【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。

15. キャシーも？

　ルシウス様は、ディクソン領へ帰る事となった。

　一度帰って、いろいろと手筈を整えてまた一ヶ月ほどしたらこちらに迎えに来てくれるそうだ。私も婚約者としてディクソン伯爵のお屋敷でお世話になり、半年後に結婚する事となった。
少し急ぐような形ではあるけれど、ルシウス様が二十歳になるのでそろそろ身を固めた方がいいそうだ。
そして、それを機にディクソン伯爵は引退して、ルシウス様が伯爵となるそう。

　私、いきなり伯爵夫人！？
そう、少し驚いたけれどルシウス様のお父様とお母様、ゆっくりと過ごしたいのですって。
もちろん、半年では伯爵夫人のお勤めの引き継ぎが出来るか分からないので補佐はしてくれるみたいだけれど。

　ディクソン伯爵夫人と胸を張って言えるように、しっかり覚えなければね！



「サーラ。明日、キャシーと一緒に出掛けてくれんか。」

　夕食時、お父様がそう言ってきました。

「明日ですか？分かりました。では明日はお手伝いはよろしいですか？」

「あぁ。済まないが、キャシーと王都へ行って来てくれ。キャシーに婚約の打診が来てな。その方との顔合わせだ。帰りに、王都の店にどこか寄ってきてもいいぞ。遅くなってはいかんがな。」

「あら、いいわねぇ。私も行けたら良かったんだけど。明日はお茶会だわ。」

「えっ！？」

「お姉様、そんなに驚かないで下さいまし。私だってびっくりしているのですから。…でも、お姉様と一緒にお店に寄るの、楽しみです！」

「ご、ごめんなさい、キャシー。失礼に思わないでね。キャシーももう、婚約者が出来るのかと思ったら驚いたの。だって、私はつい最近まで婚約者候補もいなかったのだもの。キャシーだってまだまだかなと思ってしまって。」

「あらお姉様。私、まだ会うだけですわ。結婚なんて…。」

「キャシーももう十五歳だもの。引く手あまたよ、きっと。サーラの場合は高嶺の花過ぎて声が掛けにくかったのね。」

「店に寄るのもいいが、とにかくまず会って話をしてきなさい。サーラも、話す事があったらしっかり話してきなさい。」

「え？私ですか？」

「サーラの目で見極めてきなさい。」

　そう言って、お父様は食事を再開した。

　キャシーはお人形のように可愛いもの。当たり前よね！
相手はどんな方かしら…？それにしても、良さそうな方って同じような年代にいたかしら…？

　あ！そもそも、名前も教えて下さらないの？キャシーは、知っているのかしら。