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Ⅰ
決裂
「ずっと思っていたんだ、エレンの僕に対する気持ちにはどこか違和感があるって。その理由がようやく分かった。君は僕が好きではないが、婚約者として好かれたいから義務的に色々なことをやっているんだ! だからいつも君の態度はぎこちないと思っていた」
これまで私に対していつも気のない態度で接していたウィルが、急に激しい口調で叫びました。
しかも内容は私には信じがたいものです。
「そんな、何でそんな酷いことを言うのですか!?」
「君と一緒にいるといつも『これだけのことをしてあげている』という事実を押し付けられているようで息苦しかったんだ! きっと君も、これだけ尽くしているのに応えてくれない僕を責める気持ちがあったんだろう? だから君の料理ももてなしも、どれだけ手がこんでいても心に響かなかったんだ!」
「そんな! じゃあ一体どうすれば良かったんですか!?」
ウィルの言葉に私の感情は徐々に失望から怒りへと変わっていきました。
最初は悲しみの方が大きかったのですが、彼の言い分を聞いていると、だんだん怒りが大きくなっていきます。態度がぎこちないとか、感情がおしつけがましいとか、色々言っていますがじゃあどうすれば良かったのでしょうか。
確かに私がウィルのことを恋人のような意味で好いているかと言われればそんなことはありません。
しかし政略結婚である以上、「好きじゃないから何もしません」という訳にはいきません。
ですから私の方から必死で歩み寄ろうとしていたのにその努力をそんな風に言うのはおかしくないでしょうか。
それとも最初から私は彼のことなんて気に掛けなければ良かったとでも言うのでしょうか。
大体、そもそもウィルが私に対して例え形ばかりのものでも感謝やねぎらいの言葉をかけてくれれば私だってもう少し普通に接することが出来たはずです。
自分は何もしなかった癖に勝手すぎる言い分ではないでしょうか。
私の質問に、ウィルは投げやりに答えました。
「どうすればって……そうだ、シエラは僕に対してもっと純粋な気持ちで接してくれている。少しはそれを見習ってはどうかな」
「あの、それはさすがに……」
私のただならぬ雰囲気に、引き合いに出されたシエラですら脅えています。
彼女も、何となく義兄になりそうなウィルが格好いいから絡んでいただけで、まさかこんなことになるとは思わなかったのでしょう、おろおろしながら私にも声をかけてきます。
「あの、お姉様も落ち着いて……」
ですがそんなことを言われてもこの状況で落ち着ける訳がありません。
「婚約者に対して他の女性を引き合いに出して見習えなんて、酷くないですか!?」
「他の女性って言っても妹だろ? 大体、エレンはいつもシエラの話が出ると、突っかかりすぎだ」
「それを言うならウィルだってシエラと話す時は私と話すときと全然態度が違うじゃないですか!」
「当然だ、エレンとシエラは違う人間なのだから」
「そういう問題じゃありません!」
もはや売り言葉に買い言葉です。
落ち着いて話せばもしかすると別の展開もあったかもしれませんが、私もウィルも元々相手に対してもやもやを抱いていたこともあって、話し合いは次第に互いの鬱憤を晴らすための言い合いになっていきます。
やがてウィルは諦めたように言います。
「……そんなに言うならもう僕のために無理して何かをしなくていい!」
それを聞いて私は完全に何かが切れました。
こんなことを言われるならもうウィルのためにあんなに我慢を重ねる毎日なんて送るつもりはありません。
「分かりました、そこまで言うなら望み通り、私は私の心の赴くままに行動させてもらいます! これからは料理もしませんし、うちに来ても何ももてなしもしません!」
「別に無理して何かしてもらうぐらいならそんなのこちらから願い下げだ!」
「でしたらもう知りません!」
そう叫んで私は部屋を飛び出したのでした。
「お姉様!」
後ろからシエラが呼びかけてくるのが聞こえましたが、それを無視して私は自室に戻るのでした。
部屋に戻るのと、精神的なショックと、ウィルを迎える準備で疲労が溜まっていたこともあって、私はあっという間に寝付いてしまったのでした。
これまで私に対していつも気のない態度で接していたウィルが、急に激しい口調で叫びました。
しかも内容は私には信じがたいものです。
「そんな、何でそんな酷いことを言うのですか!?」
「君と一緒にいるといつも『これだけのことをしてあげている』という事実を押し付けられているようで息苦しかったんだ! きっと君も、これだけ尽くしているのに応えてくれない僕を責める気持ちがあったんだろう? だから君の料理ももてなしも、どれだけ手がこんでいても心に響かなかったんだ!」
「そんな! じゃあ一体どうすれば良かったんですか!?」
ウィルの言葉に私の感情は徐々に失望から怒りへと変わっていきました。
最初は悲しみの方が大きかったのですが、彼の言い分を聞いていると、だんだん怒りが大きくなっていきます。態度がぎこちないとか、感情がおしつけがましいとか、色々言っていますがじゃあどうすれば良かったのでしょうか。
確かに私がウィルのことを恋人のような意味で好いているかと言われればそんなことはありません。
しかし政略結婚である以上、「好きじゃないから何もしません」という訳にはいきません。
ですから私の方から必死で歩み寄ろうとしていたのにその努力をそんな風に言うのはおかしくないでしょうか。
それとも最初から私は彼のことなんて気に掛けなければ良かったとでも言うのでしょうか。
大体、そもそもウィルが私に対して例え形ばかりのものでも感謝やねぎらいの言葉をかけてくれれば私だってもう少し普通に接することが出来たはずです。
自分は何もしなかった癖に勝手すぎる言い分ではないでしょうか。
私の質問に、ウィルは投げやりに答えました。
「どうすればって……そうだ、シエラは僕に対してもっと純粋な気持ちで接してくれている。少しはそれを見習ってはどうかな」
「あの、それはさすがに……」
私のただならぬ雰囲気に、引き合いに出されたシエラですら脅えています。
彼女も、何となく義兄になりそうなウィルが格好いいから絡んでいただけで、まさかこんなことになるとは思わなかったのでしょう、おろおろしながら私にも声をかけてきます。
「あの、お姉様も落ち着いて……」
ですがそんなことを言われてもこの状況で落ち着ける訳がありません。
「婚約者に対して他の女性を引き合いに出して見習えなんて、酷くないですか!?」
「他の女性って言っても妹だろ? 大体、エレンはいつもシエラの話が出ると、突っかかりすぎだ」
「それを言うならウィルだってシエラと話す時は私と話すときと全然態度が違うじゃないですか!」
「当然だ、エレンとシエラは違う人間なのだから」
「そういう問題じゃありません!」
もはや売り言葉に買い言葉です。
落ち着いて話せばもしかすると別の展開もあったかもしれませんが、私もウィルも元々相手に対してもやもやを抱いていたこともあって、話し合いは次第に互いの鬱憤を晴らすための言い合いになっていきます。
やがてウィルは諦めたように言います。
「……そんなに言うならもう僕のために無理して何かをしなくていい!」
それを聞いて私は完全に何かが切れました。
こんなことを言われるならもうウィルのためにあんなに我慢を重ねる毎日なんて送るつもりはありません。
「分かりました、そこまで言うなら望み通り、私は私の心の赴くままに行動させてもらいます! これからは料理もしませんし、うちに来ても何ももてなしもしません!」
「別に無理して何かしてもらうぐらいならそんなのこちらから願い下げだ!」
「でしたらもう知りません!」
そう叫んで私は部屋を飛び出したのでした。
「お姉様!」
後ろからシエラが呼びかけてくるのが聞こえましたが、それを無視して私は自室に戻るのでした。
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