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Ⅴ
対決Ⅳ
「それでは最後の証人をお呼びします。メルヴィン子爵」
「はい」
そう言って子爵が前に進み出ます。
それを見て見学席はどよめきに包まれました。子爵は例え自分が噂になっていようとこういう面倒な場にわざわざ出てくることは嫌っていると思われていたためです。
そんな子爵ですが、裁判の前に子爵の方からこちらに証言をすると伝えてきました。
なぜそんなことになったのかと言えば、子爵はあの後ランカスター子爵家に変な噂を流したことに対して謝罪(金銭)を求めたのですが、ランカスター子爵はメルヴィン子爵が私たちにヘレンを渡したことに激怒していたためそれを拒否。そのためその報復のためにやってきたとのことです。
噂を流されたことよりもお金を払わなかったことに報復するというのは相変わらずよく分かりません。
そして大事な裁判を私怨を晴らすために使われるのはどうかと思いますが、こちらに有利になるのであれば拒否する理由はありません。
そんなメルヴィン子爵が進み出ると、ランカスター子爵とウィルは露骨に嫌な顔をしますが、私たちならともかくメルヴィン子爵に暴言を吐くことも出来ずに歯ぎしりしています。
「さて、今回は事件には直接関係ないが、一つだけ証言させてもらおう。事件後、わしがエレン嬢と体の関係を持ち、それと引き換えにヘレンの身柄を渡したという噂が流れた。それについて調査した結果、出どころは我が家の使用人で、責めてみたところどうも知らない男に金銭を渡され、そのような噂を流すように言われたという」
子爵の証言内容は事前に聞いていませんでしたが、思ったよりもきちんと調査していたようで驚きました。
「そ、それが本当だという証拠はあるのですか?」
向かい側からランカスター子爵が震える声で尋ねます。
「その者を連れてこようかとも思ったが、どうせわしが言わせているとか言われるだろうから面倒に思って連れてこなかった。それからもう一つ言うのであれば、エレン嬢が我が家に来た時わしは彼女を私室や二人きりになれるような部屋には連れ込んでいない」
「そ、そうか。だがその話はこの裁判とは関係ないはずだ!」
「そうですな。ただの与太話です。それでは」
そう言って子爵は言うべきことは言ったとばかりにさっさと去っていきます。
確かに私と子爵が男女の関係になったという話はあくまで噂でありこの裁判の議題とは関係ありませんが、その噂を何重にも否定してくれるのは助かります。
普通こういう時は「自分が絶対に正しい」と主張するところ、彼はあくまで絶対的な証拠はない与太話だが、という体で話しているのが自分が正しいと確信している故の余裕に見えました。
また、ロイド家で子爵が自分で言った、「女性には興味がない」という話ともあいまって、メルヴィン子爵の話には妙な信ぴょう性がありました。
そして子爵の話が本当であれば誰かが故意に噂を流したことになりますが、この状況でわざわざ私とメルヴィン子爵を貶めるようなことをするのはランカスター子爵以外にいないでしょう。
エルーノ公爵は厳粛な面持ちを保っていますが、見学席の反応を見る限りどちらが正しいかは明らかになりました。
「……以上でこちらの証人は終わりだ」
それを確信して父上はそう言いました。
「はい」
そう言って子爵が前に進み出ます。
それを見て見学席はどよめきに包まれました。子爵は例え自分が噂になっていようとこういう面倒な場にわざわざ出てくることは嫌っていると思われていたためです。
そんな子爵ですが、裁判の前に子爵の方からこちらに証言をすると伝えてきました。
なぜそんなことになったのかと言えば、子爵はあの後ランカスター子爵家に変な噂を流したことに対して謝罪(金銭)を求めたのですが、ランカスター子爵はメルヴィン子爵が私たちにヘレンを渡したことに激怒していたためそれを拒否。そのためその報復のためにやってきたとのことです。
噂を流されたことよりもお金を払わなかったことに報復するというのは相変わらずよく分かりません。
そして大事な裁判を私怨を晴らすために使われるのはどうかと思いますが、こちらに有利になるのであれば拒否する理由はありません。
そんなメルヴィン子爵が進み出ると、ランカスター子爵とウィルは露骨に嫌な顔をしますが、私たちならともかくメルヴィン子爵に暴言を吐くことも出来ずに歯ぎしりしています。
「さて、今回は事件には直接関係ないが、一つだけ証言させてもらおう。事件後、わしがエレン嬢と体の関係を持ち、それと引き換えにヘレンの身柄を渡したという噂が流れた。それについて調査した結果、出どころは我が家の使用人で、責めてみたところどうも知らない男に金銭を渡され、そのような噂を流すように言われたという」
子爵の証言内容は事前に聞いていませんでしたが、思ったよりもきちんと調査していたようで驚きました。
「そ、それが本当だという証拠はあるのですか?」
向かい側からランカスター子爵が震える声で尋ねます。
「その者を連れてこようかとも思ったが、どうせわしが言わせているとか言われるだろうから面倒に思って連れてこなかった。それからもう一つ言うのであれば、エレン嬢が我が家に来た時わしは彼女を私室や二人きりになれるような部屋には連れ込んでいない」
「そ、そうか。だがその話はこの裁判とは関係ないはずだ!」
「そうですな。ただの与太話です。それでは」
そう言って子爵は言うべきことは言ったとばかりにさっさと去っていきます。
確かに私と子爵が男女の関係になったという話はあくまで噂でありこの裁判の議題とは関係ありませんが、その噂を何重にも否定してくれるのは助かります。
普通こういう時は「自分が絶対に正しい」と主張するところ、彼はあくまで絶対的な証拠はない与太話だが、という体で話しているのが自分が正しいと確信している故の余裕に見えました。
また、ロイド家で子爵が自分で言った、「女性には興味がない」という話ともあいまって、メルヴィン子爵の話には妙な信ぴょう性がありました。
そして子爵の話が本当であれば誰かが故意に噂を流したことになりますが、この状況でわざわざ私とメルヴィン子爵を貶めるようなことをするのはランカスター子爵以外にいないでしょう。
エルーノ公爵は厳粛な面持ちを保っていますが、見学席の反応を見る限りどちらが正しいかは明らかになりました。
「……以上でこちらの証人は終わりだ」
それを確信して父上はそう言いました。
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