に巫女にもなっていない
ミゥにとって付き合いの長さなど
大したアドバンテージでない事を
自身で覚ってしまっていたのだ。

…………………
………………
…………

死地へ慧人を送り出したと言うのに
この人達と来たら……。

しかし、場をわきまえず 
この様な話で盛り上がってしまうのは
きっと彼女達だけでなく
極、世間一般の出来事、常識であると
創造主だけでなく
読者様方も思ったに違いないだろう。
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