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ラーナとシェリル
「ちょっと、この私はエインズ公爵家の娘なのですよ! それなのにその程度の物もすぐに用意出来ないって言うの!?」
「す、すみませんお嬢様……、ただ品切れは品切れでして」
「ありえません。あーあ、商品もまともにないお店なんて本当にろくでもありません。もう二度と来ませんわ」
「あの、シェリル?」
「何です?」
私が声をかけると、妹のシェリルは苛々とした表情で振り返る。
それを見て私は内心溜め息をついた。
私、ラーナはエインズ公爵家の長女でこのシェリルの姉でもある。たまたま彼女と一緒に懇意にしている店にやってきたのだが、シェリルが買いたい髪留めがちょうど品切れだったところだ。
確かに商品を切らしているのは商売人として見通しが甘いのかもしれないが、だからといってシェリルの態度は常軌を逸している。先ほどからずっと平謝りしている店主に向かって、彼女はかれこれ一時間近くも文句を言い続けていた。
「そうやって相手のミスを責めるようなのはちょっと……」
「お姉様は甘すぎです、私たちはエインズ家の一族。庶民などに侮られてはいけません」
そう、シェリルは昔から周囲が、特に目下の者が何か失敗して被害を受けるとそのことについてやたら文句を言うところがあった。
正直周りの印象は悪いし、何の得にもならないがやめてくれる気配はない。
「確かに侮られるのはよくないけど、それはただ態度が悪いだけでは?」
「それを言えば、私たち相手に商品を切らしている彼の方が態度が悪いだけです」
「でも、そんな風に言っても髪留めがくる訳でもないし……」
「そういう問題ではありません! 全く、よくそんな甘えた気持ちで店なんて開けますわね。最近の商人は甘えているのではないでしょうか?」
私がなだめようとしたのが逆効果になったのか、シェリルの愚痴はヒートアップしていく。そしてギロリと商人の男を睨みつけた。
「大変申し訳ありません」
一方の商人の方はひたすら頭を下げることしか出来ない。
私が何も悪い訳でもないのにどんどんいたたまれない気持ちになっていく。とはいえシェリルがこのモードに入ってしまったら私にはどうすることも出来ない。
シェリルのこれは昔からのことで、そのたびに居合わせた私はなだめ役になってきた訳だが、頑なな彼女はそれを聞かない。
こうなってしまったら方法は一つしかなく、
「すみません、今日は失礼します!」
そう言って私は強引にシェリルの手を引いて店を離れるのだった。
シェリルがこういう態度をとっていると、相手に対する申し訳なさ、そしてその姉である私まで似たような人物だと思われるのではないかという不安が押し寄せてくる。
もういっそのことシェリルとは一緒にどこかに行くのをやめようかとも思ったが、止める役がいなければシェリルは行く先々でずっとこんな感じなのかと思うと想像するだけでいたたまれなくなる。
「全く、心構えがなっていませんわ……」
店から離れたというのにシェリルはずっとぶつぶつと文句を言っている。
血のつながった妹ながらどうしてこんな性格になってしまったのか。私は頭を抱えながら屋敷に戻るのだった。
「す、すみませんお嬢様……、ただ品切れは品切れでして」
「ありえません。あーあ、商品もまともにないお店なんて本当にろくでもありません。もう二度と来ませんわ」
「あの、シェリル?」
「何です?」
私が声をかけると、妹のシェリルは苛々とした表情で振り返る。
それを見て私は内心溜め息をついた。
私、ラーナはエインズ公爵家の長女でこのシェリルの姉でもある。たまたま彼女と一緒に懇意にしている店にやってきたのだが、シェリルが買いたい髪留めがちょうど品切れだったところだ。
確かに商品を切らしているのは商売人として見通しが甘いのかもしれないが、だからといってシェリルの態度は常軌を逸している。先ほどからずっと平謝りしている店主に向かって、彼女はかれこれ一時間近くも文句を言い続けていた。
「そうやって相手のミスを責めるようなのはちょっと……」
「お姉様は甘すぎです、私たちはエインズ家の一族。庶民などに侮られてはいけません」
そう、シェリルは昔から周囲が、特に目下の者が何か失敗して被害を受けるとそのことについてやたら文句を言うところがあった。
正直周りの印象は悪いし、何の得にもならないがやめてくれる気配はない。
「確かに侮られるのはよくないけど、それはただ態度が悪いだけでは?」
「それを言えば、私たち相手に商品を切らしている彼の方が態度が悪いだけです」
「でも、そんな風に言っても髪留めがくる訳でもないし……」
「そういう問題ではありません! 全く、よくそんな甘えた気持ちで店なんて開けますわね。最近の商人は甘えているのではないでしょうか?」
私がなだめようとしたのが逆効果になったのか、シェリルの愚痴はヒートアップしていく。そしてギロリと商人の男を睨みつけた。
「大変申し訳ありません」
一方の商人の方はひたすら頭を下げることしか出来ない。
私が何も悪い訳でもないのにどんどんいたたまれない気持ちになっていく。とはいえシェリルがこのモードに入ってしまったら私にはどうすることも出来ない。
シェリルのこれは昔からのことで、そのたびに居合わせた私はなだめ役になってきた訳だが、頑なな彼女はそれを聞かない。
こうなってしまったら方法は一つしかなく、
「すみません、今日は失礼します!」
そう言って私は強引にシェリルの手を引いて店を離れるのだった。
シェリルがこういう態度をとっていると、相手に対する申し訳なさ、そしてその姉である私まで似たような人物だと思われるのではないかという不安が押し寄せてくる。
もういっそのことシェリルとは一緒にどこかに行くのをやめようかとも思ったが、止める役がいなければシェリルは行く先々でずっとこんな感じなのかと思うと想像するだけでいたたまれなくなる。
「全く、心構えがなっていませんわ……」
店から離れたというのにシェリルはずっとぶつぶつと文句を言っている。
血のつながった妹ながらどうしてこんな性格になってしまったのか。私は頭を抱えながら屋敷に戻るのだった。
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