リュウのケイトウ

きでひら弓

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95微睡みの追憶3二人のおまじない

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広大な建坪の平屋の建物が
この研究施設の主立った物で
それ以外はあまり手入れのされていない
庭になっておりその他の建物は見当たらない。

施設の廻りより取り囲むように
進入して来た夜襲傭兵部隊は
この建物に実質一つしか無い
出入り口より進入する他無く
此処のセキュリティーを無力化すると
3~4人単位の小部隊で
中の警備を警戒しつつ
徐々に建物奥へ進行するのだった。

施設内は長大な通路がまるで迷路の
ような構造で張り巡らせており
この建物に慣れない者は簡単に
迷ってしまう造りになってる。

進入部隊は小隊単位で分岐する
通路を手分けして捜査する。

『随分と警備が手薄だと思ったら
迷宮かよここは…。』

『おい、ここさっき通ってないか?。』
 
『いや、初めての場所だろ。』

『ここも分岐してやがる。』

『ここマーキングしとけ。』

『了解。』

進入部隊は小隊で分断され
それぞれが迷宮でぐるぐる廻る
迷走を続ける。

これは、施設内に施された
スキルによるもの
方向感覚や記憶を鈍らせ
迷走させるよう
仕向けられていたのだった。

『おわーーーっ!。』

『あぶねぇっ!。
トラップだ!。』

『クッソ、ジンの奴…

おいヤツみたいになりたく
なかったら、気ぃー張っとけよ。
死ぬぞ!。』

この迷宮状通路は進入後
ある程度の時間が経つと発動する
トラップが至る所へ仕掛けてあり
特に同じ場所を二周してしまうと
確実に餌食になる仕組みなのだ。

それでも、仲間一人の犠牲だけで
躱す輩もいた。

次第に通路の其処彼処(そこかしこ)で
悲鳴が上がり、部隊はじわじわ
損耗していった。

しかし、元々50人もいる精鋭だけあって
トラップだけで、凌げるはずもなく
施設最深部への進入を許してしまう。

ダダダダダダダッ………

施設内に銃声が響き始める。

『にや、起きて
なんだか おかしいよ。』

『おきてるよ。
あたしも かんじる。
なにか、よくないことが おきてる。』

『にやなら 聞こえるんじゃない?。』

『うん、てっぽうの音がする。
知らない 人の声も聞こえる。

どうしよう てぃた?。』

『けいとくんを呼べないかな?。』

『むりだよ、けーとのへや
あのドアの向こうだよ。
ぜんぜん 聞こえないよ。』

この施設内の最重要人物である
慧人は万が一に備え
他の部屋、通路から完全に遮断された
隔壁で護られたシェルター状の部屋へ
隔離されており、夜間はそこから
出る事は出来ない。
勿論、周りの音など入る余地もない。

『てぃた、あたしのスキルを
つかってみるよ。 

ルームのスキルのかくへきを
さいだいでつかってみる。
それでバリヤをはる。

てぃたのちからも かして。』

『あたしもスキルつかってみるよ。

なんかいいアイディアない?。』

『このはこの みため かえられないかな?。
わかりにくくするの。』

『そうね こどもべやにあっても
おかしくなくて 大きなもの。

くまのぬいぐるみ!。』

『それ!。くまならきっと
     わからないよ。』

『にや、あたし おもい出した。
けいとくんから おまもりの おまじない
おそわって たんだ。

えーと………

にや あたしの手 にぎって。

そして、にやも いっしょに。』

『こう?。』

『うん。いくよ。

御魂を護る 聖なる心よ

どうか私を守護したまえ

その名も慧人
       お護り下さい。』

『『御魂を護る 聖なる心よ

どうか私を守護したまえ

その名も慧人
        お護り下さい。』』

ティタの小さな幼き手に
もっと小さな迩椰の掌が
重ねられ二人は祈る。

慧人に二人の声を届ける為に。
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