リュウのケイトウ

きでひら弓

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100輝けるデジャビュー

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長い苦難の一晩を乗り越え
明けてティタの待ち焦がれた
日曜日。

今日も朝早くから
特製の手作り弁当に
精を出す。

何時も通り迩椰も手伝っている。

しかし、あの大きなおにぎりは
作っていない。

『ねぇ迩椰、
一緒に来ても良いのよ?。』

『行かない。

だって、あたしの時も
慧人と二人っきりの方が良いもん。

今日はティタが慧人を
独り占めして良い日。

だから、迩椰は行かない。』

『そう。

…………………ありがとう迩椰。』

ティタは柔らかい優しい笑みで
迩椰の頭を撫でようと手を伸ばす。

しかし、其れを遮り
ティタの手をガッチリ掴むと
握手する形へ持って行き
コブシとコブシをちょんとぶつけ
ハイタッチを要求した。

ティタも其れに応え
今度はニッコリと微笑むと
二人して

『『イェーーイッ!。』』

ティタは親指を立てるポーズ。

迩椰は親指と小指だけ広げた手を
顔の脇で小刻みに振るう。

これはティタと迩椰が大好きな
アメリカのドラマで
スパイ系ミッションを
コンプリートする内容の物の
ミッション成功時に
味方同士でする挨拶。

二人がお気に入りな点は
主人公が凄腕なところで
どんな困難なミッションも
その頭脳とアクションで
解決してしまう所と
見た目と言うより
その渋い言動と行動が
何処か慧人を想わせる物
だったからだ。

要するに
ドラマを観ようが映画を観ようが
主人公が慧人っぽいかどうかが
問題であり
内容は二の次
その上ヒロインが美人なら
言う事無しで
慧人愛に溢れた感覚なのだった。

まあ、物語と言う物は
大抵、自分の身の周りと
重ねたり、共感出来るかどうかで
良し悪しを決めてしまいがち
だろう。

これは創造主の主観であることは
否めないが…。

しばらくすると
慧人が朝の鍛練より帰宅し
シャワーで汗を流すと
ティタに声を掛けた。

『ティタ、準備出来たら
出掛けようか。』

『はい、今日は一日よろしく
お願いします。』

『ああ。
こちらこそ頼む。

車を玄関へ回すよ。』

『いいえ、
私も一緒にガレージへ
参ります。』

慧人との二人の時間を
1秒でも無駄にしたくない
ティタの想い。

『そうか。
それなら出掛けようか。』

『はい。』

ティタはノースリーブの
白のワンピース
長さは膝丈
その上にシースルーの
ウエスト丈の長袖カーディガン。

つば広の麦わら帽子には
白いリボンがあしらわれている。

お弁当はいつもの重箱ではなく
オシャレなランチバスケットに
詰めた。

こんな所にもデートへのこだわりを
表しているのである。

ティタ主導のデートコースは
街中でのショッピングや
遊戯場、ゲームセンターと言う
場所を好まず
以前、夏に案内して貰った
川沿いの自然公園と
古民家の佇む博物館兼公園。

人混みや喧騒をあまり好まない
と言う事もあるが
自然の中をのんびりしたり
ノスタルジーの味わえる場所が
好みで
慧人もそのセンスには
賛成している。

二人は自然公園へ着くと
森林の中を抜ける
遊歩道で散歩を楽しむ。

木漏れ日の中を歩く遊歩道は
川沿いの事もあり
涼しい風が吹き抜け
夏の暑い盛りでも
気分良く散歩を楽しむ事が出来る。

当然、慧人の左腕には
ティタの右腕を絡め
寄り添いながら
ティタ垂涎の時間を
堪能する。

こんな二人は特に目立つ会話も無い。

幼い頃より気心の知れた
二人は会話など無くても
小さな仕草や目線の動きだけで
意思疎通も正にツウカーと
言うところだろう。

創造主としては
もう少し会話を弾ませて
くれた方が
叙情的文章にも し易いと言う物だが
そこはそれ、
会話以外の様子でも
二人の仲睦まじい様子を
表現出来なくては 
物書きとして失格の烙印を
押されかねないので
ここはガンバり所だろう。

二人は途中一番 風通しの良い
ベンチを見つけて一休み。

ティタが冷えた麦茶を
ポットから注ぎ
先ずは慧人に勧める。

その麦茶を慧人は半分くらい
飲みティタに渡す。

ティタは其れを受け取り
自分で飲み干すと
ポットをバスケットへ
終い慧人の手を握る。

書いているこちらが
二人の仲に充てられて
筆を投げ出しそうだが
そんな事を考えていると
ティタがこちらを向き
ニッコリ微笑み
"キチンと描写しなさいよねっ!"と
鋭い視線で牽制して来たので
大きなため息をつきつつも
ええ、ガンバって書かせて
いただきますとも。

ひとしきり散歩を
堪能した二人は
古民家公園へと
移動した。

丁度この時期は
古代蓮が満開になり
最も見頃で
園に訪れる人も多い。

先ずは古代蓮の
ピンク色の愛らしい花を
堪能する。

グリーンの葉との
色彩のトーンが
醸し出す妙
夏の風物詩の
中でも幻想的であり
懐かしさ さえも
味あわせてくれる。

幾ら眺めていても飽きないの
だが、二人はお気に入りの
特等席をお昼の前に
確保しようと歩き出す。

二棟ある古民家の東側の
大きな門構えの方へ赴くと
此処でも一番の風通しの良い
軒の一角に席を取る。

ここで待ってましたの
ピクニックバスケットより
お弁当のサンドウィッチや
おかずの唐揚げ、焼きウィンナーを
広げ、二人は手を合わせて
いただきますをする。

慧人の手には、たまごサンド。

食べ進めていると
ティタが楊枝にさした
ウィンナーをあーんして
食べさせようと
慧人の口元へ左手を
そえながら差し出した。

慧人は其れを
一口でついばむと
ティタが蕩けん(とろけん)
ばかりの笑顔で応える。

食事が終わると
ティタは自身の膝を叩き
膝枕をアピール、
慧人は照れ笑いを浮かべるものの
そのゼスチャーに従い
頭をティタの膝へ。

涼しい風も相待って
しばし微睡みの世界へ。

ティタはこの世の中の
最高の幸せを今正に
味わう様に
悟りにも似た
表情で自身最高の甘美を
享受している様だ。

少し、うとうとしていると
時間も15時を回り
園内の客も一期に
姿を消し二人だけの
貸切状態となる。

『慧人さん
今日は本当にありがとうございました。

私の我が儘を全部聞いていただいて
しまって。』

『いや、
俺の方が礼を言いたいくらいだ。

こんなに安らいだ気分に
なれたのは久しぶりな
気がする。

ありがとう。』

『そんな…

慧人さんを独り占め出来る
贅沢をさせて頂いたんです。

そんな事をおっしゃって
頂けるなんて
幸せ過ぎて怖いくらいです。』

『そう言ってくれると
俺も嬉しいよ。

俺は君(君ら)と違って
空っぽな人間だから。

俺なんかと一緒に居て
嬉しいなんて言ってくれる人は
貴重な存在だと思ってるんだ。』

『慧人さんは
空っぽなんかじゃありません。

何時も私(私達)の事を
思ってくれているじゃ
ありませんか。』

『いや、
そう言う意味じゃないんだ。

俺は父上(父一派)が
造った代行者に過ぎ無い。

父や周りの者が成せない
事を全て肩代わりして
行う存在。
悪く言えば、ただの
操り人形だ。
其処に自分の意思が介在する
余地は無い。

そんな俺だから
巫女であるティタ(お前達)の
やりたい事や希望は叶えてやりたい。

其れを自分の希望として
糧にして行きたいんだ。』

『……………………

だったら、ずーっと一緒に
居て下さい。
私の前から居なくならないで下さい。
それが私の最大の望みです。』

『ああ。
その望みなら叶えてやれそうだ。

この物語が続く限りは
可能だろうからな。』

『物語って………。』

『この世界と言うべきか。

俺は空っぽだが
俺の話を読む人
俺に感情移入する人の
考えや想像が俺の中を満たす。

俺はその人になる
そしてその人の代行者となる。

創造主や読者が俺を活かして
くれているうちは
俺は生きていられる。

俺も逆に創造主や
読者の中に入り込み
生き続ける事が出来る。

此処はそう言う世界だ。

創造主や読者がいる世界も
同じ様な成り立ちかも知れない。

全てはリンクしているんだ。

そう、全て君次第と言う訳だ。』

『慧人さん

まるで最終回みたいな事を
おっしゃらないで。

私、泣いてしまいます。』

『話しは終わらないさ。

俺達が生き続けている間はな。
(忘れられず語られている間は)
…………………。』

『でしたら、
大丈夫ですね。

あと、3~5万年は
生きられますものね。』

『あははは…。

       違い無い。』

『ウフフ…………。』
 
慧人は左手の親指の腹を
少し噛み切ると
自身の出血した血を
口に含み
ティタに口移しで
マナと一緒に与えた。

ティタは不意打ち気味で
少し面食らった表情だったが
次第にうっとりと しな垂れると
其れを飲み下した。

ティタは もう一度 希う。
どれだけの苦難が起ころうと
慧人を始め周りの人間が
健やかで ずーっと一緒に
居られますようにと。

『けーーとーーっ!

ティーーターーっ!。』

『あら、迩椰ったら。

結局、来ちゃったのね。』

迩椰が二人にガバッと
抱き付く。

『だって、
一緒って言ったら迩椰も
居ないとダメじゃない。』

『そうね。』

『そうだな。』

『おーーーいっ!
お前達っ!。私を忘れるなーっ!』

『お兄ちゃーーん。』

『慧人くーーん。』

『慧人様ーーーっ!。』

『師匠ーーーっ!』

『慧人ーーーっ!。
    ミゥせんせーーーっ!。』

『慧人くーん。
迩椰ちゃーーーんっ!。』

皆んな来ちゃってるじゃないか~
何だ?。デジャビューなのか?。

この光景を何時迄も目に
焼き付けておきたいと希う。
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