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prologue 『死者奴隷』
第8話 いつか話したあの夢を
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「きゃっ!」
ソランが驚いて目を見開くと、そこには銀髪の華奢な体つきの少女───ミリアが立っていた。
背中から剣の刃先が突き出ている。
何が...分からない。これは、一体?
「なんで?」
口をついて出たのはそんな疑問だった。ソランにはこの一瞬が止まってしまったのでは?と錯覚する程ゆっくりに感じられた。
だがそれは、ミリアの声によってその速度を取り戻す。
「ソランっ、今よ...」
「い、今?」
「早く!」
ミリアは兵士の剣を心臓に押し込むと柄をきつく掴んだ。ミリアはこのまま兵士を話さないつもりのようだ。その間も剣とミリアの身体の境目からは際限なく赤黒い血があふれ続けていく。
「女がッ!離せ!」
「ソッ、ソラン...ソラン!」
その声にどこかを彷徨っていた意識が戻る。
俺は何を見ている、何故動かない。今だ。ヤツを、ヤツを殺さないと。
近くに落ちていた剣を掴むと走りだす。
「ハァァッッ!」
「ガキがァァ!」
「「うおおぉぉぉ!」」
ソランは剣を兵士に突き刺す。
「がぁ...!」
兵士はごぽりと血を吐くと短剣を引き抜こうと剣を掴む。
2度目の失態はしない...して堪るか!
「死ねェェェ!!!」
確実に仕留める。今抜かれてしまったら次はない。ソランは力の限り剣を押し込む。
どの位経っただろうか、兵士の手に力がなくなり剣が軽くなる。
ソランは軽くなった剣を離すと慌ててミリアに駆け寄った。
「ミリア!大丈夫か!」
否、大丈夫ではないのはミリアが視界に入った瞬間に理解していた。
深々と突き刺さった剣がミリアの命がもう長くないことををありありと物語っていたのだ。
ソランは急いでミリアに刺さった剣を力一杯引き抜く。
「あっ!」
剣が抜けたことによって空いた穴から大量の血が吹き出た。
ソランは近くにあった布でミリアの胸にできた大きな傷を押さえる。だが、その布も瞬く間に血で赤く染まってしまう。
ソランはミリアがもう助からない事を悟ると、押さえる手を離し、落ちていたナイフを拾った。
「ミリアが死ぬのなら、俺も一緒に...」
喉元に軽く刃先を当てる。
ミリアがいないのなら、この世界にいる意味はない。何か変わるかもしれない。そう思ったところだった。期待した俺が馬鹿だったんだ。何も変わりはしない、増えてもまた減るだけだ。
そして少し離し助走をつける体勢をつくる。
じゃあもう終わりにしよう。今ならミリアと一緒だ。一人よりマシだろう。
俺は、疲れた...
「待っ、て...」
突然、ソランのナイフを持つその手に白い、華奢な手が重ねられた。
ソランは驚いてミリアの方を見る。
ミリアに身体を動かす力などもう残っていないはずなのに。どうして...?
「私は、だっ、だいじょ、うぶ...だから... ソ、ランはっ!...生きて、生きて自分の夢を、叶えて...」
ソランはいつかの時、ミリアに自分の夢を話したことがあった───
「ねえ、ソラン。貴方の夢を聞いてもいい?」
「俺の夢? そうだな、いつかこの人生を、世界を変えたい、か?」
「世界を変える?」
「ああ、変えるんだ。俺がこの手で。俺たちが苦しみ続けなくては世界を、笑って過ごせる世界に」
「いい夢じゃない。叶うといいね」
「まぁ死者奴隷だから到底無理な願いだが」
「ソランだったらできるよ」
「そうか?」
「うん。だって、ソランは優しくて強いもの」
───────────────────────
ソランは短剣を投げ捨て、ミリアを抱きかかえる。
そして、暗い表情で俯いた。
ソランが驚いて目を見開くと、そこには銀髪の華奢な体つきの少女───ミリアが立っていた。
背中から剣の刃先が突き出ている。
何が...分からない。これは、一体?
「なんで?」
口をついて出たのはそんな疑問だった。ソランにはこの一瞬が止まってしまったのでは?と錯覚する程ゆっくりに感じられた。
だがそれは、ミリアの声によってその速度を取り戻す。
「ソランっ、今よ...」
「い、今?」
「早く!」
ミリアは兵士の剣を心臓に押し込むと柄をきつく掴んだ。ミリアはこのまま兵士を話さないつもりのようだ。その間も剣とミリアの身体の境目からは際限なく赤黒い血があふれ続けていく。
「女がッ!離せ!」
「ソッ、ソラン...ソラン!」
その声にどこかを彷徨っていた意識が戻る。
俺は何を見ている、何故動かない。今だ。ヤツを、ヤツを殺さないと。
近くに落ちていた剣を掴むと走りだす。
「ハァァッッ!」
「ガキがァァ!」
「「うおおぉぉぉ!」」
ソランは剣を兵士に突き刺す。
「がぁ...!」
兵士はごぽりと血を吐くと短剣を引き抜こうと剣を掴む。
2度目の失態はしない...して堪るか!
「死ねェェェ!!!」
確実に仕留める。今抜かれてしまったら次はない。ソランは力の限り剣を押し込む。
どの位経っただろうか、兵士の手に力がなくなり剣が軽くなる。
ソランは軽くなった剣を離すと慌ててミリアに駆け寄った。
「ミリア!大丈夫か!」
否、大丈夫ではないのはミリアが視界に入った瞬間に理解していた。
深々と突き刺さった剣がミリアの命がもう長くないことををありありと物語っていたのだ。
ソランは急いでミリアに刺さった剣を力一杯引き抜く。
「あっ!」
剣が抜けたことによって空いた穴から大量の血が吹き出た。
ソランは近くにあった布でミリアの胸にできた大きな傷を押さえる。だが、その布も瞬く間に血で赤く染まってしまう。
ソランはミリアがもう助からない事を悟ると、押さえる手を離し、落ちていたナイフを拾った。
「ミリアが死ぬのなら、俺も一緒に...」
喉元に軽く刃先を当てる。
ミリアがいないのなら、この世界にいる意味はない。何か変わるかもしれない。そう思ったところだった。期待した俺が馬鹿だったんだ。何も変わりはしない、増えてもまた減るだけだ。
そして少し離し助走をつける体勢をつくる。
じゃあもう終わりにしよう。今ならミリアと一緒だ。一人よりマシだろう。
俺は、疲れた...
「待っ、て...」
突然、ソランのナイフを持つその手に白い、華奢な手が重ねられた。
ソランは驚いてミリアの方を見る。
ミリアに身体を動かす力などもう残っていないはずなのに。どうして...?
「私は、だっ、だいじょ、うぶ...だから... ソ、ランはっ!...生きて、生きて自分の夢を、叶えて...」
ソランはいつかの時、ミリアに自分の夢を話したことがあった───
「ねえ、ソラン。貴方の夢を聞いてもいい?」
「俺の夢? そうだな、いつかこの人生を、世界を変えたい、か?」
「世界を変える?」
「ああ、変えるんだ。俺がこの手で。俺たちが苦しみ続けなくては世界を、笑って過ごせる世界に」
「いい夢じゃない。叶うといいね」
「まぁ死者奴隷だから到底無理な願いだが」
「ソランだったらできるよ」
「そうか?」
「うん。だって、ソランは優しくて強いもの」
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ソランは短剣を投げ捨て、ミリアを抱きかかえる。
そして、暗い表情で俯いた。
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