【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。

まりぃべる

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17. お相手は

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 部屋に入ると、中央のソファに腰を下ろしてそわそわと両手を組んで動かしている黒髪の男性がいた。

「さぁ、座りましょ!この方はね、ノーマン=ターナー様よぉ!今、ピチピチの二十歳よぉ!」

「え!!」

 私は、思わず声を上げてしまった。
キャシーは、そんな私を見て首を傾げた。
その名前は、ここ最近有名になったターナー商会という貿易商会の名前と同じだったから。
それに、服も全身紺色のスーツではあるが、中の白いシャツの襟をピシッと立てたりしてかなりお洒落に着こなしているから本物じゃないかと思ったのだ。

「あら、サーラちゃんはご存じ?ターナー商会の会長さんよぉ!ここのドレスの生地も宝飾品も、半分以上ターナー商会から仕入れているのよぉ!あ、でもとりあえず、ノーマンから話した方がいいわよねぇ。ノーマン、ど・う・ぞ!」

 そう言ってマダムは立ち上がり、壁に立っていた人に何か言付け、部屋を出て行った。
テーブルには、一人分の紅茶の準備がされているから人数分用意してくれるのかもしれない。もしくは、仕事の言付けかしら。


「では。今、マダムから紹介のあった通り僕は、ノーマン=ターナーと言うよ。平民の僕が、なぜ結婚の打診をしたかという説明からまずさせてもらってもいいかな?」

 そう、ノーマン様は言って、キャシーへ視線を向けた。
キャシーは、ゆっくりと頷いて、先の説明を促している。

「ありがとう。キャシー嬢、というべきなのだろうか?けれど僕は貴族ではないからその呼び方は慣れないんだ。だから、キャシー様、と呼ばせてもらおう。名前を知った時からそう呼んできたんだ。…僕が、亡くなった父の跡を継いだのがだいたいニ年前。そこから、小さかった商会の方向転換をして、いろいろな事業に手を出したんだ。僕は十三歳の頃から父の友人に付いて世界を回っていた。そこで目にしたこの国では珍しいものを売ろうとね。で、マダムのこの店に来たらそれはもう素晴らしく素敵な物を見つけてしまってね。」

 そう言って一呼吸置いた時に、部屋をノックされ、先ほどの人が紅茶の入ったポットなどを乗せたワゴンを引いて入って来た。
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