18 / 21
18. なんと
しおりを挟む
紅茶の用意を終え、その人が壁に控えた所でまたノーマン様が話し出した。
「キャシー様のとても丁寧に作った縫いぐるみさ。あれを見て、作り手はなんと繊細な人かと思ってね。店に来る度に購入してしまったよ。でもマダムに聞いても作り手は誰かなんて情報一つ教えてくれやしない。」
「それはそうよぉ。ボールドウィン伯爵とお約束したんですからねぇ。」
ノーマン様は、そう言ったマダムをジロリと睨んでまた話し出した。
「それで、僕は言ってみたんだ。『こんな繊細な物を作れる人と生涯を共にしたいものだ。』って。そうしたらマダムが交渉してくれたみたいでね。」
「ボールドウィン伯爵に包み隠さずお話したのよぉ。『キャシーちゃんが作る縫いぐるみを毎回買って行く熱烈な変態がいます』って。そうしたら、『変態には大事なキャシーをやれん。危険だから販売は止めさせよう』って言われちゃって。慌てて『変態は言い過ぎましたが、身元ははっきりしている誠実な人よ』って言ったのよぉ。打ち切りは困るしぃ。」
「おい!変な事言わないでくれ!」
「あらぁ、本当の事でしょぉ?キャシーちゃんの縫いぐるみを見る度に『この丸みを出すのが難しいのに、これは素晴らしい』とか、『この表情がいい』とかブツブツ言って。私に作らせた服を着せたりもしてるじゃないのぉ。」
「そこまで言うな!」
「え?服?」
私が、話しを聞いていて若干引き始めていると、キャシーは顔が真っ赤になりながらも聞いていた。
「…いずればれる事かぁ。キャシー様が作った縫いぐるみにはみんな服を着せているよ。結婚しても、作ってくれるかい?」
「結婚しても作っていいの?」
「もちろんだよ!僕は女神のようなキャシー様に惚れてしまったんだ。いつまでも好きな事をしてくれたらいいよ。」
「…それってプロポーズ?」
「そうだよ!僕は、君が作った縫いぐるみから、繊細で何事にも丁寧な人だと感じ、好きになってしまったんだ。でも会って余計好きになったよ。はにかみながらもきちんと話を聞いてくれるしね、どうかな?僕と結婚してくれませんか。」
「…私、まだ結婚するのは早いかなと思ってたのよ。」
「そう?僕と一緒にいろんな世界を見に行かない?世界にはもっと綺麗な布地や柄なんかもあるんだ。どうだろう?」
あら、キャシーなんだかワクワクしてそうね。新しい生地で縫いぐるみなんか編む想像でもしているのかしら?
「私、あまり乗り物好きじゃなくて…。」
「そうなのかい?じゃぁ…うーん、僕が買い付けに行く間、何カ月も離れ離れは、淋しいけれど仕方ないか…。あ、もしかして乗り物酔い?ならクッション性を高めた最新式を新調するよ!」
まぁ!ノーマン様、必死ですわ。それに、答えるキャシーはでもまんざらでもない様子ね。マダムも笑いを押し殺しているわ。
ふふふ。もしかして、上手く纏まるのかしらね。
「キャシー様のとても丁寧に作った縫いぐるみさ。あれを見て、作り手はなんと繊細な人かと思ってね。店に来る度に購入してしまったよ。でもマダムに聞いても作り手は誰かなんて情報一つ教えてくれやしない。」
「それはそうよぉ。ボールドウィン伯爵とお約束したんですからねぇ。」
ノーマン様は、そう言ったマダムをジロリと睨んでまた話し出した。
「それで、僕は言ってみたんだ。『こんな繊細な物を作れる人と生涯を共にしたいものだ。』って。そうしたらマダムが交渉してくれたみたいでね。」
「ボールドウィン伯爵に包み隠さずお話したのよぉ。『キャシーちゃんが作る縫いぐるみを毎回買って行く熱烈な変態がいます』って。そうしたら、『変態には大事なキャシーをやれん。危険だから販売は止めさせよう』って言われちゃって。慌てて『変態は言い過ぎましたが、身元ははっきりしている誠実な人よ』って言ったのよぉ。打ち切りは困るしぃ。」
「おい!変な事言わないでくれ!」
「あらぁ、本当の事でしょぉ?キャシーちゃんの縫いぐるみを見る度に『この丸みを出すのが難しいのに、これは素晴らしい』とか、『この表情がいい』とかブツブツ言って。私に作らせた服を着せたりもしてるじゃないのぉ。」
「そこまで言うな!」
「え?服?」
私が、話しを聞いていて若干引き始めていると、キャシーは顔が真っ赤になりながらも聞いていた。
「…いずればれる事かぁ。キャシー様が作った縫いぐるみにはみんな服を着せているよ。結婚しても、作ってくれるかい?」
「結婚しても作っていいの?」
「もちろんだよ!僕は女神のようなキャシー様に惚れてしまったんだ。いつまでも好きな事をしてくれたらいいよ。」
「…それってプロポーズ?」
「そうだよ!僕は、君が作った縫いぐるみから、繊細で何事にも丁寧な人だと感じ、好きになってしまったんだ。でも会って余計好きになったよ。はにかみながらもきちんと話を聞いてくれるしね、どうかな?僕と結婚してくれませんか。」
「…私、まだ結婚するのは早いかなと思ってたのよ。」
「そう?僕と一緒にいろんな世界を見に行かない?世界にはもっと綺麗な布地や柄なんかもあるんだ。どうだろう?」
あら、キャシーなんだかワクワクしてそうね。新しい生地で縫いぐるみなんか編む想像でもしているのかしら?
「私、あまり乗り物好きじゃなくて…。」
「そうなのかい?じゃぁ…うーん、僕が買い付けに行く間、何カ月も離れ離れは、淋しいけれど仕方ないか…。あ、もしかして乗り物酔い?ならクッション性を高めた最新式を新調するよ!」
まぁ!ノーマン様、必死ですわ。それに、答えるキャシーはでもまんざらでもない様子ね。マダムも笑いを押し殺しているわ。
ふふふ。もしかして、上手く纏まるのかしらね。
81
あなたにおすすめの小説
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~
tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。
ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。
妹が最優先という事で婚約破棄なさいましたよね? 復縁なんてお断りよッ!!
百谷シカ
恋愛
私の婚約者クライトン伯爵エグバート卿は善良で優しい人。
末っ子で甘えん坊の私には、うってつけの年上の彼。
だけど、あの人いつもいつもいつもいつも……なんかもうエンドレスに妹たちの世話をやいている。
そしてついに、言われたのだ。
「妹の結婚が先だ。それが嫌なら君との婚約は破棄させてもらう」
そして破談になった私に、メイスフィールド伯爵から救いの手が差し伸べられた。
次々と舞い込んでくる求婚話。
そんな中、妹の結婚が片付いたと言ってエグバート卿が復縁をもちかけてきた。
「嘘でしょ? 本気?」
私は、愛のない結婚なんてしないわよ?
======================================
☆読者様の御親切に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
ご心配頂きました件について『お礼とご報告』を近況ボードにてお伝えさせて頂きます。
引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです♡ (百谷シカ・拝)
自信過剰なワガママ娘には、現実を教えるのが効果的だったようです
麻宮デコ@SS短編
恋愛
伯爵令嬢のアンジェリカには歳の離れた妹のエリカがいる。
母が早くに亡くなったため、その妹は叔父夫婦に預けられたのだが、彼らはエリカを猫可愛がるばかりだったため、彼女は礼儀知らずで世間知らずのワガママ娘に育ってしまった。
「王子妃にだってなれるわよ!」となぜか根拠のない自信まである。
このままでは自分の顔にも泥を塗られるだろうし、妹の未来もどうなるかわからない。
弱り果てていたアンジェリカに、婚約者のルパートは考えがある、と言い出した――
全3話
妹と婚約者は私が邪魔なようなので、家から出て行きます
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アリカが作った魔法道具の評判はよかったけど、妹メディナが作ったことにされてしまう。
婚約者ダゴンはメディナの方が好きと言い、私を酷使しようと目論んでいた。
伯爵令嬢でいたければ従えと命令されて、私は全てがどうでもよくなってしまう。
家から出て行くことにして――魔法道具は私がいなければ直せないことを、ダゴン達は知ることとなる。
婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。
将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。
レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる