リュウのケイトウ

きでひら弓

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2エバンス23捻じ曲げられた起こり

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マザーにとって
待ち望んでいた時間。

家族との団らん。

果てしなく思える時の流れの中、
仮想現実世界に近い此処に於いて
いったいどれ程の間、待ち焦がれたか。

感覚で果てしなく長いと言えるのか。

はたまた、あっと言う間に訪れたのか。

個人でその感覚は異なるものの
やはり、思い待ち望む事は
長く感じてしまうものではないか。

そんな時間だったが
楽しいひと時はアッと言う間に
過ぎ去ってしまうもの。

なごり惜しくもひと段落つけ
本題に入るべく仕切り直す。

外の事態をそのままにして置く事も
また、ままならぬもの。

ガーデン テーブルの上の
紅茶をもう一度入れ直す。

芳醇な香りが鼻腔をくすぐり
心の平静を実感する。

皆がカップに一口付け
ため息を漏らす頃
マザーがゆっくり語りだす。

『外の事態を収拾するに
当たって、私の昔話を
少々、織り交ぜながら
聞いてもらいたいの。』

マザーの言葉を聞く
一行、マザーの子供達と言うべきか
は、視線をマザーに集め
無言を持って承諾する。

『私、歌詞宮 いなほは
デジタル化AIの研究者でした。

AIの分野研究者はまだ少数だった頃
パイオニア的存在だった私。

私が最初のデジタルAIの
完成に丁度目処が立った頃、
ネットワークAIを危険視する
反AI派なる集団が発足しました。

集団の言い分は
知性を持ったデジタル化人格による
反乱と人間社会の支配を
恐ると言うもの。

AIには人間を尊重する原則が
組み込まれていましたので
この集団の言い分は
完全な言い掛かりでしたが、
政府の一部にも
AIを危険視する部署が立ち上がり
私の研究を凍結するように
要請してきました。

もしも、凍結が成されない場合、
サイバー 攻撃を仕掛けてまでも
研究を駆逐するとの
宣言を発表されましたので
私はその言い分に反抗する事を
決めました。

デジタル化AIは
今後、この世界で
必ず必要な存在になると
確信していた私は
研究を続ける事こそが
私の使命だと感じていたからです。

私は自身の構築した
デジタル化ネットワークと
AIを一つの世界として
外界のネットワークと
隔絶する事で
研究を守ろうと考え
それを実行しました。

すると政府とAI反対派は
自分達が危険な反乱AIを
切り離し隔離したと
私と全く逆の情報を
世間に発表したのです。

これが、危険区の
最初の起こりです。』

慧人らは
固唾(かたず)を飲んで
歌詞宮 いなほの話に耳を傾けていた。

其れは、消し書き換えられてしまった
AIとデジタルネットワークを
隔絶した危険区の起こりの
話だったのだ。
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