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Ⅲ
事件 ウィル視点Ⅳ
「離して!」
突然僕の隣に座っていたシエラがばっと体を起こして立ち上がる。その目は一瞬ではあるが、はっきりと僕に対する拒絶を表していた。
それまで僕がシエラを愛撫してもそれを受け入れてくれていたのに、突然逃げるような反応されて、僕は呆然としてしまう。
なぜだ。
シエラは僕のことを慕っているはずだし、その上念のため薬まで盛ったというのに。
そう思ってティーカップをちらっと見ると、中には紅茶がほぼ満杯で残っていた。何でかは知らないが、彼女は口だけつけて紅茶をあまり飲んでいなかったらしい。
それで薬がきれてしまったのだろうか。
とはいえ、仮に薬が切れたとしても僕らは両想いではなかったのだろうか。
「いいじゃないか、シエラもその気だったんじゃないのか!?」
僕は思わず声を荒げてしまう。
すると、そんな僕にシエラは悲しそうな表情を浮かべた。
「そんな、酷いです……私はウィルさんのことをあくまで義兄として好きだったのに、こんなひどいことをするだなんて。そんな方だとは思っていませんでした」
「違う! シエラだって僕と義兄と義妹以上の関係になりたいと思っていたはずだ! そうじゃなければわざわざうちに来たりしないだろう!?」
僕は必死で言い訳する。本当は全然少しではなかったが。
シエラの僕に対する接し方はどう考えてもただの義理の兄妹のものではなかった。
彼女は僕に対して異性としての好意を抱いていたはずだ。それなのに、今更こんなことを言うなんて。
「そ、それは……」
シエラの方も後ろめたいことがあったのか、一瞬うつむく。
「そ、それならどうして!」
「分かりません、でももう嫌です!」
「そんな!」
それを聞いて僕は絶望した。
言われてみればシエラはエレンと違って心優しいから自分と僕が結ばれることに対して後ろめたいと思っている節があった。
とはいえ今日わざわざうちに来てくれているということはエレンよりも僕を選んでくれたものかと思っていたのに。
「そ、それに、薬を盛るなんて普通じゃありません!」
「薬だってあくまでムードを盛り上げるために少し入れただけだ!」
本当は全然少しではなく、それを言われると僕の方も弱い。
もしシエラが姉のことを気にして拒絶したら嫌だなと思って念には念を入れたのが、まさかそれが裏目に出てしまうとは。
「すみません、ウィルさん!」
そう言って彼女は部屋を駆けだしていく。
僕はずっとシエラの純真さを好きでいた。
しかしシエラは僕が思っていたよりもずっと純真だったということだろう。彼女は本気で姉の婚約者と友人として仲良くしているつもりだったのだ。
「待ってくれ、シエラ!」
僕は彼女を呼び止めようとするが、彼女は一目散に駆け出していってしまった。
それを見て僕は途方に暮れる。
せっかくエレンとは違う、本当に本心と本心で想いあった相手と出会うことが出来たと思ったのに、こんなことで失ってしまうなんて。
薬さえ盛らなければ良かったのか?
それとももっと時間をかけて仲良くなれば良かったのか?
そもそも最初からエレンは一線を超えない範囲で僕との関係を楽しもうとしていただけだったのか?
色んなことを考えてしまうが、今となってはどれももはやどうにもならないことだ。ああ、シエラ……
退屈な僕の人生の唯一の楽しみだったというのに。
シエラを失った悲しみに暮れる僕だったが、残念ながらシエラを失ったことはこれから始まる悪夢のような日々の始まりに過ぎなかった。
突然僕の隣に座っていたシエラがばっと体を起こして立ち上がる。その目は一瞬ではあるが、はっきりと僕に対する拒絶を表していた。
それまで僕がシエラを愛撫してもそれを受け入れてくれていたのに、突然逃げるような反応されて、僕は呆然としてしまう。
なぜだ。
シエラは僕のことを慕っているはずだし、その上念のため薬まで盛ったというのに。
そう思ってティーカップをちらっと見ると、中には紅茶がほぼ満杯で残っていた。何でかは知らないが、彼女は口だけつけて紅茶をあまり飲んでいなかったらしい。
それで薬がきれてしまったのだろうか。
とはいえ、仮に薬が切れたとしても僕らは両想いではなかったのだろうか。
「いいじゃないか、シエラもその気だったんじゃないのか!?」
僕は思わず声を荒げてしまう。
すると、そんな僕にシエラは悲しそうな表情を浮かべた。
「そんな、酷いです……私はウィルさんのことをあくまで義兄として好きだったのに、こんなひどいことをするだなんて。そんな方だとは思っていませんでした」
「違う! シエラだって僕と義兄と義妹以上の関係になりたいと思っていたはずだ! そうじゃなければわざわざうちに来たりしないだろう!?」
僕は必死で言い訳する。本当は全然少しではなかったが。
シエラの僕に対する接し方はどう考えてもただの義理の兄妹のものではなかった。
彼女は僕に対して異性としての好意を抱いていたはずだ。それなのに、今更こんなことを言うなんて。
「そ、それは……」
シエラの方も後ろめたいことがあったのか、一瞬うつむく。
「そ、それならどうして!」
「分かりません、でももう嫌です!」
「そんな!」
それを聞いて僕は絶望した。
言われてみればシエラはエレンと違って心優しいから自分と僕が結ばれることに対して後ろめたいと思っている節があった。
とはいえ今日わざわざうちに来てくれているということはエレンよりも僕を選んでくれたものかと思っていたのに。
「そ、それに、薬を盛るなんて普通じゃありません!」
「薬だってあくまでムードを盛り上げるために少し入れただけだ!」
本当は全然少しではなく、それを言われると僕の方も弱い。
もしシエラが姉のことを気にして拒絶したら嫌だなと思って念には念を入れたのが、まさかそれが裏目に出てしまうとは。
「すみません、ウィルさん!」
そう言って彼女は部屋を駆けだしていく。
僕はずっとシエラの純真さを好きでいた。
しかしシエラは僕が思っていたよりもずっと純真だったということだろう。彼女は本気で姉の婚約者と友人として仲良くしているつもりだったのだ。
「待ってくれ、シエラ!」
僕は彼女を呼び止めようとするが、彼女は一目散に駆け出していってしまった。
それを見て僕は途方に暮れる。
せっかくエレンとは違う、本当に本心と本心で想いあった相手と出会うことが出来たと思ったのに、こんなことで失ってしまうなんて。
薬さえ盛らなければ良かったのか?
それとももっと時間をかけて仲良くなれば良かったのか?
そもそも最初からエレンは一線を超えない範囲で僕との関係を楽しもうとしていただけだったのか?
色んなことを考えてしまうが、今となってはどれももはやどうにもならないことだ。ああ、シエラ……
退屈な僕の人生の唯一の楽しみだったというのに。
シエラを失った悲しみに暮れる僕だったが、残念ながらシエラを失ったことはこれから始まる悪夢のような日々の始まりに過ぎなかった。
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