【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。

まりぃべる

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20. それから

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 一ヶ月後。

 ルシウス様が王都に来た。

 それは、私も一緒にディクソン伯爵領へ向かうと言う事。

 家族で最後の晩餐となった時は、お父様もお母様も、そしてキャシーともいろんな話をして、少し皆で泣いてしまったわ。

 侍女のタバッサはなんと、ついてきてくれると言った。私は一度は断ったけれど、タバッサの言葉は心強かったし、頑固に『絶対に行きます!!』と言われたので泣いて喜んでしまった。

 他の使用人達とも、一人ずつお別れをした。


 そして次の日。

 朝、ルシウス様が馬車で迎えに来てくれた。
その時に、わざわざブレンダもカッセル家から馬車でお見送りに来てくれた。

「サーラ、いつの間にそうなったの?この前の王宮のガーデンパーティーで会った時は、ルシウス様の事知らない感じだったじゃない。」

「ええ。でも、それがあったから、きっとこうなってしまったの。偶然って、必然なのね。」

「まぁ!ちょっとルシウス様?ちゃんとサーラを幸せにしないと、私承知しませんわよ!」

「ハハハ!大丈夫。分かっているよ。必ず大切にするさ。ブレンダも、婚約者を大切にね!」

「ふん、分かっているわよ。私は大丈夫!幸せにしてもらうからね!あ、ちょっとサーラ。」

 そう言ったサーラは、私に近づいて耳元で、『この前、キャシーを穿った目で見てごめんなさいね。』と言われた。

 
 キャシーとは、婚約の報告をする為に二週間ほど前、うちの屋敷にお茶に招待したのだ。そして、その時にキャシーの婚約も合わせて伝えた。
『キャシーはまだ十五歳になったばかりで、結婚したくないと私にルシウス様を譲ってくれたの。縫いぐるみをまだまだ作っていたかったのですって。でも、その縫いぐるみがきっかけでキャシーにも婚約者が出来たのよ』と。

 そうしたら、ブレンダはキャシーが結婚したくないから私にルシウス様を譲ったと聞いてとても驚いていた。
ルシウス様は美丈夫だから、キャシーがそんな話があったら喜んで食いつくと思ったらしいわ。
キャシーって、そんなにがっついて見えるのかしら?と思ったけれど、少なくとも私よりは男性と話が積極的に出来るものね。

 そんなキャシーでも、ノーマン様には照れて口数が少なかったのには驚いたわね。


「ブレンダ…。」

「サーラの妹なのに、酷い事を言ってしまったわ。ごめんなさい。あと、これ。あなた達に贈るわ。銀のスプーンよ。カッセル領は銀が取れるから、これにしたの。使って?」

「えっ!!そんな…ブレンダ、貴重過ぎるわ。」

「あら。私達の仲はそんなもんじゃなくてよ。…ごめんね、謝罪の分も含まれてるわ。だって家族をけなしたようなものだったものね。けれど銀のスプーンは、相手に幸せになって欲しいから贈るものだもの。だから、受け取って?」

「ブレンダ…ありがとう!大切にするわ!」

「二つあるからね。幸せになるのよ。」

「僕のもあるのか?ありがとう。じゃあそろそろ行かないと。いいかな?また、ディクソン領へサーラに会いに来てくれ。」

「ええ。きっとよ。」


 家族ともブレンダともお別れをして、私はルシウス様と同じ馬車に、タバッサは後ろの馬車に乗った。
道中長いからと、クッションもたくさん用意してくれたのでそれにもたれ掛かりながら、ルシウス様と他愛もない話をしていた。
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