【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。

まりぃべる

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13. デート

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「あ、ここも温室だよ、見てみようか。」

 話していると、温室が目の前に見えてきたので二人で入った。

「なんだ?これは以前は無かったような…。」

「あ、これは…!」

「こんにちは、ルシウス様。よろしければ、解説しましょうか?今日は必要ありませんかね。」

 私とルシウス様が入り口に入ってすぐの真っ赤な細長い実を見ていると、近くにいたラフな格好の白髪の人が声を掛けてきた。

「おお、館長。これは以前、あったかな?」

 館長さんなんだ…。動きやすい服装をしているから、きっと整備もしているのかもしれないわ。

「おぉ、よく気付きましたな。これはトゥーの実。遠い異国の原産ですぞ。食べる事も出来ますぞ。辛いから、これ単体では食べるのはお勧めしませんがの。」

「館長さん!これが有るって事は、コーブィの実はあるのですか?」

「おぉ!よくご存じですな。さすがルシウス様のお連れ様じゃの。コーブィの実も、隣の温室にありますぞ。なんせ、最近異国からの輸入品をよく仕入れるようになったターナー協会が、なんと分けてくれたんじゃ。」

「ターナー協会って、ここ最近大きくなった?」

「しかも、安い金額での。ま、ここに生えてるものを見て、あなた様達のように興味がある方達をターナー協会へ紹介する代わりにというかな、いわば広告塔じゃ。」

「なるほど。損して得取れか。」

 ルシウス様は、納得しておられるわ。

「興味がお有りなら一度、ターナー協会へどうぞ。さて、わしの仕事も終わったかの?お二人のせっかくの時間を邪魔するのも不粋じゃからな。何かあったら、また聞いて下され。」

「館長、いつもありがとうございます。」

 なんのなんの、と言いながら館長は奥へと歩いて行った。

「サーラは本当博識だね。びっくりしたよ。」

「いいえ…。実は、ボールドウィン領は小麦の産地ですが、被害も結構あって。虫に強い何か方法があればと最近ずっと調べていたのです。書物に、遠い異国のものを煮込んで散布すれば、虫を寄せ付けないとあったもので。」

「なるほど!それがさっきのトゥーの実とコーブィの実?」

「はい。でも、この国では見たことが無くて。」

「うん、僕も初めて見たよ。ターナー協会で購入すれば、うまく行くかもしれないね!」

「購入出来れば、の話ですけれど。輸入品って高そうですものね。あ、すみませんこんな話を…。もっと見ましょう?」

「いやぁ、サーラの話ならどんな事も話して欲しい。解決出来ない事もたくさんあるけれど、二人でなら出来る事もあるかもしれないからね。僕も、ターナー協会に当たれないか確認してみるよ。」

「いいえ!そんな事はいいのです!けれど、ありがとうございます。そのお気持ちだけで。」

「サーラは慎み深いね。もっと頼ってくれていいんだよ。じゃあ隣の温室も行こうか。」

「はい!」

 いろんな話をしながら、少しずつ親密になっていけたような気がするから、お母様には結果、感謝ですわね。
気になっていた植物も、知れた事ですし。
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