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アシュリー視点 カミラの行方
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「大変ですわ!」
それから数日後、シルヴィアが蒼い顔をして屋敷に駆け込んできた。
基本的にお互いの屋敷に来る時は事前に何かしら連絡はある。それがなかったのは初めてかもしれず、私はシルヴィアからただならぬ雰囲気を感じ取る。
「一体どうしたの?」
「二人きりでお話したいですわ」
彼女が息をきらしながらそう言ったので私は急いでシルヴィアは自室に案内する。二人きりで、とは穏やかではない。
これまで二人で会うことはあっても、常にメイドの一人ぐらいは部屋に出入りして飲み物をついだり食器を下げたりしていた。
私は誰も部屋に入らないよう言ってシルヴィアを部屋に入れた。
部屋で二人きりになるとようやく彼女は一息つく。
「あの後婚約者の姉上にヒューム伯爵家の様子を聞きましたの。そしたら最近カミラ嬢の姿が見えないそうで、それとなく訊いてみても皆知らないか口を濁すばかり。ですが、屋敷の中の一角になぜか家の者が近づいてはいけない空間がありましたの」
「え、それどういうこと?」
伝統ある家だと一族しか入ってはいけない部屋とかあったりするけど、伯爵家にそういう部屋があればさすがに彼女は最初から聞かされているだろう。
そしてそんな空間が突然出来る場合、大体何か後ろ暗いことが発生していることが多い。
「そしてその部屋には時々執事が足を運んでいるようなのです。恐らくですが……その中にカミラ嬢が」
「そんな!」
とはいえこれまでは王宮内でカールと親し気に接しているところを多々目撃されたカミラだが、最近は全く目撃されていないという。
気になって王宮の情報を父上などに聞いているが、どうもカールは今までよりも暗い表情で、しかし大臣をヒューム伯に差し替え、将軍を遠ざけるような命令を出そうとしているらしい。
カミラが近くにいれば私は「カミラがカールをそそのかしている」と思ったかもしれないが、カミラが近くにいないということはきっと伯爵は彼女を人質にカールを脅しているに違ない。
「きっと伯爵はカミラ嬢を捕えて殿下を脅しているのですわ!」
シルヴィアも蒼い表情で言った。
そんな……と思ったが、冷静に考えてみるとこれは好機でもある。
なぜならカミラさえ救い出せば殿下とヒューム伯の関係は完全に切れるからだ。何が怒ったかは知らないが、カミラを閉じ込めている伯爵の言うことをカールが聞き続けるとは思えない。
そしてそれを相談することが出来るとすれば……
チャーリー以外いない。
「ありがとう、シルヴィア。相談してみる」
「でも一体誰に」
「チャーリー殿下に」
「分かりましたわ」
その名前を聞いてシルヴィアは安心したようだった。
それまであまり表に出ることがなかった殿下だが、婚約破棄の一件で私を助けてくれたという話をして以来、私の友人の間で彼の評価は上がっている。
彼であれば多少強引に伯爵の屋敷を調査することも出来るだろう。
こうして私は急ぎチャーリーに会いに行くことにしたのだった。
それから数日後、シルヴィアが蒼い顔をして屋敷に駆け込んできた。
基本的にお互いの屋敷に来る時は事前に何かしら連絡はある。それがなかったのは初めてかもしれず、私はシルヴィアからただならぬ雰囲気を感じ取る。
「一体どうしたの?」
「二人きりでお話したいですわ」
彼女が息をきらしながらそう言ったので私は急いでシルヴィアは自室に案内する。二人きりで、とは穏やかではない。
これまで二人で会うことはあっても、常にメイドの一人ぐらいは部屋に出入りして飲み物をついだり食器を下げたりしていた。
私は誰も部屋に入らないよう言ってシルヴィアを部屋に入れた。
部屋で二人きりになるとようやく彼女は一息つく。
「あの後婚約者の姉上にヒューム伯爵家の様子を聞きましたの。そしたら最近カミラ嬢の姿が見えないそうで、それとなく訊いてみても皆知らないか口を濁すばかり。ですが、屋敷の中の一角になぜか家の者が近づいてはいけない空間がありましたの」
「え、それどういうこと?」
伝統ある家だと一族しか入ってはいけない部屋とかあったりするけど、伯爵家にそういう部屋があればさすがに彼女は最初から聞かされているだろう。
そしてそんな空間が突然出来る場合、大体何か後ろ暗いことが発生していることが多い。
「そしてその部屋には時々執事が足を運んでいるようなのです。恐らくですが……その中にカミラ嬢が」
「そんな!」
とはいえこれまでは王宮内でカールと親し気に接しているところを多々目撃されたカミラだが、最近は全く目撃されていないという。
気になって王宮の情報を父上などに聞いているが、どうもカールは今までよりも暗い表情で、しかし大臣をヒューム伯に差し替え、将軍を遠ざけるような命令を出そうとしているらしい。
カミラが近くにいれば私は「カミラがカールをそそのかしている」と思ったかもしれないが、カミラが近くにいないということはきっと伯爵は彼女を人質にカールを脅しているに違ない。
「きっと伯爵はカミラ嬢を捕えて殿下を脅しているのですわ!」
シルヴィアも蒼い表情で言った。
そんな……と思ったが、冷静に考えてみるとこれは好機でもある。
なぜならカミラさえ救い出せば殿下とヒューム伯の関係は完全に切れるからだ。何が怒ったかは知らないが、カミラを閉じ込めている伯爵の言うことをカールが聞き続けるとは思えない。
そしてそれを相談することが出来るとすれば……
チャーリー以外いない。
「ありがとう、シルヴィア。相談してみる」
「でも一体誰に」
「チャーリー殿下に」
「分かりましたわ」
その名前を聞いてシルヴィアは安心したようだった。
それまであまり表に出ることがなかった殿下だが、婚約破棄の一件で私を助けてくれたという話をして以来、私の友人の間で彼の評価は上がっている。
彼であれば多少強引に伯爵の屋敷を調査することも出来るだろう。
こうして私は急ぎチャーリーに会いに行くことにしたのだった。
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