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クローム公爵家後日譚 オリバー追放
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「一体何をしてくれているんだ! お前の勝手な行動のせいで我が家の評判はガタ落ちだ!」
パーティーが終わった後、来客が全員帰るとすぐにクローム公爵はオリバーを怒鳴りつけた。
すでにパーティー中に大恥をかき、しかも愛し合っていたはずのマリーには途中で裏切られ生きた心地がなかったオリバーだったが、父親にも雷を落とされてすっかり消沈していた。
「分かっているのか? わしも別に政略結婚の相手と仲睦まじくしろとまでは言わない。しかしその妹と浮気した挙句それを理由に勝手に婚約破棄を企み、しかも偽の証人まで用意した。ここまでのことをしてしまった以上、お前が恥をかくだけでは許されない、建国以来数百年と続く伝統ある我が家の評価全体を傷つけるのだ」
「……」
父の剣幕の前にオリバーは言い返すことも出来ない。
クローム公爵からすれば跡継ぎにしようと思っていた息子が勝手に婚約破棄という重大なことを計画した挙句、偽の証人を用意するという手段にまで手を染めて失敗したのだからどれだけ怒っても収まることはなかった。
今後数年はどこに行っても醜態を晒した家として認識されることだろうし、クローム公も後継者の育成に失敗した無能貴族と思われるに違いない。
せめて事前に相談してくれれば、止めるなり穏便な手段を考えるなり出来たかもしれないが、こうなってしまった以上もはや何をしても取り返しがつかない。
「まあいい、今更お前がどれだけ反省しても事態が解決することはない。お前は修道院に送るからそこでやり直すんだ」
「……そんな!?」
クローム公の言葉にオリバーはようやく反応らしい反応を返した。
修道院というのは文字通り神に仕える者たちが身を律し、つつましやかな生活を送って信仰の道を究めるための施設である。普通は信仰の篤い者が修行のために入る施設であるが、ごくまれに王族貴族で罪には問われないが重大事を起こした者が実質的な罰として送り込まれることがある。今回はまさにそれであった。
これまで公爵家の跡取りとして贅沢な暮らしをしてきたオリバーにはとてもではないが堪えられないだろう。
当然、公爵家の子供という身分も失うことになる。
「うるさい、そもそもお前が煩悩にまみれているから今回のような事態になったんだ! 修道院で厳しく教育を受けてこい!」
「どうかそれだけはご勘弁を!」
オリバーはクローム公の前に膝まづき、涙を流して懇願する。
が、それでもクローム公の怒りは収まらなかった。
「うるさい、もはやお前がいるだけで我が家の評判は勝手に下がっていくんだ!」
「それでは一体誰が家督を継ぐのですか!?」
「それはお前が気にすることではない! 弟たちの中から一番見込みがある者をわしが選ぶ。おい、兵士」
そう言ってクローム公が手を叩くと、数人の兵士がやってきてオリバーを囲む。
「こいつを修道院に送れ。そうだな、厳しいと噂のバズロード修道院に送るのだ」
「そんな! やめてくれ! 前はあんなに良くしてやっただろ!?」
そう言ってオリバーは兵士たちに哀願するが、彼らは無言でオリバーを拘束するのだった。
パーティーが終わった後、来客が全員帰るとすぐにクローム公爵はオリバーを怒鳴りつけた。
すでにパーティー中に大恥をかき、しかも愛し合っていたはずのマリーには途中で裏切られ生きた心地がなかったオリバーだったが、父親にも雷を落とされてすっかり消沈していた。
「分かっているのか? わしも別に政略結婚の相手と仲睦まじくしろとまでは言わない。しかしその妹と浮気した挙句それを理由に勝手に婚約破棄を企み、しかも偽の証人まで用意した。ここまでのことをしてしまった以上、お前が恥をかくだけでは許されない、建国以来数百年と続く伝統ある我が家の評価全体を傷つけるのだ」
「……」
父の剣幕の前にオリバーは言い返すことも出来ない。
クローム公爵からすれば跡継ぎにしようと思っていた息子が勝手に婚約破棄という重大なことを計画した挙句、偽の証人を用意するという手段にまで手を染めて失敗したのだからどれだけ怒っても収まることはなかった。
今後数年はどこに行っても醜態を晒した家として認識されることだろうし、クローム公も後継者の育成に失敗した無能貴族と思われるに違いない。
せめて事前に相談してくれれば、止めるなり穏便な手段を考えるなり出来たかもしれないが、こうなってしまった以上もはや何をしても取り返しがつかない。
「まあいい、今更お前がどれだけ反省しても事態が解決することはない。お前は修道院に送るからそこでやり直すんだ」
「……そんな!?」
クローム公の言葉にオリバーはようやく反応らしい反応を返した。
修道院というのは文字通り神に仕える者たちが身を律し、つつましやかな生活を送って信仰の道を究めるための施設である。普通は信仰の篤い者が修行のために入る施設であるが、ごくまれに王族貴族で罪には問われないが重大事を起こした者が実質的な罰として送り込まれることがある。今回はまさにそれであった。
これまで公爵家の跡取りとして贅沢な暮らしをしてきたオリバーにはとてもではないが堪えられないだろう。
当然、公爵家の子供という身分も失うことになる。
「うるさい、そもそもお前が煩悩にまみれているから今回のような事態になったんだ! 修道院で厳しく教育を受けてこい!」
「どうかそれだけはご勘弁を!」
オリバーはクローム公の前に膝まづき、涙を流して懇願する。
が、それでもクローム公の怒りは収まらなかった。
「うるさい、もはやお前がいるだけで我が家の評判は勝手に下がっていくんだ!」
「それでは一体誰が家督を継ぐのですか!?」
「それはお前が気にすることではない! 弟たちの中から一番見込みがある者をわしが選ぶ。おい、兵士」
そう言ってクローム公が手を叩くと、数人の兵士がやってきてオリバーを囲む。
「こいつを修道院に送れ。そうだな、厳しいと噂のバズロード修道院に送るのだ」
「そんな! やめてくれ! 前はあんなに良くしてやっただろ!?」
そう言ってオリバーは兵士たちに哀願するが、彼らは無言でオリバーを拘束するのだった。
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