22 / 27
22. 告白
しおりを挟む
「ルド、ありがとう。大切にするわ!」
店を出て改めて私は、ルドに髪飾りのお礼を言うと、ルドもはにかむように笑って、
「良かった!はい、そうしてくれると嬉しいです。私も、贈った甲斐があります。」
と言った。そして続けて、
「さぁ、次へ行きましょうか。手を、失礼しますね。」
と言い、私の手を取った。
☆★
次はまた食べ物のお店へ行き、ポタタと呼ばれる、ジャガイモを油で揚げた物を白いソースに付けて食べる物を店で購入した。
これも、なんだか懐かしいような味がしたし、美味しくて顔が綻んでしまう。
「エルヴィーラは、食べ物を美味しそうに食べるから見ていて気持ちがいいですね。」
ルドにそう言われたから、食べ物にがっつきすぎているように見えたらと少し恥ずかしく思った。けれど、褒められたと思っておこうと頭を切り替えた。
「名残惜しいですが、そろそろ宮廷へ向かいましょう。少し歩きますが良いですか。」
正面には確かに宮廷と言われた、大きな建物が見えるけれど、まだ距離があった。
私達は、手を繋ぎなからゆっくりと歩いて向かう。
「はい。」
いつの間にか日は傾いてきている。楽しかった時間はあっという間で、思ったよりも残念に思っている私がいた。
「あの…歩きながらですみません。私の話を聞いてもらえますか。」
「?…ええ。」
何だろう。改まって何の話をするのかしら?と顔をルドに向ける。
「あぁ、恥ずかしいからこちらを見ないで下さい。」
そう照れたように言われたから、慌てて正面を向いて歩く。
「ええと、このアーネムヘルム帝国の皇帝の名前って覚えてますか?」
改まってそんな事をいわれるから、私は拍子抜けした。きっと、これから会う皇帝陛下の復習でもさせるつもりなのかと思って、少ない記憶を頼りに言葉を繋ぐ。
「はい。ルドフィカス皇帝陛下ですよね?」
あぁ、そう言えば名前、ルドと似ているのね。これから皇帝陛下の名前を呼ぶ時に、ルドの事も思い出すのかしら。
もう気軽にはきっとルドに会えなくなると思うと、酷く悲しい気持ちが押し寄せてきた。
「あの…驚かないで聞いてくれますか。私の本当の名前は、ルドフィカスなのです。」
「え!?」
私は、先ほどルドに『恥ずかしいからこちらを見ないで』と言われた事も忘れて横にいるルドの顔を見上げた。
ルドは、私が見つめているのを分かっているだろうに、目を逸らした。横顔は、日に照らされてなのか赤く見えた。
「……皇帝陛下と、同じ名前なの?」
ルドが何も口を開かないから、私がそう繋いだ。
「いや…」
ルドは、少し迷った様子だったけれど私の方を一度見てから、その後さらに言葉を繋ぐ。
「私が、先ほどエルヴィーラに髪飾りを買ったのは、あなたに贈り物がしたかったからです。私が贈った物を付けてくれるのを見たくて。…本当は、格好いい紳士であったなら、自分の瞳や髪色と同じ色を身につけて欲しいと願うのだと思う。けれど……僕にはそのまでの勇気は無くて。あなたに似合うものを付けて欲しいと思ったのです。」
「僕は、ルドフィカス=アーネムヘルム。この国の皇帝陛下と呼ばれる者です。でも、会った日に告げたように、本来なら僕がなるわけでは無かった。担ぎあげられただけで、皇帝の器では無いんです。」
そう続けて言ったルドは、とても歪んだ表情で、辛そうだった。
でも、私は逆に、ルドの言われた言葉を反芻し、とても嬉しく思ってしまった。
(だって、ルドだったなら怖くないもの。)
デューレンケルン辺境伯爵家で言われたような、野蛮とかそういう類は全く感じない。
「こんな皇帝らしくない皇帝に、はるばる嫁ぎに来て下さってありがとう。エルヴィーラ、いえ、エルヴィーラ様。どうか、僕と夫婦になって下さい。」
そう言って、立ち止まって頭を下げたルド。
私は、何か言葉を発しなきゃと思うのになかなか言葉が見つからなくて。
「ルド…」
辛うじて聞こえるような呟くような声で囁くと、ルドは少し顔を上げる。と、私を見てハッと驚いた顔をし、私の頬を撫でた。
「どうして泣いているのですか?泣くほど、この結婚が嫌ですか?」
私は、言われて初めて自分が泣いている事に気がついた。嬉しいのと驚いた気持ちが混ざり合って涙が出てきたのだ。
けれど、ルドにそう言われて、慌てて強い口調をしてしまった。
「そんなわけない!でも、私……私で良いのかな…。」
そう。忘れていたけれど、ルドの、いえ、皇帝陛下の重鎮達は、皇帝陛下を支える為にデューレンケルン辺境伯令嬢である銀獅子を妻に、と望んだと言っていた。私には、ルドを支える事が出来るのだろうか。この世界の事も、マナーも、ほとんど知らない私。
「僕、エルヴィーラがいい!一緒にいたい。知らなかったけれど、きっとこれが好きだという気持ちだと思う。僕、銀獅子ってどんなに怖い人かと思っていたんだ。皇帝なのに、変だと思うだろう?僕は気弱なんだよ。だけど、銀獅子ではない、今のありのままのエルヴィーラがいいんだ!数日だけだけど、一緒に過ごして心からそう思ったんだ。だから、僕、エルヴィーラを改めて妻にしたいと思うって皆に言うよ。反対されても説得する!分からない事は、一緒に頑張っていこう!」
なんだか、何もかも分かっているような事を言われ、私は余計に涙が止まらなくなった。
「ルド…私も、この気持ちが好きと言う気持ちなのか分からないの。でも、もうルドとお別れだと思ったら、淋しく思ったし、髪飾りをもらった時も、とっても嬉しかったけれど、これを見ているのは辛いなと思ったの。だって、私は皇帝陛下の妻となるのだもの。でも、その夫となる人が、ルドあなただったのね。」
「うん。一緒に旅をして、仲良くなれって言われたんだ。僕も、それができるさならと思ったけれど、会うのもやっぱり怖かった。だいたい、銀獅子っていう名前が良くない。食べられそうだもん。」
そんな風に言うから、私は吹き出してしまった。
「あ、笑ったな?ごめんね、夫となる僕は情けないと思うけど、もう離れられないからね?」
「ふふふ。全然情けなくなんてないわ!私にとったら、素晴らしい王子様よ!あ、皇帝陛下様、だったわね。」
「ありがとう。エルヴィーラだけだよ、そう言ってくれるのは。」
「ルドは情けないとか、気弱とかではないと思うわ、本当よ!優しいもの。」
「うーん。帝国を治める皇帝は、冷徹でないといけないんだよ。だから…」
「あら。冷徹な主君に心からついていこうと思う人、何人いるかしら。それよりも、支えたいと思う方のが、いいわ!…難しい事は私には分からないけれど、与えられた役職があるのなら、それを演じるしかないのよきっと。でも演じる事を楽しみましょうよ!」
ルドが寂しそうだったから敢えてそう、明るく言うとルドはまたふわりと柔らかい笑顔を向けてくれ、私を優しく包み込んでくれた。
「エルヴィーラ。これがきっと、愛おしいと思う気持ちなのかもしれない。ありがとう。一緒に演じてくれる?」
「ええ!」
だって私は、その為にこの国へ来たのだもの。相手がルドだったのよ。こんなに嬉しい事はないわ!
店を出て改めて私は、ルドに髪飾りのお礼を言うと、ルドもはにかむように笑って、
「良かった!はい、そうしてくれると嬉しいです。私も、贈った甲斐があります。」
と言った。そして続けて、
「さぁ、次へ行きましょうか。手を、失礼しますね。」
と言い、私の手を取った。
☆★
次はまた食べ物のお店へ行き、ポタタと呼ばれる、ジャガイモを油で揚げた物を白いソースに付けて食べる物を店で購入した。
これも、なんだか懐かしいような味がしたし、美味しくて顔が綻んでしまう。
「エルヴィーラは、食べ物を美味しそうに食べるから見ていて気持ちがいいですね。」
ルドにそう言われたから、食べ物にがっつきすぎているように見えたらと少し恥ずかしく思った。けれど、褒められたと思っておこうと頭を切り替えた。
「名残惜しいですが、そろそろ宮廷へ向かいましょう。少し歩きますが良いですか。」
正面には確かに宮廷と言われた、大きな建物が見えるけれど、まだ距離があった。
私達は、手を繋ぎなからゆっくりと歩いて向かう。
「はい。」
いつの間にか日は傾いてきている。楽しかった時間はあっという間で、思ったよりも残念に思っている私がいた。
「あの…歩きながらですみません。私の話を聞いてもらえますか。」
「?…ええ。」
何だろう。改まって何の話をするのかしら?と顔をルドに向ける。
「あぁ、恥ずかしいからこちらを見ないで下さい。」
そう照れたように言われたから、慌てて正面を向いて歩く。
「ええと、このアーネムヘルム帝国の皇帝の名前って覚えてますか?」
改まってそんな事をいわれるから、私は拍子抜けした。きっと、これから会う皇帝陛下の復習でもさせるつもりなのかと思って、少ない記憶を頼りに言葉を繋ぐ。
「はい。ルドフィカス皇帝陛下ですよね?」
あぁ、そう言えば名前、ルドと似ているのね。これから皇帝陛下の名前を呼ぶ時に、ルドの事も思い出すのかしら。
もう気軽にはきっとルドに会えなくなると思うと、酷く悲しい気持ちが押し寄せてきた。
「あの…驚かないで聞いてくれますか。私の本当の名前は、ルドフィカスなのです。」
「え!?」
私は、先ほどルドに『恥ずかしいからこちらを見ないで』と言われた事も忘れて横にいるルドの顔を見上げた。
ルドは、私が見つめているのを分かっているだろうに、目を逸らした。横顔は、日に照らされてなのか赤く見えた。
「……皇帝陛下と、同じ名前なの?」
ルドが何も口を開かないから、私がそう繋いだ。
「いや…」
ルドは、少し迷った様子だったけれど私の方を一度見てから、その後さらに言葉を繋ぐ。
「私が、先ほどエルヴィーラに髪飾りを買ったのは、あなたに贈り物がしたかったからです。私が贈った物を付けてくれるのを見たくて。…本当は、格好いい紳士であったなら、自分の瞳や髪色と同じ色を身につけて欲しいと願うのだと思う。けれど……僕にはそのまでの勇気は無くて。あなたに似合うものを付けて欲しいと思ったのです。」
「僕は、ルドフィカス=アーネムヘルム。この国の皇帝陛下と呼ばれる者です。でも、会った日に告げたように、本来なら僕がなるわけでは無かった。担ぎあげられただけで、皇帝の器では無いんです。」
そう続けて言ったルドは、とても歪んだ表情で、辛そうだった。
でも、私は逆に、ルドの言われた言葉を反芻し、とても嬉しく思ってしまった。
(だって、ルドだったなら怖くないもの。)
デューレンケルン辺境伯爵家で言われたような、野蛮とかそういう類は全く感じない。
「こんな皇帝らしくない皇帝に、はるばる嫁ぎに来て下さってありがとう。エルヴィーラ、いえ、エルヴィーラ様。どうか、僕と夫婦になって下さい。」
そう言って、立ち止まって頭を下げたルド。
私は、何か言葉を発しなきゃと思うのになかなか言葉が見つからなくて。
「ルド…」
辛うじて聞こえるような呟くような声で囁くと、ルドは少し顔を上げる。と、私を見てハッと驚いた顔をし、私の頬を撫でた。
「どうして泣いているのですか?泣くほど、この結婚が嫌ですか?」
私は、言われて初めて自分が泣いている事に気がついた。嬉しいのと驚いた気持ちが混ざり合って涙が出てきたのだ。
けれど、ルドにそう言われて、慌てて強い口調をしてしまった。
「そんなわけない!でも、私……私で良いのかな…。」
そう。忘れていたけれど、ルドの、いえ、皇帝陛下の重鎮達は、皇帝陛下を支える為にデューレンケルン辺境伯令嬢である銀獅子を妻に、と望んだと言っていた。私には、ルドを支える事が出来るのだろうか。この世界の事も、マナーも、ほとんど知らない私。
「僕、エルヴィーラがいい!一緒にいたい。知らなかったけれど、きっとこれが好きだという気持ちだと思う。僕、銀獅子ってどんなに怖い人かと思っていたんだ。皇帝なのに、変だと思うだろう?僕は気弱なんだよ。だけど、銀獅子ではない、今のありのままのエルヴィーラがいいんだ!数日だけだけど、一緒に過ごして心からそう思ったんだ。だから、僕、エルヴィーラを改めて妻にしたいと思うって皆に言うよ。反対されても説得する!分からない事は、一緒に頑張っていこう!」
なんだか、何もかも分かっているような事を言われ、私は余計に涙が止まらなくなった。
「ルド…私も、この気持ちが好きと言う気持ちなのか分からないの。でも、もうルドとお別れだと思ったら、淋しく思ったし、髪飾りをもらった時も、とっても嬉しかったけれど、これを見ているのは辛いなと思ったの。だって、私は皇帝陛下の妻となるのだもの。でも、その夫となる人が、ルドあなただったのね。」
「うん。一緒に旅をして、仲良くなれって言われたんだ。僕も、それができるさならと思ったけれど、会うのもやっぱり怖かった。だいたい、銀獅子っていう名前が良くない。食べられそうだもん。」
そんな風に言うから、私は吹き出してしまった。
「あ、笑ったな?ごめんね、夫となる僕は情けないと思うけど、もう離れられないからね?」
「ふふふ。全然情けなくなんてないわ!私にとったら、素晴らしい王子様よ!あ、皇帝陛下様、だったわね。」
「ありがとう。エルヴィーラだけだよ、そう言ってくれるのは。」
「ルドは情けないとか、気弱とかではないと思うわ、本当よ!優しいもの。」
「うーん。帝国を治める皇帝は、冷徹でないといけないんだよ。だから…」
「あら。冷徹な主君に心からついていこうと思う人、何人いるかしら。それよりも、支えたいと思う方のが、いいわ!…難しい事は私には分からないけれど、与えられた役職があるのなら、それを演じるしかないのよきっと。でも演じる事を楽しみましょうよ!」
ルドが寂しそうだったから敢えてそう、明るく言うとルドはまたふわりと柔らかい笑顔を向けてくれ、私を優しく包み込んでくれた。
「エルヴィーラ。これがきっと、愛おしいと思う気持ちなのかもしれない。ありがとう。一緒に演じてくれる?」
「ええ!」
だって私は、その為にこの国へ来たのだもの。相手がルドだったのよ。こんなに嬉しい事はないわ!
21
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
契約結婚なら「愛さない」なんて条件は曖昧すぎると思うの
七辻ゆゆ
ファンタジー
だからきちんと、お互い納得する契約をしました。完全別居、3年後に離縁、お金がもらえるのをとても楽しみにしていたのですが、愛人さんがやってきましたよ?
無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する
タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。
社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。
孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。
そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。
追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。
愛されヒロインの姉と、眼中外の妹のわたし
香月文香
恋愛
わが国の騎士団の精鋭二人が、治癒士の少女マリアンテを中心とする三角関係を作っているというのは、王宮では当然の常識だった。
治癒士、マリアンテ・リリベルは十八歳。容貌可憐な心優しい少女で、いつもにこやかな笑顔で周囲を癒す人気者。
そんな彼女を巡る男はヨシュア・カレンデュラとハル・シオニア。
二人とも騎士団の「双璧」と呼ばれる優秀な騎士で、ヨシュアは堅物、ハルは軽薄と気質は真逆だったが、女の好みは同じだった。
これは見目麗しい男女の三角関係の物語――ではなく。
そのかたわらで、誰の眼中にも入らない妹のわたしの物語だ。
※他サイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる