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・オオカミ少年
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俺はルンルンで病院に向かう。ちょうど一部屋隙間の空いてる個室を見つける。そこを除くと妹とかつての妹の同級生がいた。聖羅は俺に気づいたようで目線だけこちらを見る。俺はピースサインを彼女に送る。すると彼女はニコリと笑う。
数分後。聖羅は病室から出ると俺に抱きつく。
「珍しい。」
「いや、嬉しいだけよ。ありがと。」
「まぁ、妹の尻拭いしてこそ兄貴だからな」
「あら、そう言ってくれるなんて嬉しいわ。」
俺らは病院を出るために歩き出す。
「でも、兄様 契約書をちゃんと見せない契約を取り付けるなんてやり方が荒いわよ。」
「ごめんて。でも、多分あの人わかっててサインしたよ。自暴自棄になってたんだと思う」
「そっか。哀れよね。信じてくれてる親友を信じれなくて、付き合いたいがために信じたふりをしたヤツを信じるなんて。」
「女は何も疑わず信じてくれる方が嬉しいんじゃないの?」
「兄様になんで女心がわかるの?まぁ、そうなのかもしれないけど。でも、何も思わないのかしらね。自分で言ってて突飛な話だって分かってるくせに、そんな話を純粋に信じて欲しいなんて。」
「矛盾を抱えて生きるのが人間心理というものだよ。」
「ふふ。そうね。言いすぎたが故に信じて貰えなくなってしまった人のお話。」
「まるで、オオカミ少年だ。」
「そうね。まぁ、羊飼いの少年は嘘をついていたけど寺田由美子は本当のことを言ってたという違いはあるわね。」
「いや。嘘だよ。だって、既にこの話はもうフィクション。つまり嘘でしかないんだから」
「ああ。そうとも言えるわね。兄様は屁理屈がだいぶ酷くなったわね。」
「聖羅みたいに頭の悪いガキ相手に契約かわしてる訳じゃないんだ。」
「嘘をつけばいいじゃない」
「俺は嘘が嫌いな妹に嫌われたくないんだよ。そんな俺にだいぶ酷なこと言うね。」
「じゃぁ、私が兄様を狡賢くさせたの?」
「さぁね。屁理屈こねるのは聖羅的にセーフなんでしょ嘘ついてないし。」
「アウト寄りのセーフよ。」
病院ので入口近くで一人の男が俺らの前に現れる。
「久しぶりね。馬場くん」
青白い肌に目の下のクマが明らかに不健康を訴えている。近くで見ると男性にしても身長が高く感じる。これが馬場恭画か。俺は初めて見る。
「久しぶりだな。呉橋聖羅。お前は相変わらず変わらないな。」
「あら。ありがとう。」
「今日は何しに来たんだ?あいつには会うなと言っただろう。」
あいつとは妻である美緒のことだろう。手には旅行に使う様な大カバンを持っている。俺らと話すためではなく、本来は彼女の見舞いに来たのだろう。
「あら、ごめんなさいね。でも、あなた達の娘が随分滑稽に見えたのでご報告に来ただけよ。」
「…っ!彩を消したのか。」
「やっぱりあなただけは忘却されないのね。そうよ。」
「はぁ。実感湧かないって厄介だな。前の時もそうだったけど、いなくなって実感して初めて寂しくて悲しくてどうしようもない気持ちになる。」
「弟さんのこと本当に残念に思うわ。じゃぁね。馬場…じゃなくて、宮野木恭画さん」
数分後。聖羅は病室から出ると俺に抱きつく。
「珍しい。」
「いや、嬉しいだけよ。ありがと。」
「まぁ、妹の尻拭いしてこそ兄貴だからな」
「あら、そう言ってくれるなんて嬉しいわ。」
俺らは病院を出るために歩き出す。
「でも、兄様 契約書をちゃんと見せない契約を取り付けるなんてやり方が荒いわよ。」
「ごめんて。でも、多分あの人わかっててサインしたよ。自暴自棄になってたんだと思う」
「そっか。哀れよね。信じてくれてる親友を信じれなくて、付き合いたいがために信じたふりをしたヤツを信じるなんて。」
「女は何も疑わず信じてくれる方が嬉しいんじゃないの?」
「兄様になんで女心がわかるの?まぁ、そうなのかもしれないけど。でも、何も思わないのかしらね。自分で言ってて突飛な話だって分かってるくせに、そんな話を純粋に信じて欲しいなんて。」
「矛盾を抱えて生きるのが人間心理というものだよ。」
「ふふ。そうね。言いすぎたが故に信じて貰えなくなってしまった人のお話。」
「まるで、オオカミ少年だ。」
「そうね。まぁ、羊飼いの少年は嘘をついていたけど寺田由美子は本当のことを言ってたという違いはあるわね。」
「いや。嘘だよ。だって、既にこの話はもうフィクション。つまり嘘でしかないんだから」
「ああ。そうとも言えるわね。兄様は屁理屈がだいぶ酷くなったわね。」
「聖羅みたいに頭の悪いガキ相手に契約かわしてる訳じゃないんだ。」
「嘘をつけばいいじゃない」
「俺は嘘が嫌いな妹に嫌われたくないんだよ。そんな俺にだいぶ酷なこと言うね。」
「じゃぁ、私が兄様を狡賢くさせたの?」
「さぁね。屁理屈こねるのは聖羅的にセーフなんでしょ嘘ついてないし。」
「アウト寄りのセーフよ。」
病院ので入口近くで一人の男が俺らの前に現れる。
「久しぶりね。馬場くん」
青白い肌に目の下のクマが明らかに不健康を訴えている。近くで見ると男性にしても身長が高く感じる。これが馬場恭画か。俺は初めて見る。
「久しぶりだな。呉橋聖羅。お前は相変わらず変わらないな。」
「あら。ありがとう。」
「今日は何しに来たんだ?あいつには会うなと言っただろう。」
あいつとは妻である美緒のことだろう。手には旅行に使う様な大カバンを持っている。俺らと話すためではなく、本来は彼女の見舞いに来たのだろう。
「あら、ごめんなさいね。でも、あなた達の娘が随分滑稽に見えたのでご報告に来ただけよ。」
「…っ!彩を消したのか。」
「やっぱりあなただけは忘却されないのね。そうよ。」
「はぁ。実感湧かないって厄介だな。前の時もそうだったけど、いなくなって実感して初めて寂しくて悲しくてどうしようもない気持ちになる。」
「弟さんのこと本当に残念に思うわ。じゃぁね。馬場…じゃなくて、宮野木恭画さん」
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