6 / 38
アルフの相談
「ミアさんも知っているかと思いますが、リリーの足の怪我です。こんなにずっと怪我したままなのはやはりリハビリをあまり行っていないからではないかと思うのです。そこでミアさんの方から彼女に何か言っていただけないかと思うのです。あまり他人がせかすのもよくないとは分かっているのですが、父上も僕らを婚約させたがっているということもあって、その……」
はっきりとは言いづらいようでしたが、自分の婚約相手であれば怪我をしたのはしょうがないとしても治す努力ぐらいはして欲しい、というのは自然な感想でしょう。
「アルフはリリーにそれを言ってみたことはないの?」
「直接ではないけど、遠回しにであれば」
「それでその時の反応はどういう反応なの?」
「言った時は毎回前向きな反応をしてくれるんだけど、僕がリハビリを手伝おうとか一緒にやろうとか言うと、いつもはぐらかされてしまうんだ」
「なるほど……」
どうやらリリーはアルフの前でもそういう人を演じているようです。
要するに実際に治す気は本当にないということでしょう。それがリハビリが面倒なせいなのか、私からずっと精霊を借りたままにしておきたいからなのかはよく分かりませんが。
「そこで、ミアさんの方からも彼女に言ってもらって欲しいのです。ミアさんからするとせかさずに見守りたいという気持ちもあるかもしれませんが、長い目で見ればやはり足を治した方がいいと思うんです」
アルフは真剣に答えます。婚約者になりそうな相手が怪我をしているのは嫌だというだけでなく、純粋にリリーを案じている様子もあるように見えました。
「でも私が言っても多分聞かないと思うけど」
「えぇ!?」
私の言葉にアルフは驚きました。むしろなぜ聞くと思われたのでしょうか。
「だって、リリーはいつもミアさんのことを慕っている様子でしたし、尊敬していると言っていますよ?」
「……」
私は驚きの声をあげそうになってしまうのを懸命に堪えます。
もしここで驚いてしまえば、アルフはリリーがそういう人格を演じているということに気づいてしまうかもしれません。
そんな私を彼は不審そうに見ます。
「ん、どうかしましたか?」
「いえ、そんな風に言われていたと知ってつい嬉しくなってしまって」
私は慌てて取り繕います。
「そうですか、そうですよね」
「そういうことなら今度伝えてみるわ」
「は、はい、お願いします。ではあまり長く離れているのも不自然なのでそろそろ戻ります」
そう言って彼はリリーの元へ戻っていきます。
どうも彼女は家庭内以外でも“健気な妹”を演じているようです。しかもそれを演じるために恐らく様々な嘘をついているのでしょう。
そうと分かればますます放っておくわけにはいきません。
やはりどこかで彼女の嘘を暴かなくては。
私は初めて彼女が自白に期待することを諦め、自分でそのことを明らかにしようと決めたのでした。
はっきりとは言いづらいようでしたが、自分の婚約相手であれば怪我をしたのはしょうがないとしても治す努力ぐらいはして欲しい、というのは自然な感想でしょう。
「アルフはリリーにそれを言ってみたことはないの?」
「直接ではないけど、遠回しにであれば」
「それでその時の反応はどういう反応なの?」
「言った時は毎回前向きな反応をしてくれるんだけど、僕がリハビリを手伝おうとか一緒にやろうとか言うと、いつもはぐらかされてしまうんだ」
「なるほど……」
どうやらリリーはアルフの前でもそういう人を演じているようです。
要するに実際に治す気は本当にないということでしょう。それがリハビリが面倒なせいなのか、私からずっと精霊を借りたままにしておきたいからなのかはよく分かりませんが。
「そこで、ミアさんの方からも彼女に言ってもらって欲しいのです。ミアさんからするとせかさずに見守りたいという気持ちもあるかもしれませんが、長い目で見ればやはり足を治した方がいいと思うんです」
アルフは真剣に答えます。婚約者になりそうな相手が怪我をしているのは嫌だというだけでなく、純粋にリリーを案じている様子もあるように見えました。
「でも私が言っても多分聞かないと思うけど」
「えぇ!?」
私の言葉にアルフは驚きました。むしろなぜ聞くと思われたのでしょうか。
「だって、リリーはいつもミアさんのことを慕っている様子でしたし、尊敬していると言っていますよ?」
「……」
私は驚きの声をあげそうになってしまうのを懸命に堪えます。
もしここで驚いてしまえば、アルフはリリーがそういう人格を演じているということに気づいてしまうかもしれません。
そんな私を彼は不審そうに見ます。
「ん、どうかしましたか?」
「いえ、そんな風に言われていたと知ってつい嬉しくなってしまって」
私は慌てて取り繕います。
「そうですか、そうですよね」
「そういうことなら今度伝えてみるわ」
「は、はい、お願いします。ではあまり長く離れているのも不自然なのでそろそろ戻ります」
そう言って彼はリリーの元へ戻っていきます。
どうも彼女は家庭内以外でも“健気な妹”を演じているようです。しかもそれを演じるために恐らく様々な嘘をついているのでしょう。
そうと分かればますます放っておくわけにはいきません。
やはりどこかで彼女の嘘を暴かなくては。
私は初めて彼女が自白に期待することを諦め、自分でそのことを明らかにしようと決めたのでした。
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
〈完結〉ここは私のお家です。出て行くのはそちらでしょう。
江戸川ばた散歩
恋愛
「私」マニュレット・マゴベイド男爵令嬢は、男爵家の婿である父から追い出される。
そもそも男爵の娘であった母の婿であった父は結婚後ほとんど寄りつかず、愛人のもとに行っており、マニュレットと同じ歳のアリシアという娘を儲けていた。
母の死後、屋根裏部屋に住まわされ、使用人の暮らしを余儀なくされていたマニュレット。
アリシアの社交界デビューのためのドレスの仕上げで起こった事故をきっかけに、責任を押しつけられ、ついに父親から家を追い出される。
だがそれが、この「館」を母親から受け継いだマニュレットの反逆のはじまりだった。
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。
愛せないですか。それなら別れましょう
黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」
婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。
バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。
そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。
王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。
「愛せないですか。それなら別れましょう」
この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
必要ないと言われたので、元の日常に戻ります
黒木 楓
恋愛
私エレナは、3年間城で新たな聖女として暮らすも、突如「聖女は必要ない」と言われてしまう。
前の聖女の人は必死にルドロス国に加護を与えていたようで、私は魔力があるから問題なく加護を与えていた。
その違いから、「もう加護がなくても大丈夫だ」と思われたようで、私を追い出したいらしい。
森の中にある家で暮らしていた私は元の日常に戻り、国の異変を確認しながら過ごすことにする。
数日後――私の忠告通り、加護を失ったルドロス国は凶暴なモンスターによる被害を受け始める。
そして「助けてくれ」と城に居た人が何度も頼みに来るけど、私は動く気がなかった。
堅実に働いてきた私を無能と切り捨てたのはあなた達ではありませんか。
木山楽斗
恋愛
聖女であるクレメリアは、謙虚な性格をしていた。
彼女は、自らの成果を誇示することもなく、淡々と仕事をこなしていたのだ。
そんな彼女を新たに国王となったアズガルトは軽んじていた。
彼女の能力は大したことはなく、何も成し遂げられない。そう判断して、彼はクレメリアをクビにした。
しかし、彼はすぐに実感することになる。クレメリアがどれ程重要だったのかを。彼女がいたからこそ、王国は成り立っていたのだ。
だが、気付いた時には既に遅かった。クレメリアは既に隣国に移っており、アズガルトからの要請など届かなかったのだ。