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会談Ⅰ
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それから数日後、アレクが我が家にやってきた。
そして私と父上が応接室にて一緒に彼と話すことになる。
ちなみにその数日の間に父上はバーンズ家の現状や、ダンフォード家の陰謀について調べていたようだった。
「本日はお招きいただきありがとうございます」
そう言ってアレクは私と父上が待つ部屋に入ってくる。
さすがに父上が隣にいることもあって、彼はいつもの軽薄な様子ではなかった。彼にその程度の常識が残っていたことにほっとする反面、やはり私が舐められていたんだなと悔しい気持ちもある。
前回アレクに怒りをぶつけたせいか私に対しても気安い感じではなくなっていた。とはいえそもそも本当に私の怒りが伝わっていたらこんな会談を申し込んではこないだろう。
そんな彼に父上は穏やかに尋ねる。
「書状では聞いているが、改めて用件を聞かせてもらおうか」
「はい。現在我が国ではダンフォード公爵家が陰謀を巡らし、国政を牛耳ろうとしています。ターゲットになっているのは我が家ですが、おそらくダンフォード家の手が他家に回るのも時間の問題でしょう。それに対抗するためには我が家と貴家が手を結ぶ他ありません。そのために両家の結びつきを強めるために私とそちらのベティさんの縁談を提案いたします」
アレクは堂々と話す。
どうせ自分に都合のいいようにしゃべっているのだろうが、厄介なことにダンフォード家が陰謀を巡らせて国政を牛耳ろうとしているのは父上の調査によると事実のようであった。
「なるほど。しかし我が家は別に貴家ともダンフォード家ともつかず離れずの関係を維持している。この争いには中立を貫く、もしくはダンフォード家に味方するという選択肢もあると思うのだが、貴家に味方するメリットはあるのだろうか」
父上はアレクを試すように尋ねる。
だがこの質問も想定済みだったのだろう、アレクは堂々と答える。
「はい、中立を貫いていればやがてダンフォード家はどんどん大きくなっていくでしょう。そうすればやがて貴家も飲み込まれてしまいます。ダンフォード家に味方しても、奴らは貴家を利用するだけして用済みになれば冷遇するでしょう。その点、我が家は縁談を提案しています。これはダンフォード家に打ち勝った後も絆を維持したいという意志の表れです」
恐らく彼も事前に答えを用意してきたのだろう、答えは流暢だった。彼の外面の良さとあいまってまるで頼り甲斐ある御曹司のような印象を与える。
彼も自分がそういう風に振る舞えていると確信したのか、手ごたえのある表情を浮かべている。
実際、私や父上も何の前情報もなければそう思っただろう。
が、さらに父上はアレクに尋ねる。
「なるほど。それでは数年前、貴家はダンフォード家がターナー家を陥れた時、ダンフォード家に味方したのがどういう理由であったのか、またその時はダンフォード家に味方したのに今度は対抗しようとしている理由について説明していただきたい」
「そ、それは……」
父上の問いにアレクは痛いところを突かれたせいか、急に口ごもった。
もっとも私からすれば化けの皮が剥がれてこれまでのアレクに戻ったという感じだが。
「いえ、それに関しては当時の父上の過ちでした。当時父上はダンフォード公爵に騙されていたのです。しかし今度ばかりは完全に目を覚ましたのです!」
急にアレクはしどろもどろになりながら叫ぶ。
それを聞いて父上は私を見た。
「なるほど。だそうだがベティは何かあるか?」
そして私と父上が応接室にて一緒に彼と話すことになる。
ちなみにその数日の間に父上はバーンズ家の現状や、ダンフォード家の陰謀について調べていたようだった。
「本日はお招きいただきありがとうございます」
そう言ってアレクは私と父上が待つ部屋に入ってくる。
さすがに父上が隣にいることもあって、彼はいつもの軽薄な様子ではなかった。彼にその程度の常識が残っていたことにほっとする反面、やはり私が舐められていたんだなと悔しい気持ちもある。
前回アレクに怒りをぶつけたせいか私に対しても気安い感じではなくなっていた。とはいえそもそも本当に私の怒りが伝わっていたらこんな会談を申し込んではこないだろう。
そんな彼に父上は穏やかに尋ねる。
「書状では聞いているが、改めて用件を聞かせてもらおうか」
「はい。現在我が国ではダンフォード公爵家が陰謀を巡らし、国政を牛耳ろうとしています。ターゲットになっているのは我が家ですが、おそらくダンフォード家の手が他家に回るのも時間の問題でしょう。それに対抗するためには我が家と貴家が手を結ぶ他ありません。そのために両家の結びつきを強めるために私とそちらのベティさんの縁談を提案いたします」
アレクは堂々と話す。
どうせ自分に都合のいいようにしゃべっているのだろうが、厄介なことにダンフォード家が陰謀を巡らせて国政を牛耳ろうとしているのは父上の調査によると事実のようであった。
「なるほど。しかし我が家は別に貴家ともダンフォード家ともつかず離れずの関係を維持している。この争いには中立を貫く、もしくはダンフォード家に味方するという選択肢もあると思うのだが、貴家に味方するメリットはあるのだろうか」
父上はアレクを試すように尋ねる。
だがこの質問も想定済みだったのだろう、アレクは堂々と答える。
「はい、中立を貫いていればやがてダンフォード家はどんどん大きくなっていくでしょう。そうすればやがて貴家も飲み込まれてしまいます。ダンフォード家に味方しても、奴らは貴家を利用するだけして用済みになれば冷遇するでしょう。その点、我が家は縁談を提案しています。これはダンフォード家に打ち勝った後も絆を維持したいという意志の表れです」
恐らく彼も事前に答えを用意してきたのだろう、答えは流暢だった。彼の外面の良さとあいまってまるで頼り甲斐ある御曹司のような印象を与える。
彼も自分がそういう風に振る舞えていると確信したのか、手ごたえのある表情を浮かべている。
実際、私や父上も何の前情報もなければそう思っただろう。
が、さらに父上はアレクに尋ねる。
「なるほど。それでは数年前、貴家はダンフォード家がターナー家を陥れた時、ダンフォード家に味方したのがどういう理由であったのか、またその時はダンフォード家に味方したのに今度は対抗しようとしている理由について説明していただきたい」
「そ、それは……」
父上の問いにアレクは痛いところを突かれたせいか、急に口ごもった。
もっとも私からすれば化けの皮が剥がれてこれまでのアレクに戻ったという感じだが。
「いえ、それに関しては当時の父上の過ちでした。当時父上はダンフォード公爵に騙されていたのです。しかし今度ばかりは完全に目を覚ましたのです!」
急にアレクはしどろもどろになりながら叫ぶ。
それを聞いて父上は私を見た。
「なるほど。だそうだがベティは何かあるか?」
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