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アシュリー視点 カミラⅡ
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「どうしたんだ、そんなに慌てて」
私が無理を言ってチャーリーに会わせてもらうと、彼は少し驚いたように言った。
「もしかしたら今回の事件について、重要なことが分かったかもしれないんです」
「どういうことだ? そもそも君は屋敷で静養していたのではなかったのか?」
「せっかくお心遣いいただいたのにすみません」
せっかく王宮のことを気にせず休んでいいと言われていたのに、結局ずっと王宮のことを気にしてしまっていた。
「いや、それは構わないが、何が分かったんだ」
「今カール殿下は王宮にて伯爵を大臣にすべく命令を出そうと躍起になっているのですよね?」
「ああ、確かにそうだ。今は色々と理由をつけて殿下の命令を送らせてその間に陛下に相談しているのだが……どうもヒューム伯は陛下に取引を持ちかけているようでな」
大方、邪魔者を一掃したら伯爵と王族で王国の権力を全て分け合おう、みたいな話だろう。
陛下がなぜそのような提案に耳を傾けているのかは分からないが、チャーリーの反応を見るに、旗色は悪そうだ。
「しかし兄上があれほど溺愛していたカミラの姿を見かけないし、以前は僕らに嬉々として命令していたのに、今はどことなく元気がないんだ」
「恐らくなのですが、カミラは現在ヒューム伯屋敷に監禁されています」
「何だと!?」
私の言葉にチャーリーもさすがに驚きの声をあげる。
普通はあそこまでカールと仲が良かったカミラがそんなことになっているとは思わないだろう。
「ですがそう考えると全て辻褄が合うのです。恐らくカミラとヒューム伯とカール殿下の三者のうちのどこかで仲違いが発生して、伯爵はそれまでのカール殿下を騙す路線から方針転換をしたのでしょう」
「なるほど……確かにそう考えれば辻褄が合うな」
そう言ってチャーリーは唸る。
「と言う訳でカミラさえ伯爵の元から救出すれば、カール殿下と伯爵の関係はきれるでしょう」
「なるほど、だがそれは本当なのか?」
「はい、実は……」
そう言って私はシルヴィアから聞いた話をチャーリーに話す。
私の話を聞いた殿下は再び唸った。
「分かった、そういうことであればこちらでも調べて、本当に怪しいと思ったらその時はどうにかしよう」
「はい、お願いします」
「まさか婚約破棄された後も君に助けられてしまうとはな」
不意に、チャーリーはぽつりとそう言った。
「多分君はそんな気分じゃないと思うが、出来ることならまた王宮に戻ってきて欲しいぐらいだ」
もちろんカールの婚約者に戻るのは嫌ですが……
この時のチャーリーの言葉はどこか私の中に引っ掛かったのでした。
私が無理を言ってチャーリーに会わせてもらうと、彼は少し驚いたように言った。
「もしかしたら今回の事件について、重要なことが分かったかもしれないんです」
「どういうことだ? そもそも君は屋敷で静養していたのではなかったのか?」
「せっかくお心遣いいただいたのにすみません」
せっかく王宮のことを気にせず休んでいいと言われていたのに、結局ずっと王宮のことを気にしてしまっていた。
「いや、それは構わないが、何が分かったんだ」
「今カール殿下は王宮にて伯爵を大臣にすべく命令を出そうと躍起になっているのですよね?」
「ああ、確かにそうだ。今は色々と理由をつけて殿下の命令を送らせてその間に陛下に相談しているのだが……どうもヒューム伯は陛下に取引を持ちかけているようでな」
大方、邪魔者を一掃したら伯爵と王族で王国の権力を全て分け合おう、みたいな話だろう。
陛下がなぜそのような提案に耳を傾けているのかは分からないが、チャーリーの反応を見るに、旗色は悪そうだ。
「しかし兄上があれほど溺愛していたカミラの姿を見かけないし、以前は僕らに嬉々として命令していたのに、今はどことなく元気がないんだ」
「恐らくなのですが、カミラは現在ヒューム伯屋敷に監禁されています」
「何だと!?」
私の言葉にチャーリーもさすがに驚きの声をあげる。
普通はあそこまでカールと仲が良かったカミラがそんなことになっているとは思わないだろう。
「ですがそう考えると全て辻褄が合うのです。恐らくカミラとヒューム伯とカール殿下の三者のうちのどこかで仲違いが発生して、伯爵はそれまでのカール殿下を騙す路線から方針転換をしたのでしょう」
「なるほど……確かにそう考えれば辻褄が合うな」
そう言ってチャーリーは唸る。
「と言う訳でカミラさえ伯爵の元から救出すれば、カール殿下と伯爵の関係はきれるでしょう」
「なるほど、だがそれは本当なのか?」
「はい、実は……」
そう言って私はシルヴィアから聞いた話をチャーリーに話す。
私の話を聞いた殿下は再び唸った。
「分かった、そういうことであればこちらでも調べて、本当に怪しいと思ったらその時はどうにかしよう」
「はい、お願いします」
「まさか婚約破棄された後も君に助けられてしまうとはな」
不意に、チャーリーはぽつりとそう言った。
「多分君はそんな気分じゃないと思うが、出来ることならまた王宮に戻ってきて欲しいぐらいだ」
もちろんカールの婚約者に戻るのは嫌ですが……
この時のチャーリーの言葉はどこか私の中に引っ掛かったのでした。
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